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童話が終わる時 (ミステリアス・プレス文庫)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: B.M. ギル
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    「童話が終わる時 (ミステリアス・プレス文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      イギリスの女流作家B・M・ギルの「死ぬほど会いたい」「悪い種子が芽ばえる時」に続いて、今回「童話が終わる時」を読了。

      この作品は、サスペンスの形はとっていても、どことなくロマンの香気漂う、いかにもイギリスの伝統的な女流作家の作品だなと感じられますね。

      この作品で取り上げられていて、謎を呼ぶのが、ある検死医の死だ。
      50歳近くの働き盛りである彼は、妻と旅行中に自動車事故に遭い、ともに他界する。

      彼らの間には18歳の息子がひとり。父親は強く医者になるよう勧めていたという。
      唯一の肉親である、その息子サイモンも列席している葬儀の最中に異変が起きる。

      花束の中に血にまみれた豚の足が発見される。また亡くなった検死医には、最近、手柄話があった。
      次々に若い女性をレイプし、絞殺していった連続殺人鬼ヒンクルの有罪を、検死医の立場から立証したのだ。

      その殺人鬼は今、刑務所にいるはずだ。聖書マニアのヒンクルは、"偽りの証し人は罰を免れず、偽りを吐く者は滅ぶべし"というメッセージを寄せてきたのだ。

      ここで、中年の田舎刑事メイブリッジ主任警部が登場する。
      これは、いかにもイギリスのミステリにありがちな設定だ。
      ルース・レンデルの「ウェックスフォード・シリーズ」を持ち出すまでもなく、よくある設定なんですね。

      しかも、メイブリッジ主任警部と死んだ検死医とは旧知の間柄。
      妻同士も友達関係で、刑事の妻は残された子供の面倒をなにくれとなく見ようとして拒絶される。
      なぜかといえば、フリージャーナリストと称する魅力的な女性が、故人宅に入りこんできたからだ。

      しかも、彼女は何か目的があるようだった。
      ひたすら美しい年長の女性に憧れる、孤独な青年サイモン。
      フリージャーナリストの目的は何なのか?

      周囲は不安と苛立ちの中で、彼らを見守るのだった。
      そして、とうとう、ある解答に行き着いたのだった。
      ヒンクルが無罪だと主張しているのは、五番目の犯罪のことで、青年と同棲している彼女の目的と関係があった。

      つまり、彼女は突然、失踪した妹の行方を追っていたのだ。
      いよいよメイブリッジは、再捜査に乗り出すのだった-------。

      早い段階で死んだ検死医は、女性関係に放埓で、その妻は精神を病み、生まれた子供を絞め殺しかけていたということがわかる。
      幼くして寄宿舎付きの学校へやられたサイモンは、孤独な子供だった。

      ここまでの理解だと、養育放棄、精神的なものとはいえ、一種の幼児虐待なのだ。
      これが、アメリカの小説だと、これだけでテーマになりそうだ。
      だが、この小説では絡み合う糸の一本でしかない。
      さすがは、ミステリの国イギリスの小説だと納得させられます。

      また、サイモンの描かれ方には、親の愛に恵まれなかった子供全般に対する、自身、主婦作家でもあるB・M・ギルの愛情が感じられるんですね。

      多感な青年の不安定な情緒として、みずみずしく描き尽くしていると思いますね。
      そして、青年と恋に落ちるジャーナリストの人となりにも共感できるものがありますね。

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      2018/07/12 by

      童話が終わる時 (ミステリアス・プレス文庫)」のレビュー


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