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スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-67)

4.5 4.5 (レビュー1件)
著者: アガサ・クリスティー
カテゴリー: 小説、物語
定価: 630 円

旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早早事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。不朽の名探偵の出発点となった著者の記念すべきデビュー作が新訳で登場。

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    「スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-67)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      アガサ・クリスティーのデビュー作&名探偵ポアロのデビュー作です。
      第一作目にして、この世紀の名探偵がほぼ「出来上がっている」ことに驚いてください。
      典型的な謎解きミステリーでありながら、コミカルでロマンティックな味わい
      そして、何よりも読後の爽やかさに感動し、
      私はこの作品をきっかけに、クリスティの、そしてポアロのファンになってしまったのです。

      [田村隆一の旧訳作品]で現在廃刊になってしまっていますが、amazonでは購入できます。

      田村隆一氏の翻訳は会話に品格があり、ポアロの性格を最もよくつかんでいるのが彼だと思うので、
      ポアロを正しく知ってもらうためには、一度は田村訳をお薦めしたいです。

      作中でポアロは「とても丁寧な口の利き方をする」と女中からも尊敬を受けます。
      非常にダンディーでおしゃれであるとも書かれています。

      田村訳の特徴は、1人称2人称の言葉の選び方が繊細で適切なのです。
      というのも、ポアロは「きみ」とか「あんた」などという言葉は使わないはずなのです。
      時々フランス語をまぜたチャンポンの会話をするのがポアロの癖ですが、
      20歳以上若い、親しい友のヘイスティングズにも、vous(仏語で丁寧な“あなた”にあたる言葉)で話しかけています。
      まず田村氏はこの基本を押さえていると評価できます。

      田村氏は、翻訳のプロではなく詩人・作家が本業なので、
      翻訳文は彼の文章になっていますし、時々意味の通らない文章が出てきます。
      勘違いによる誤訳というものが、確かにありえるのです。
      それでも、作品の本質は損なわれていませんし、
      翻訳家というのがよくやる「間違った日本語」は出てきません。
      可能であれば原文をそばにおいて読むと最高でしょう。

      読みやすさをとるか文学表現を選ぶか、といった問題なのですから、
      誤訳の部分だけ訂正して、両方の翻訳を一緒に読めるように
      絶版にはしないでいただけたら嬉しいのですが。
      正直に申し上げると、この作品は日本語で読んだほうが、感動が大きかった気がしています。
      田村ファンは多いのですよ~。


      イギリスのロンドン郊外の静かな村の旧家で起こった女主人殺人事件。
      毒殺したのは、再婚したばかりの若い夫か、義理の関係の息子か、毒物学者なのか?

      舞台が醸し出す雰囲気も人物の個性の描き分けもいいです。
      ストーリーのハラハラ感と共に、ポアロとヘイスティングズという年の離れた親友の、ほほえましいやり取りを楽しんでください。

      この作品ではポアロが若くて、その突飛な行動に笑えるシーンも多いです。

      考えがまとまらない時、トランプの家(タワー?)を建てながらブツブツ言っているシーンなども、
      秀逸だと私は思っています。

      ポアロが「外人だから」オーバーな表現をする、とされている点も、
      逆に見るとイギリス人というお国柄が垣間見えて興味深いです。

      ポアロ・ファンにとってお気に入りの1冊であることは保証します。
      >> 続きを読む

      2012/09/16 by

      スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-67)」のレビュー

    • tadahikoさん 
      翻訳は好みによりますし、先に読んだ方をいいと感じる傾向はあると思うんです。
      でも、最近の「新訳ブーム」というのが、ちょっと胡散臭くなってきていて、
      「焼きなおせば売れる」みたいな出版社の安易な計算が見えてきたりね。

