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わたしを離さないで

4.4 4.4 (レビュー24件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 840 円
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2017年11月の課題図書

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度...。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。

いいね! KEMURINO

    「わたしを離さないで」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      限りなくフィックションの小説に何を求めて、本を買ったり、借りたりするのか? 

      それは、いまだ知り得ぬ世界を見れるかも? という勝手な期待感に尽きるんだ、という小説の面白さを改めて実感した個人的に記念すべき本に出会えた。

      これまで、著者の作品は3作読んだが、いつも頭の片隅にノーベル文学賞受賞者作品という余計な冠(情報)がつきまとっていた。

      今回は、その冠をまったく気せず、予測不能の物語の行方に翻弄され、読み進んだ。この吸引力こそ小説の楽しさだぜ!と実感。

      1990年代末、イギリスという設定で静かに始まる「です」「ます」調、主人公目線の手記タッチ。アンを思わせる、施設で暮らす思春期少女の成長記と思いきや、「提供者」「介護人」「保護官」という関係性が飲み込めない違和感に引っ張られながら、第20章あたりから、「えー!マジ! 聞いてないよ!」と驚愕。

      登場人物たちの言動、感情など、それまでめくってきた全ページが、歩に落ちる、物語構成に打ちのめされた。

      ノーベル文学賞ってSF、純文学、大衆文学なんていう狭いカテゴリーをはるかに超越した世界を創造できる人に与えられるんだぁ、と納得。映画もぜひ観たい。
      >> 続きを読む

      2020/09/15 by

      わたしを離さないで」のレビュー

    • SF好きなもので、ネタに関してはかなり初期の段階でわかっていましたが、この小説の凄さは驚きやどんでん返しではないですよね。
      もっと深いところを抉るような後を引く問題意識が喚起されます。
      イシグロ氏は特にSFを書いたつもりはないそうです。
      確かに科学的理論的にはなんの根拠も設定もないのですが、立派にSFしてると思います。
      一見ありえない物語ですが実は現実世界を活写したものです。
      ナチスのゲットー、戦火の国々、中国におけるウイグルの殲滅政策などまさにこれと等しい大問題で、彼らに向かってなぜ逃げない?とは軽々しくいえないですよね。
      大局に立てば生きることやがて死ぬことは万人が逃れられない運命な訳で、
      生まれる国家を選べず、国家に縛られて生活している我々も主人公たちと大差ないとも…。

      映画はキャストの名演とイギリス的ムードに支えられて、悪くないです。
      でも残酷過ぎるワンシーンが全部持っていってしまって、
      脳裏に焼きついちゃうのが、狙った通りなのか、失敗なのか。
      それとラストシーンはこれじゃない!!って思って。
      ノーフォークはもっと魅惑的で寂しくて美しいはず。
      私はドラマが観たいです。再放送しないかな…
      >> 続きを読む

      2020/09/19 by 月うさぎ

    •  月うさぎさんの推察、読み取りにグッときました。どんな環境に生まれてくるか? 未来を選べない、現実を変えられない恐怖。そんな人生に翻弄されている人々の内面と社会との繋がりをフォーカスした鋭く、深い作品だと思います。映画もドラマも未見ですが、原作の空気感がどのように描かれているのか? 興味がわきます。 >> 続きを読む

      2020/09/21 by まきたろう

    • 評価: 4.0

      タイトルは
      キャシー・Hがヘールシャム時代に好きだった
      ジュディ・ブリッジウォーターの曲

      裏表紙に
      "提供者"の世話を…
      と書かれていたのを見て、
      サスペンスか?
      となって読み始めた

      キャシーの一人称

      31歳で介護人をしていて
      もうじき辞めますという書き出し

      あっという間に回想を語りだし、
      いつ31歳の現在になるのかと期待したが
      いつまでも
      幼少時に過ごした施設ヘールシャムから出て行かず、
      もう、キャシーがヘールシャムを出て
      コテージに移った下りからは
      諦めの境地に達していた

