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幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

4.0 4.0 (レビュー3件)
著者: ウイリアム アイリッシュWilliam Irish
定価: 1,058 円
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    「幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      ミステリーの古典とも言える「幻の女」。
      今回、新訳が出たということで読んでみようと思った。

      夫婦の間も冷え、夫は妻へ離婚の話をするが相手にされない。恋人の勧めもあり妻とゆっくり話すために観劇と食事に誘うが一笑にふされる。腹を立てながらも、最初に出会った女性と一晩を過ごすことにする。変わった帽子を被る女性に声をかけ観劇と食事を済ませ、自宅に戻ると妻は死んでいた。
      突然殺人犯にされ、死刑執行を待つ身となった男は、昔の友人に捜査を依頼する。その頃、事件担当だった刑事も違和感を憶え事件を単独捜査しはじめる。

      単純な物語で、意外とも感じたけれど、これがちっとも単純でなく、何故か帽子の女のことを憶えているひとが全くおらず、まさに幻の女。

      死刑執行までの日数を章に表し、読者をさり気なく焦らせながら、物語は進んでいく。
      一体、幻の女とは誰なのか。妻を殺したのは誰なのか。
      無駄がなく、とてもよく出来た作品だと思う。

      1942年刊行で、作品の端々からも戦争の香りをかすかに感じられる。

      どうでもいいけれど、海外では死刑囚との面会で死刑囚監房に入れるようだ。
      作品では刑事も友人も死刑囚である男に触れんばかりな状況で会話をしている。こういった設定にとても驚く。
      日本では面会室で強化ガラスかなにか越しでしか会えないし、それも未決死刑囚だけだったと思う。
      死刑囚が煙草を吸いながら面会人と話す姿というのは、随分自由だ。

      有名な書き出しである

      夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。

      この書き出しだけで既に名作の薫りがする。
      単なるミステリーに終わらせず、文学作品でもあるかのように始まる叙情的な文章はとても美しい。
      さっさと事件起きて犯人さがしさせろとがっついていた若いわたしには、この作品の持つ余裕というか最早格調の高さを感じさせる書き出しを味わうことは出来なかっただろう。今読むことが出来て良かった。

      最後まで堪能出来る素晴らしい一冊だった。
      悩みながら翻訳した黒原敏行さんもお見事。
      この作品を読んだら、他の古典も読みたくなるじゃないかあ。
      もうこれ以上《次に読もう棚》に入らない。だから追加で《次の次に読もう箱》を作成。早速つまずいて蹴っ飛ばしていた夫に、蹴らないでと無茶な言いがかりをつけながら。
      >> 続きを読む

      2016/09/02 by

      幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)」のレビュー

    • 空耳よさん
      コメントありがとうございます。

      翻訳で印象が変わりますもんね。

      「美女と野獣」は映画館まで足を運びましたよ。
      ヴァンサンにやられちゃいました。
      メチャクチャカッコ良かったです。はっ、ヨダレがっ。
      パンフレットを久しぶりに購入しましたよ。
      「チャイルド44」にも、ちょこっと出ています。軍服姿も素敵です。
      ヴァンサンで思い出してもらえて光栄です。
      >> 続きを読む

      2016/09/03 by jhm

    • pechacaさん
      コメントありがとうございます。

      海外作品は翻訳で良くも悪くもなりますよね。読み比べも面白いですが、読みたいものが多いときは、そちらを優先させちゃっていいと思います。
      わたしみたいに手当たり次第買い込むと、《次の次の次の…》となってキリがありませんから。自分で作った本の山に追い立てられています。
      >> 続きを読む

      2016/09/03 by jhm

    • 評価: 4.0

      ミステリの古典で有名な本なので読んでみました。さすがにこれは面白いです。あえてあらすじは、書きませんが、ドンデン返しに次ぐドンデン返し。犯人は、以外な人だった。見事にだまされました。たぶん、あなたも騙されます。読む価値ありです。

