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都市と都市

4.0 4.0 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,050 円

ふたつの都市国家“ベジェル”と“ウル・コーマ”は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく...。ディック‐カフカ的異世界を構築し、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞をはじめ、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説。

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    「都市と都市」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【意表を突く舞台設定!】
       本書の舞台は2つの都市国家です。
       ほとんど同じ場所に存在する「ベジェル」と「ウル・コーマ」という都市国家なのですが、両者は厳密に区分されています。
       一方の都市から他方の都市の景観や人々は当然見えるのですが、お互いに「見なかった」ことにします。
       凝視したり声を掛けたりなどもってのほか。
       そんなことをすると「ブリーチ」(境界侵犯?)とされ、この違反と同名の「ブリーチ」という強大な組織が風の様に現れ、ブリーチ違反をした者を連れ去ってしまいます。
       不自然極まりない状態なのですが、それでも二つの都市国家は折り合いをつけて存続し続けているのです。

       こんな舞台設定なのですが、ベジェル側である女性の死体が発見されます。
       ベジェル側の警察が捜査に乗り出すのですが、どうやらこの女性はウル・コーマ側で殺され、その死体がベジェルに持ち込まれたことが分かります。
       仮にベジェルの人間が、ウル・コーマ側に入り込んで殺人を犯し、その死体をベジェル側に持ち込んだらもちろん「ブリーチ」ですし、その逆に、ウル・コーマで殺人を犯した者がその死体をベジェル側に持ち込んでも「ブリーチ」です。

       このような場合、両国の代表から構成される監視委員会の決定を経て、事件の解決は組織としてのブリーチに委ねられるのが通常です。
       この件も当然そうなると思われていたところ、何と、監視委員会はブリーチに解決を委ねることを拒否します(拒否権はもっているんですね)。
       仕方なく、捜査が先行していたベジェル側の捜査官がウル・コーマに派遣されることになるのですが……。

       基本的な筋書きは犯罪捜査物になっているのですが、何よりもこの奇妙奇天烈な舞台設定が強烈です。
       しかも、事件の捜査が進むに連れて、ベジェルにもウル・コーマにも属さない第三の秘密都市オルツィニーが存在するという話が浮かび上がってくるではないですか。
       それは都市伝説だとも言われているのですが、果たして?

       ベジェルとウル・コーマは、ほとんど同じ場所に存在すると書きました。
       厳密に区分されているにもかかわらず、その境界は入り組んでおり、とある場所は「クロスハッチ」(概念の説明無くいきなりそういう言葉が使われるので分かりにくいのですが、おそらく両都市国家で共有されている場所という意味ではないかと)されている場所もあれば、両都市国家共、自己の領地であると主張できない「紛争地区」も存在します。
       この度肝を抜く舞台設定だけでもものすごい作品だと思いました。
      >> 続きを読む

      2019/08/15 by

      都市と都市」のレビュー

    • ややこしい舞台設定ながら、その厳密さや第三の秘密都市という曖昧な存在領域があることにより愉しみが拡がりそうな物語ですね。 >> 続きを読む

      2019/08/15 by 月岩水

    • この作品の設定にはとにかくたまげました。

      2019/08/16 by ef177

    • 評価: 5.0

      読書しながら世界一周!
      現在はミャンマーのバガン遺跡群におります。

      ネパールの古本屋で手に入れた一冊ですが、嘆息が出るほど、拍手を贈りたいほど、言葉では言い表せないほどの没入感、達成感、満足感を与えてくれました。

      まったく突拍子のないifの世界を、学術的な知見からの論理的な考察で肉付けし、エンターテインメント性のあるストーリーやキャラクターを用いて、読者を作品世界へ引きずり込むのが優れたSFであるのなら、この『都市と都市』は僕が今まで読んだSFの中で最も完璧に近いSFと言えるだろう。

      話の舞台はベジェルという都市国家、と同時にそこはウル・コーマという都市国家でもある。ベジェルとウル・コーマは同緯経度的に重なり合い、モザイク状に国土を切り分けてある区域をどちらかが占有し、またある区域はお互いに共有している。
      まったく、これほどまでに取っ付きにくい設定があるだろうか。もう少し説明しよう。
      仮にあなたはベジェル国民だとしよう。あなたの家はもちろんベジェルの領域に建っていて通う職場や学校もベジェルの領域にある。しかし、あなたのお隣さんはウル・コーマ国民だ。そのさらにお隣さんはベジェル、向かいの家はウル・コーマ、はす向かいはベジェル。
      家の前の道路は両国で領地を共有している<クロスハッチ>領域。ベジェル人もウル・コーマ人も道を歩いているけど、ベジェル人がウル・コーマ人に触れることはおろか話しかけることも見ることも許されない。ウル・コーマ人がベジェル人に対しても同じ。それは国境を侵したことになるからだ。この都市ではベジェル人がウル・コーマを、ウル・コーマ人がベジェルを認識することは許されないのだ。
      そんな質めんどくさいところで物語は論理的に整然と展開される。ベジェルの公園で女性の遺体が発見され、ベジェル警察である主人公ティアドール・ボルル警部補が事件を担当することになる。捜査を進めるにつれて被害者の身元がウル・コーマだったことが明らかとなり、ボルルは国際捜査のためにウルコーマへと「入国」することになる。そして、捜査の先に見えてきたのは両国で寓話的に語られている第三の都市、ベジェルとウル・コーマの狭間に人知れず存在するという【オルツィニー】だった。オルツィニーは本当に存在するのか、この奇妙な都市が隠している秘密とは何か、そして事件の犯人とその動機とは。。。

      この作品世界にリアリティを与えた著者の論理は美しいと思う。完璧な論理はアートなのかもしれない。僕はこの美しい論理に導かれて、ベジェルもしくはウル・コーマ、あるいはどちらでもない所へと入国し、旅していたかのように感じる。その先にあるラストシーンの壮大で奇妙な景色はこの作品でなければ出会えなかった絶景だった。読書で景色に感動するとは夢にも思わなかった。今もその光景が頭から離れない。

      ↓バガン遺跡群の美しい朝焼け、夕焼け写真はブログにて公開中!
      http://tabisuruashi.wordpress.com
      >> 続きを読む

      2016/12/02 by

      都市と都市」のレビュー

    • chaoさん
      バガンの朝焼けと夕焼けすんごい綺麗ですよ!
      >読む本全て持ち歩いているのでしょうか?
      文庫本4冊はバックパックにストックしてますね。
      旅先の古本屋で売り買いしたり、旅先で会った日本人と交換したりしてますよ。
      >> 続きを読む

      2016/12/03 by 旅する葦

    • 「深夜特急」みたいですね!
      ますます素敵です〜!!

      2016/12/03 by chao


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