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順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

4.5 4.5 (レビュー2件)
著者: グレッグ イーガン
定価: 842 円
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    「順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      時代は21世紀半ば―――
      記憶も人格も、人体のすべての生化学現象を電気的信号として、コンピュータ上にマップできるようになった世界。
      人々は肉体を失っても、自分のすべてをスキャンしシミュレートされた「コピー」としてバーチャル世界を生き続けることができた。

      ただそのテクノロジーは、一部の数えるほどの富豪たちだけが自由を謳歌できる程度にしか普及しておらず、一般の市民は限られた範囲でのみ《不死》を享受していた。

      そんな中、世界の経済を動かす富豪たちの「コピー」のもとを、自らを精神病患者だと名乗る男が訪れる。その男―――ポール・ダラムは彼らにある出資話を持ち掛ける。
      コンピュータ世界の有限性を克服し、《真の不死》を得ないかと―――



      きっかけは新聞の書籍紹介コラムで、「電脳世界」という言葉に惹かれて手に取りました。
      が――――・・・

      難しかった・・・
      これほど読むのに苦労した作品は本当に久しぶりでした。一度読み始めると読了するまで次の作品に移れないという性分なもので、本当に苦しかった・・・

      いや、こう書くと大いに語弊がありますね。
      面白かったんです。これぞSF!読後もドキドキしているくらいです。

      ただ、如何せん自分の頭が足りなかった・・・

      生物学的な部分とか、精神的な部分は良かったんです。予備知識があったので、本当にワクワクしながら読みました。
      なら何が大変だったかと言えば、工学的なというか物理学的なというか。コンピュータ関連が・・・読み飛ばしては何度も同じところを読み直しました。


      それでも、面白かったです。
      コンピュータ上で生きるということのうそ寒さとか、本当に生きているといえるのかとか。生物進化の神秘さとか、コンピュータの無限の可能性とか。それから、完璧なロジック同士が絶対にかみ合わない怖さとか。
      そういった事をひっきりなしに顔面にぶつけられている気分で、正にSF。濃厚な時間でした。

      何においても己の頭の残念さが心残りです。
      本当に読書を楽しむには、読む側の素養が必要なのだと改めて痛感しました。
      十年後、二十年後にもう一度読み直したい一冊です。
      >> 続きを読む

      2016/02/18 by

      順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)」のレビュー

    • イーガンはハードSFの代名詞みたいな存在ですものね。
      多くの疑問や科学的な可能性やヴァーチャルやリアルの可塑性などについてあれこれと悩むのがSFの醍醐味ではありますが。こういうのは頭が乱れそうです。
      でも苦労して読んだ分はその後の読書にきっと実になって返ってきますよね。
      しかしどういう頭脳をしているんでしょうね?こういう作家って。
      >> 続きを読む

      2016/02/18 by 月うさぎ

    • 評価: 5.0

       まずは少しあらすじを。
       記憶や人格をコンピュータにスキャンできるようになった近未来。スキャンされた人格は「コピー」と呼ばれ、法整備や技術発展が模索されるなど、徐々に世間に浸透していた。
       ソフトウェア・デザイナーであるマリアは、ある男から、現実と異なる物理ルールに基づいた惑星と原始生命のプログラム設計を依頼される。それは地球上に存在する計算能力では動かせないしろものだった。さらに、男は世界経済を動かしている大富豪の「コピー」達に接触し、真の不死についてある提案をする。


       どうやら私はものすごい作品を読んだみたいだ、というのが読後の感想です。
       と言うのも、私の想像力のキャパを遥かにオーバーして繰り広げられる物語に、私がついていけていないからです。いや正確には、ついていけていないかどうかも分からないのです。「何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたかわからなかった」という言い回しがありますが、まさにそんな感じです。
       なにか非常に面白いものの片鱗を味わったぜ、という気分です。
       私が体験したのは、この作品の面白さのほんの一部でしかなく、まだまだいくらでも深く読めるのではと、読み終わってなお可能性を感じさせる作品です。

