こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

日の名残り

4.5 4.5 (レビュー10件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 798 円

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。

いいね!

    「日の名残り」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      この本は、「古き良き時代」を懐古するという退屈な小説では決してなく、単純に泣けるとか笑えるとかいう類の作品でもありません。ただ静かに、しかしとても心の奥深いところに語りかけてくる作品です。特に終盤Mr.スティーブンスが人生を振り返るような部分にはジワッとくるものがあります。

      Mr.スティーブンスが語る過去のエピソードの中に見え隠れするのは、徹底したプロ意識とそれに対する自問自答であるような気がします。でもMr.スティーブンスはMr.スティーブンスであって、そのようにしか生きられない人なのだと思いますし、その中でこそ高貴なる品格を失わなずに生きることが彼の生き様だったのだろうなあと思います。

      誰しもきっとある程度の年齢になれば「あの時こうしていれば」とか「他に違う生き方があったかもしれない」とどこかで思うところがあるのではないでしょうか。

      Mr.スティーブンスも多分ちょっとだけそう思っていながらも、最後に「これで良かったんだ」と、そして「自分の生き方は間違っていなかった」と振り返ります。
      それは彼が彼自身である理由を見失わずに、ストイックに生きたからこそそう思えるのでしょう。

      きっとMr.スティーブンスのように、いつか見知らぬ海岸沿いでそんなことをつぶやけることが幸せなことなのかもしれません。

      設定が現在の日本から遠いのは確かです。例えばMr.スティーブンスのような「執事」はもう英国にさえいないのかもしれず、もしかしたら日本の侍のように、本当にその人達が過去にどんな精神性を持っていたのかは誰にもわからないような、もう消えた人種なのかもしれない。時代も国も違うし、少なくとも自分の周りに「〜ではありますまいか。」なんて言う人はいない。

      でも300ページ以上に亘るMr.スティーブンスの語りかけに耳を傾けていると、こんなことを思うのです。「自分はこうあらねばならない」と思って生きている人って、とても一生懸命で、真面目で真っ直ぐで、だからとても不器用で頑固で誤解されることもあったりして、人生損してるような感じですよね。で、大抵アメリカンな時代感覚からかけ離れていたりしますよね。良い悪いとか好き嫌いではなくて、いますよね、そういう人。

      自分はそこまでストイックに生きていないと思うのだけれど、少なくとも後悔はしないように、できるだけ自分にできることや自分が大切にすることを見失わないように、生きていたいと思うのです。

      そんなことを、執事というペルソナに当てはめて語らせるカズオ・イシグロさんはさすがです。

      他の方のレビューで翻訳が良いと書かれていたのですが、期待を裏切らないきれいな言葉ばかりでした。堅苦しくならずに品格を維持する語りは本当に凄いと思います。
      思わず、「〜ではありますまいか。」っていう言い回しが日常でも口をついて出てきそうなほどに、素敵な翻訳でした。(皮肉ではありません笑)
      >> 続きを読む

      2018/05/16 by

      日の名残り」のレビュー

    • 評価: 5.0

      執事である主人公スティーブンスが短い旅をしながら回想をしていくお話しです。
      強烈なメッセージがあるわけでもなく、大げさな盛り上がりがあるわけではない。
      なのに、とてもとても良い本でした。

      スティーブンスの回想は主に「品格」に関連するエピソードです。良く言えばとても真面目で誠実、悪く言えば融通が利かなくて頑固ともいえる彼の人柄ですが、ラストのエピソードによって好感がもて、爽やかで満たされた気持ちにさせられます。

      絶対泣く!とか、みんな騙される!とか、そういう流行ものとは全くかけ離れた存在の本ですが、ノーベル賞を受賞したことで本屋に平積みされ、私をはじめ多くの人が読むことになったことが素晴らしいと思いました。そして、本書を良い本だと感じる方々とここでレビューやコメントを交換できることがとても幸せだなと思いました。

      しかし、短期間で結果を出すことや小手先のテクニック本が描かれたビジネス書に溢れている今の時代、スティーブンスのような品格を持った人はどれだけいるでしょうか。スティーブンスとは考え方も生き方もまったく違い過ぎる私ですが、でも品格を持った大人でありたいと心から思いました。
      >> 続きを読む

      2018/03/22 by

      日の名残り」のレビュー

    • あすかさん
      私もあすかさんのレビュー読むのが楽しみです♪
      派手さはなく、むしろ地味なんですけど、とっても良いんですよ。(ハードルあげすぎてたらごめんなさい笑)回想のシーンがセピア色で目の前に浮かぶようで。

      ちなみに私は村上春樹を読み終わり、今はディケンズいってます♪
      >> 続きを読む

      2018/03/27 by chao

    • lafieさん
      私の拙いレビューやコメントで読んでみたいと感じてくださった方がいらっしゃるのはとっても嬉しいですー。レビュー書いてよかった!!

      翻訳、素晴らしいですよ。普段はそこまでこの翻訳はどうだとか意識せずに読んじゃったりもするんですが、この本はこの翻訳でこの本の良さが最大限引き出されているような気がします!

