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母の記憶に (ケン・リュウ短篇傑作集3)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: ケン リュウ
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    「母の記憶に (ケン・リュウ短篇傑作集3)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      【どの作品も高水準のSF短編集】
       『紙の動物園』に続く、ケン・リュウの日本オリジナル編集の短編集です。
       いやあ、どの作品も大変レベルが高く、とても面白い作品が詰まった短編集で、これは堪能できますよ~。
       それではいつもの通り、収録作品からいくつかご紹介。

      ○ 烏蘇里羆(ウスリーひぐま)
       古来の伝承にSFテイストをミックスしたような作品です。
       機械馬を駆る日本軍が描かれます。
       隊を率いる中松博士は、幼少の頃両親を灰色熊に殺され、自らも右腕を失い、現在は機械の腕を装着していました。
       両親を殺したと思われる灰色熊の骨を発見したのですが、その子供と思われる1,000キロはあろうかという巨大な羆と遭遇してしまいます。
       両親の敵を取りたいのですが、羆は強大であり、しかもその正体は……。

      ○ 母の記憶に
       光速またはそれに近い速度で宇宙を航行すると、その間、地上に残っている者の方が年を取ってしまうという『ウラシマ効果』をモチーフにした作品です。
       大変シンプルな作品なのですが、そこには哀しみも漂うようです。

      ○ 万味調和-軍神関羽のアメリカでの物語
       1800年代後半、アイダホ準州には鉱山労働などで一山当てようと狙った中国人移民が多数訪れたのだそうです。
       その時代の中国人コミュニティの中心的人物であった老関と、中国人達と親しく交際するようになるリリーやその父親ジャックとの交流を描いた物語。
       作中、老関は、リリーに関羽の物語を語って聞かせるのですが、こういう挿話的なところも大変面白く、非常に良い作品だと思います。

      ○ 『輸送年報』より「長距離貨物輸送飛行船」
       飛行船を使って貨物輸送業を営むバリーと、一緒に飛行船に乗り組む中国人の妻の物語です。
       二人は6時間交替で飛行船の操縦を担当するのですが、今回はラスベガスに向かう仕事です。
       淡々とした物語なのですが、どこかサン・テグジュペリを彷彿とさせるように感じてしまいました。

       一応はSF短編集ということになるのですが、ファンタジー色の濃いものもありますし、かなり幅広いSFと考えていただいた方が良いと思います。
       また、取り上げられるテーマの中には、SF作品としては従来から何度も書かれているオーソドックスなものもあるのですが、これが陳腐化したり「またこれか」と退屈に思えるようなことは全くなく、物語としてとても面白く書かれているのです。
       やっぱり、巧いんだろうなぁと感じました。

       全16作品が収録されているヴォリューミーな短編集なのですが、普通、これだけの数の作品を集めると、一つや二つは『イマイチ』と感じる作品も含まれてくるものなのに、この作品集にはそういう『イマイチ』作品が無いんですね。
       どれも珠玉の作品と言って良い、非常に完成度の高い作品揃いです。
       図書館から借りてきた本なのですが、これは手元に置いておく価値のある本だと感じました。
       自信をもってお勧めしちゃいます。


      読了時間メーター
      □□□□    むむっ(数日必要、概ね3~4日位)
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      2020/05/22 by

      母の記憶に (ケン・リュウ短篇傑作集3)」のレビュー


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