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ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

3.5 3.5 (レビュー2件)
著者: スタニスワフ・レム
定価: 1,080 円
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    「ソラリス (ハヤカワ文庫SF)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      スタニスワフ・レムの代表作で、アンドレイ・タルコフスキー監督が映画化した「惑星ソラリス」の原作のSF小説「ソラリス」を、沼野充義さんの新訳で、ソ連による検閲削除なしの完全版を再読しました。

      ソラリスとは、二重星を太陽に持つ惑星の名で、この星全体を覆う原形質状の"海"の謎をめぐって、人類は100年以上にわたって、調査と研究を重ねてきたというのが、この物語の背景になっているんですね。

      それで、主人公のクリスもまた、ソラリスの謎を解明せんと、観測ステーションにやってきたわけだけど、彼を待ち受けていたのは先乗りしていた友人の科学者の謎の死と、ステーション内の混乱した状況だった。

      初めてこの小説を読んだ時、これはSF小説じゃなくて、ホラー小説なの?と思ったものでした。
      なぜかというと、ソラリスの"海"というのは、記憶の内奥を読み取って、そこに存在する人間をステーションに送り込んでくるわけなんですね。
      それは、相当残酷で恐ろしい事態なんですね。

      複製するのは、ただの知り合いではなく、クリスにとっての自殺してしまった妻みたいな、その人の弱点であり、トラウマの素になるような人物を送り込んでくるのが、確かに怖い。

      しかも、"海"の考えていることは、人間にはわからない。
      そもそも、意志があるのかどうかすら、わからないんですね。

      レム自身の作品解題によれば、こういう得体のしれない生命体を提示することで、人間の知性の普遍性に対する懐疑的な考えを込めた小説だということになります。

      それまでのファースト・コンタクトものといえば、E.T.みたいな友好的な宇宙人か、火星人やエイリアンみたいな侵略系の宇宙人しか登場しなかったわけだから、絶対的他者としての地球外生物をだしたレムは、やはり圧倒的に新しかったと思う。

      この小説には、学者たちが打ち立ててきたソラリス学まで開陳されていて、これがまた凄いんですね。
      いったい、どこまで現実の物理学や科学を参照にしてるのかはわかりませんが、哲学の領域まで含めて、レムが構築した論の凄さだけは体験できますね。

      私が特に感心したのは、"海"が巨大な赤ん坊を作るシーンの描写です。
      普通の赤ちゃんの動作は、とりとめもないのに、"海"が作ったそれは、まるで誰かがこの子供の手や、胴体や、口に何ができるか、調べているといった風に系統的な動きだったというところですね。

      レムは映画化に際して、タルコフスキーと意見が合わなくて決裂したらしいのですが、映画「惑星ソラリス」のラストシーンが、私は好きなんですね。

      複製された妻とソラリスに残ることを決めた主人公が、地球にいた時と同じ部屋に住んでいるんですね。
      それで、一瞬「あれ、この人、地球に帰ったのかな?」と思うのですが、途端に部屋の中に雨がザーッと降ってきて、カメラが引くと、その部屋がソラリスの"海"の真ん中に再生されたものだとわかるんですね。

      このシーンの美しさというのは、いくら原作者が否定したとしても、私は素晴らしいと思いましたね。

      そして、この小説の美点というのは、ソラリス学みたいな架空の学問を、偏執狂的に究める一方で、登場人物らの心理や行動に関しての説明を、極力避けてる点にあると思うんですね。

      例えば、自室に閉じこもって出てこないサルトリウスという学者の部屋の中から、子供が駆け足をしているような足音をはじめ、不審な物音が四六時中しているんですね。

      でも、レムは結局、最後までその正体を明らかにしない。
      それが、読み手の好奇心と恐怖心と想像力を煽るんですね。

      >> 続きを読む

      2018/06/29 by

      ソラリス (ハヤカワ文庫SF)」のレビュー

    • 評価: 3.0

      宇宙といえばほとんどの人が人型の姿や虫などの生物を思い浮かべると思います。
      ソラリスはその固定概念を打ちくだきます。
      ソラリスにいる「海」のような生命体に対するさまざまな意見が学術書のように長々と続く場面があり、メタファー的に解説されています。これは絶えることのない人類の好奇心や探訪を意味しているようです。
      そして「海」のような生命体が主人公たちに「愛」を提示してくる、その理由は何なのでしょうか。
      僕にとって難解な作品でしたので、きっと著者の意図とはかけ離れた読み方をしているのでしょうけれど。
      皆さんも読んでみてはいかがでしょう。

      >> 続きを読む

      2016/06/24 by

      ソラリス (ハヤカワ文庫SF)」のレビュー

    • 先日ミニシアターで映画を観ました!SF映画史上で有名な作品なんです。
      「惑星ソラリス」タルコフスキー監督作品、ソ連映画
      原作と映画のテーマの違いが作者には面白くなかったらしいですね。
      とても難解な映画で、ホラー要素もあり、ファンタジーとも言える感じです。
      映画ではソラリスの生命体の「愛」という概念ははっきり描かれていたとはいえません。
      原作は、ソ連の体制批判も込められているときいていますが、いかがでしたか?

      >> 続きを読む

      2016/06/24 by 月うさぎ

    • ソ連の体制批判については深くは分かりませんが、ソラリス内の人たちが行おうとした実験に対する意見や批判がそれにあたるのかもしれません。
      ソラリスのロシア語訳が出版される際はソ連当局との軋轢をさけるため自主的に編集者らが添削したそうです。
      もちろんこのハヤカワ文庫版は削除された部分がちゃんと補ってあります。
      >> 続きを読む

      2016/06/25 by dora


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