      選択肢は多い方がいいという考えなので、「新訳」は本来は、ありがたいことだと思います。
      「ライ麦畑でつかまえて」や「星の王子様」など、成功例は多いです。
      でも、基本として、それらの先訳が絶版になったわけではありません。
      「クリスティ文庫」は新訳と同時に旧訳を廃刊にしていっているので、
      今まで読んできた作品世界が変質してしまう可能性が高くなってしまいました。
      この作品、とてもいいですよ。
      と、お薦めしたところが、別の作品になってしまっている可能性が出てきたのです。
      このレビューは廃刊を少しでも思いとどまって欲しいという切ない希望なんです。
      >> 続きを読む

      2012/09/16 by 月うさぎ

    • iceさん  クリスティは何回読んでも面白いんですよ。
      ひとつには、クリスティのミステリーは「トリック重視」ではないから。
      トリックも犯人もわかっていて、伏線や人物の会話や心理などを改めて知りたくて、
      読み終わってすぐ2度読むことも多いです。
      (読み直さずにいられない。というか)

      トリックはミステリーのディープなファンからすると、文句がでそうな話もあって、
      そういう方はクイーンのほうがいい。とおっしゃいます。
      私からすると、クイーンは犯人がわかっていて2度楽しめる作品ではない気がします。
      彼の作品は謎解きの挑戦を読者が受ける。というクイズのような形態をとっているからです。

      キャラクターの魅力というものもあります。
      ポアロ、ミス・マープル、トミー&タペンス、地味だけどバトル警視などなど。
      私はポアロのファンですが、おそらくコロンボ警部はポアロをお手本にしていますよ。
      相手から小馬鹿にされるような外見と外国人であるという部分(国籍はアメリカ人ですが、コロンボはイタリア系移民ですよね)
      事件が上流階級を舞台にし、犯人も金持ちだったり有能な人物で社会的地位もあったりするという点。
      犯人への質問で追い詰めていくスタイルも共通です(スタイルズ荘にはまだみられませんが)
      突飛な質問や事件と関係のなさそうな細かいことにこだわる点、
      つじつまが合わないと先に進めないというこだわり、自分への絶対的な自信。
      時には相手をはったりやわなにかけても、犯人を追い詰めるという捨て身の作戦などなど。
      クリスティはエンターテイメント作品のお手本なのです。

      あと、もうひとつ!
      私、忘れっぽいので、多くは犯人を忘れちゃってるんですよ(*゚▽゚*)
      >> 続きを読む

      2012/09/16 by 月うさぎ

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      早川書房 (2003/10)

      著者: アガサ・クリスティ , 矢沢聖子

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      • 評価: 4.0

        この作品は何度も読みましたし、原書も目を通しました。
        クリスティの作品中ではベスト10には絶対に入れたい作品です。
        クリスティの記念すべき処女作で、
        名探偵ポアロのデビュー作でもある本格ミステリー。

        第一次対戦下のある夏の日、負傷で除隊したヘイスティングズが滞在していた友人の家「スタイルズ荘」の女主人がストリキニーネによる中毒で急死。
        毒殺の容疑が再婚したばかりの若い夫にかけられたが…。


        クリスティは名作といわれる作品のインパクトが半端でない程大きいために、
        この処女作は「絶大な評価を受けている作品」ではないかもしれませんが、
        みずみずしさは最高で、また、彼女の人間観や哲学が、ここにすでにみられます。

        そして何よりも、ファンの多くの人が同意見だと思いますが、
        ポアロとヘイスティングズがとてもかわいい♪

        ベルギーから来た外国人で、非常にダンディーで滑稽な風貌の小男ポアロ
        素直で単純で気高い気性で少々子供っぽい、そしてポアロを称賛してやまないヘイスティングズ
        この20歳以上(親子ほど?)も年の離れた親友の、やり取りを見ているのが
        ほほえましくて、それで何度も読んでしまうのです。

        特に初期作品ではポアロが若い。(^^)

        手を振り回して大声で話し、興奮すると目の色がエメラルドのような緑色を帯びる。
        大きな発見に浮かれて「飛んだり跳ねたり」突然走り出して消えたりします。
        ポワロは時にわざとらしいほど、尊大な態度をとりますが、
        非常に情が深く、特に愛し合う男女に対しての思いやりがあります。