      ぜひlafieさんの感想も聞かせてください^^
      >> 続きを読む

      2018/03/27 by chao

    • 評価: 4.0

      初読。遠い昔の英国が舞台だが、久しぶりに川端や谷崎を味わっているような文学の美しさを堪能。

      最近「品格」を問う出来事が後を絶たないが、経済、国勢が傾くと、品は二の次になるようだ。

      英国のように歴史、文化、伝統が成熟し切った国でも「品格」が揺らいだ時代性と、人生の終焉へ向かうの主人公の心境がシンクロするラストの日の名残りが実にほろ苦く、美しかった。

      2017/11/24 by

      日の名残り」のレビュー

    • 評価: 5.0

      是非読んでみてください。
      満たされました。読み終わって心がいっぱいになりました。
      「私は多くを語りますまい」。主人公のスティーブンスっぽく言ってみました。
      私がここで読んだことについて、何かを語ったとしても、それはただの陳腐な言葉の羅列になってしまうのは確実なので、ただ「心が満たされ晴れやかになるようなすばらしい作品」とだけ言っておきます。
      フィナーレもとても美しく郷愁的で、何か印象派の絵画を思い浮かべるような感じがしました。そして一番最後のオチもまた、素晴らしい前フリからの美しい落とし方でした。

      ースティーブンスが海辺の町であったジイサンの台詞ー
      「なあ、あんた、わしはあんたのいうことが全部理解できているかどうかわからん。だが、わしに言わせれば、あんたの態度は間違っとるよ。いいかい、いつも後ろを振り向いていたらいかんのだ。後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。何だって?昔ほどうまく仕事ができない?みんな同じさ。いつかは休むときが来るんだよ。わしを見てごらん。隠退してから、楽しくて仕方がない。そりゃ、あんたもわしも、必ずしももう若いとは言えんが、それでも前を向きつづけなきゃいかん。」

      こういった作品を世に送り続けるカズオ・イシグロが、ノーベル文学賞をとったのは本当に意義深いと思います。私も含め彼の作品に出会える人が沢山増えたという点で。

      >> 続きを読む

      2017/10/16 by

      日の名残り」のレビュー

    • >「心が満たされ晴れやかになるようなすばらしい作品」

      レビュー拝見してとても読みたくなりました。
      絶対読みます!

      カズオ・イシグロさん、実は今まで特に気に留めたこともありませんでしたが、今回の受賞でみなさんのレビューを拝見して一気に読みたくなりました。まだ出会えていない素晴らしい本たちがたくさんあるんだなぁと改めて思うと、ワクワクです。
      >> 続きを読む

      2017/10/17 by chao

    • 作品を通して様々な思いを皆さんと共有出来るのは、とてもすばらしいし、ありがたい気持ちです。 >> 続きを読む

      2017/10/17 by Reo-1971

    • 評価: 5.0

      どこかの大統領が「Make Ame.... Great Again」 って言ってたけど、「Great 偉大な」とはどういう事を言うのだろう。他国の当主を”チビの・・・マン”などと罵るのは偉大だから?自国の利益しか考えないビジネスマンのふるまいは偉大?

      「美しい国へ」とか言ってた総理もいたけど、「美しい」ってどういうこと?批判をされて声を荒げたりヤジを返すのが美しい国をめざす人のふるまい?二重国籍を許さず(イシグロさんは日本国籍を手放している)、在日外国人を排斥(ヘイト)する日本は美しい国?

      偉大な執事とは”何”か。
      偉大な執事とは、「品格」があるということ。感情によって行動しない。”自分”を前面に出さない、控えめな誠実さがある。

      美しい景色には、あたたかくやさしい人がいる。

      真面目で冗談が苦手なイギリス的紳士の執事(冗談や洒落で人を傷つける危険性を考えてしまう)が、アメリカ人の主人のジョークにとまどったり、うまく返せるようになりたいと努力する姿は微笑ましい。

      イギリスの美しい景色と、品格について語る執事の言葉に、現代の日本を考えさせられる。

      美しいとは。品格とは。偉大なとは。
      イギリスの紳士淑女。偉大な執事。
      武士道と騎士道。偉大な師との師弟関係や偉大な主人との主従関係。
      武道、弓道、合気道、茶道、華道、書道など日本の”道”の心と通じるものがあるね。仏道とも。

      今の日本にも、いくらかでも残っているだろうか。
      偉大な、品格のある指導者や主人。
      いないなら、自分が自分の主人になるしかないんだなあ・・・。

      品格を身につけたいものです。

      今回の選挙では、政治家として、人間としての「品格」をもつ人を選びたいのだが・・・。

      出家が無理なら、執事もいいかも、などとちょっと思ってしまった。執事って、人間ができた人(ジョークが上手ならもっといい?^^)が多いよね。
      「わたしを離さないで」とは違ったよさがある。とてもいい作品でした。
      >> 続きを読む

      2017/10/12 by

      日の名残り」のレビュー

    • イシグロさんがノーベル文学賞受賞したニュースが流れた時に、叔母からこの映画がとっても良いから観てみてとメールが来ました。本を読んでから映画観たいなーと思っていたのですが、本も良さそうですね^^ >> 続きを読む

      2017/10/13 by chao

    • 映画にもなってるのですね。映画も観てみたいな~。^^

      2017/10/13 by バカボン

    もっとみる

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    ヒノナゴリ
    ひのなごり

    日の名残り | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本