       本作が焦点をあてるのは、かつてクラークの言った「十分に発達したテクノロジー」が人をどう変えるのかという点です。

       時は金なり。非常にシンプルで、物事の本質をついた文句です。今までの浅い人生経験でも何度思い知ったことか……。時間はあるに越した事はない!  と胸を張って言えます。ただそれが何百年、何千年と膨らんでいったときに、果たして同じ事が言えるのか、というのが本作から生まれる一つの問です。

       物事への興味がランダムに移り変わるよう、自分自身をプロミグラミングしてしまうことが、健全な生といえるのかどうか。負の感情が生まれた際、あらかじめセーブしておいた良い感情をロードすることが、人間らしいといえるのか。きっと精神と寿命の関係は、大体丁度良い具合になっているのでしょう。時が永遠でも、本と映画、シーズン毎のスポーツ中継があればあるいは、とか思ってしまう自分も正直いるのですけどね。

       本作で行われるのは、徹底した思考実験の積み重ねです。
       例えばコピーというアイデアを描くだけではなく、それは人にどんな影響を与えるのかを突き詰めます。すると、やがて自我の問題に至ります。コピーは果たして私なのかという問です。さらに、それは記憶は自分を定義できるのか、自分を決定しているのは何か、と新たな問に繋がるわけなのです。
       はい、よくわからないです。でも、考えてみて、ちょっとわかりそうで、やっぱりよくわからないけれど、面白いです。

       子供の頃に物語を妄想したことがあります。やけにスケールが大きくて、節操無く膨らんでいくそれは、もはや想像ではなく妄想としかいいようのない物語でした。多かれ少なかれ、誰でもそんな経験はあるのではないでしょうか。本作はそんな子供の妄想の究極形だと思います。哲学的で、理論武装してはいますが、ピュアで素晴らしい想像力からしか生まれない夢物語です。

       想像による可能性は無限大です。しかし人のそれには、きっとどこかに限界点があるように思います。そしてイーガンはそこに到達した、私は確信に少し期待を含んでそう思うのです。
      >> 続きを読む

      2015/04/14 by

      順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)」のレビュー

    •  答えのない問いかけについて考え続ける姿勢はとても「人間的」だなあと思います。その意味において、あさ・くらさんは人間味溢れる素敵な方なのだと思います。

       あさ・くらさんが本書を読んで得た疑問は、押井守監督の『攻殻機動隊』を観た時に自分が抱いた疑問と類似していて興味深いです。「技術」は人が生み出したにも関わらず、完全に制御できずに人間自身に予測不可能な変化をもたらしていく……。僕もいまだに考えがまとめきれていないんですね、宿題かな(笑)

       ちなみに話は別になりますが、SF系が好きなあさ・くらさんに朗報です。早川書房で「ハヤカワ文庫補完計画」なるものを実行し、有名なSFやミステリーを新訳、改訳、復刊するそうです。もう知っているかもしれませんが、興味があれば出版社の公式HPを御覧くださいね~。
      >> 続きを読む

      2015/04/14 by ゆうぁ

    • >ゆうぁさん
      >人間味溢れる素敵な方>人間味溢れる素敵な方>人間味溢れる素敵な方
       そ、そんなことないですよ! えへへ! ……ごにょごにょ。

       いやいや、本当にありがとうございます。これからも悩んで生きます。

       まさに両作とも技術が人間自身に起こす予測不可能な変化を描いているように思います。
       本作では「コピー」された人格はネットの中に存在し、そこで途方も無い物語が展開されます。確か映画の終わりの台詞が「ネットの海は広大ね……」か、そんな風だったように記憶していますが、とてもシンパシーを感じます。

      「補完計画」! 良いです! 
       既読は『アルジャーノンに花束を』と『宇宙の戦士』くらいですし、世代的にも、懐かしいぃ、という楽しみ方はできそうにありませんが、いつか読もうと思っていたけれど読めていない名作を読むチャンスかと思っています。特に新訳は嬉しいです!
      >> 続きを読む

      2015/04/15 by あさ・くら


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