        ポアロのファンはおそらく女性の方が多いと私は思います。
        要するに、彼を「かわいいおじさん」と思えるかどうか。です。


        ホームズとワトソンの知的なムードとは違って、とってもお茶目な関係。
        ラテン的なポアロは純正イギリス人のヘイスティングズと好対照です。


        ポアロ作品の場合は特に、ある程度書かれた年代順に読まれた方が
        より楽しめると思います。

        クリスティーには、スターシステム的な要素があって、時系列も意識されており、
        新作の中に旧作での出来事や人物への言及が頻繁に出てくることと、
        (旧作のネタバレを作者が作品中でやっていることもあるので!!!)
        アイディアが形を変え、繰り返し使われているケースもたまにあります。

        初期作品ならではの味わいとして、この作品はシャーロック・ホームズへの
        トリビュート作品でもあり、野心的な挑戦状でもあるのです。
        ワトソン役をヘイスティングズが引き受け、ホームズばりに、
        暖炉で灰になりかけた遺言状、粉々に砕けたカップや床に飛び散った蝋のあと、
        ボルト錠に残されたわずかな布の切れ端など、
        そんな物証が発見され、読者は真相の推理を楽しみます。
        最後には、ポアロの合理的な謎解きですべてが明らかにされる爽快感があります。

        早、次作では物証よりも心理的な要因に推理の的を絞った
        ポアロ独自のスタイルの探偵へと変化していきます。


        *新訳版の「クリスティ文庫」は翻訳の評判がよろしくないケースがあります。
        この矢沢聖子氏の翻訳は読みやすく、意味の通らなさはなく、問題ありませんでした。
        会話文の中にまで、ミスター・〇〇を多発するのは、
        翻訳文学に慣れたものには抵抗を感じます。
        普通は地の文にはミスター、会話文には「さん」を使うのが一般的。
        また、ポアロは20歳以上歳下のヘイスティングズに対しても「あなた」で話しかけるのが正解なのですが、
        矢沢訳では「きみ」になっています。
        旧訳の田村訳は非常にデリケートで、ヘイスティングズの地の文では「私」会話では「ぼく」ポアロは会話では「わたくし」を使っています。
        矢沢訳ではすべて「わたし」です。

        また、翻訳者に多い「日本語の間違い」を犯しています。
        「とんでもありません」を2度も使っています。
        この部分を田村氏がどう訳しているかというと、
        「おお、そんな――むろん、そんなことはありません」
        「とんでもない」

        どちらが、会話として豊かなイメージを醸し出すか、日本語についてデリケートで正確な知識を持っているか、
        これだけでもお分かりかと思います。

        ポアロの愛すべきキャラクターを作ってきた功績は田村訳にあります。
        可能であれば、ポアロものは田村訳(難点はあるのですが)を何でもいいので読んでみて欲しいと思います。


        もう一つ、クリスティ文庫ではまえがきと解説は決して先に読んではいけません!
        犯人のヒントが書かれています。
        前書に普通はこういう文章は入れませんよね?!
        勘弁して欲しいです。何考えてるんだ早川!!
        >> 続きを読む

        2012/09/15 by

        スタイルズ荘の怪事件」のレビュー

      • iceさん  私も今回始めて知ったことなのですが、当時はミステリーというと短編がメインだったらしく、長編のミステリーは少数派だったとか。
        そういえば、ホームズだってほとんど短編でした。
        クリスティは時代を追って読んだほうが楽しいと思うので、
        まずはエンターテイメント性が高い初期作品からお読みいただくのがよろしいかと。
        >> 続きを読む

        2012/09/16 by 月うさぎ

      • makotoさん  この作品ではニヒルには決まらないわ(^_^;)
        ニヒルに決めるなら、「オリエント急行」か「アクロイド殺し」が無難じゃないかしら。
        私も全作品を読んではいないので、これから全読破に挑戦します。
        >> 続きを読む

        2012/09/16 by 月うさぎ


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