      2016/08/27 by

      幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)」のレビュー

    • 以前課題図書だったので読みました!
      ラスト怒涛の展開、私も騙されましたよー。
      映像で観たくなりますね。 >> 続きを読む

      2016/08/28 by あすか

    • あすかさん、ありがとうございます。 そうですよね。ラストの展開が凄いですよね。映画も見たくなりますよね。今度さがしてみます。 >> 続きを読む

      2016/08/29 by rock-man

    • 評価: 3.0

      1942年発行、最初の邦訳は1955年という、古典的なミステリの新訳。
      著者は、コーネル・ウールリッチ、ジョージ・ハプリィの別名義も持ち、本作以外に『黒衣の花嫁』、『死者との結婚』などでも知られる。映像化された作品も多い。

      男がいらいらしながら夜の街を足早に行く。不仲の妻を宥めようと外出に誘ったが、こっぴどくはねつけられたのだ。腹立ち紛れに入ったバーで、派手な帽子の女と隣り合わせる。男はふと思い立ち、その日、妻といくはずだったショーに女を誘う。一夜限り。下心はなし。互いの連絡先も名前も聞かない。ただ食事をして、ショーを見て、グラスを傾け、「おやすみなさい」と別れよう。妻への当てつけと憂さ晴らしのつもりだった。女は承諾する。それなりに楽しい時間を過ごし、帰宅してみると、妻は殺されており、彼は容疑者だった。
      彼の無実を証明できるのは、あの女だけ。しかし、その行方は杳として知れなかった。

      出だしがなかなかの名文である。訳者あとがきに原文が引かれている。
      The night was young, and so was he. But the night was sweet, and he was sour.

      新訳ということで、あとがきには歴代の訳を紹介する解説が記載されている。
      まだ宵のうち、これからデートを楽しもうとする街の華やぎの中を、男は苦虫を噛みつぶしたように刺々しく歩く。冒頭で読者を作品世界にぎゅっと引き込む巧みな描写である。
      冒頭に限らず、情景描写、心理描写に気が利いている印象深い箇所が多い。帽子ばかりが目を引くが、容貌は取り立てて取り柄のない女。伝票に記された番号、「13」。エキゾチックでエキセントリックな歌手。

      絶望的な状況に陥った男だが、刑事も男が真犯人なのか疑いを持ち始めていた。
      けれど、このままだと男は死刑に処される。カウントダウンが進む中、男の恋人と友人が捜査に協力する。
      「幻の女」はどこだ。しかし、女に手が届きそうになると、するりと手がかりは逃げ去っていく。このあたりの展開も計算されスリリングで、終盤に向かってサスペンスが増していく。
      手詰まりかと見せておいて、最後に意外な結末が待つ。

      難を言えば、個々の描写は小粋だが、性格描写が今ひとつに感じる。容疑者の男には妻以外の恋人がいる。妻の機嫌を取って、離婚話を進めようとしていたのがその夜の計画だったのだ。ここで、妻が非常に邪悪であるとか、男が妻と結婚してしまうどうしようもない理由があったとか、それなりの「よんどころのない事情」が絡むならばともかく、そういうわけでもない。恋人はただ美しくて優しい女性で、彼はただ真実の愛が妻との間にはないことを悟ったのだ、といわれても、今ひとつ、男やその恋人に肩入れはできない。個人的にはそのあたりが少し「薄い」感じがした。

      ともあれ、全般にはらはらさせられるページターナーとは言えるだろう。
      余韻を残す「幻の女」も印象深い。
      >> 続きを読む

      2016/05/27 by

      幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)」のレビュー

    • 課題読書、レビューお待ちしていました!
      この作家、ペンネームはアイリッシュなのにアイルランド人ではないのですね。
      引用していただいた冒頭は名文として知られているそうですね。
      書いていただいたあらすじを読んだだけでもプロットはいかにも魅力的です。
      ご指摘の性格描写の点では確かに感情移入するには難が或るかもしれません。
      古典なので古典として読むべき作品かもしれませんね。
      とても参考になりました。
      >> 続きを読む

      2016/05/27 by 月うさぎ

    • 月うさぎさん

      ありがとうございます(^^)。
      こちらの課題図書で挙がっていたので、ミステリ、久しぶりに手にしました。

      本名はウールリッチで、ニューヨーク生まれの人みたいですね。

      場面がくっきり思い浮かぶようなシャープな描写が印象的でした。
      本作もさまざま映像化・翻案されているようですが、さもありなん、という感じです。
      >> 続きを読む

      2016/05/28 by ぽんきち


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