      カズオ・イシグロは男性なのに
      本当に31歳の女性が語ってるような
      細かい表現、
      それも特に心理描写が素晴らしい

      SFでもあるし、
      でも静かな印象で、
      文学作品と言っても過言ではない

      終わりが確実に来る関係性の切なさに
      胸が締めつけられる

      キャシーは
      介護人をやめてからどうなったのだろうか
      >> 続きを読む

      2020/07/23 by

      わたしを離さないで」のレビュー

    • 評価: 5.0

      予備知識を全く持たずに読んでよかった。いつか再読すると思うが、同じような気持ちでは絶対に読めない。まだ読んでいない人はぜひとも何も知らないところから読んで欲しい。
      ずっとベールがかかっているような感じだった。わりと早い段階で、「これは、もしや、そういうこと・・・?」と思いつくのだけれど、やはりベールはかかったままで終盤まで引き込まれる。構成がすごい。この構成と、静かな語り口と、物語の設定・・・物語の好き嫌いは別にして、読者を引き込む力がすごい。さすがの一言。
      物語の設定自体も、「こんなことあるわけない」と一蹴できないところが、また多くの読者の心を揺さぶる一因なのかも。もしかしたら現実に起きることかも、いや、もしかしたらすでに・・・、なんて思うと虚無感に襲われる。なんで、こんなにも過酷な運命を、静かに受け入れているのか。なぜもっともっと抗わないのか・・・。実はそれこそがヘールシャムの真の目的だったり・・・いや、真の「効果」だったり・・・
      読了後、しばらく、心から離れない。

      >> 続きを読む

      2020/02/12 by

      わたしを離さないで」のレビュー

    • 評価: 4.0

      こんなにも感情を抑えて物語が書けるのか。
      些細な事をものすごく細かく書いているのに、登場人物たちの内面にはあまり踏みこんで描かれていない。誰にも感情移入できず、なんだか突き放されたような、不安な気持ちにさせられる。

      あまりにも過酷な運命なのに、登場人物たちはそれを疑うこともなく、当たり前のこととして受け入れているように見える。どうして異を唱えないのか、あらがおうとしないのか。終盤で主人公が行動を起こす場面もあるが、それだってあまりにもささやかだ。こんなことが許されていいはずがないと思いつつ、いつか現実のものとなる日が来るのではないかと、空恐ろしい気持ちになった。

      最後の場面があまりにも悲しい。

      >> 続きを読む

      2019/05/19 by

      わたしを離さないで」のレビュー

    • 評価: 5.0

      実は1ヶ月以上前に読了していましたが、感想がなかなか書けませんでした。
      虚無感・・・というのが正しいのかな。
      私のなかなか纏まらなかった気持ちは置いといて、静かに淡々と進んでいく作品は本当に素晴らしかったです。

      作中はっきりと語られてはいないけれど、「提供者」が何を指していて、そして寄宿学校の生徒が将来どうなるか、なんとなく感じ取ることができます。
      その中で「介護者」とはどういう役割か、マダムの作品選びは何の目的があるのか。
      知りたいようで、知るのが怖い。
      続きが気になって頁を繰る手が止まりませんでした。




      以下ネタバレです。








      クローンを扱った作品は他にも触れたことはあるのですが、ここまで揺さぶられたのは初めてでした。
      何が衝撃だったかというと、違和感を持ちながらも私たちと同じように学校生活を送り、同じように恋人や友人関係のことを考えているところです。
      それなのにヘールシャムを出て、コテージを卒業後は提供者となったり介護人となることを彼らは受け入れます。

      私たちと彼らクローンにどのような違いがあるのでしょうか。
      そう言いたくなるくらい、彼らの心情が繊細に描かれていて、身に覚えのある感情ばかりでした。

      科学が発達し、いつか同じようなことが起こりそうだから怖い。
      >> 続きを読む

      2018/12/01 by

      わたしを離さないで」のレビュー

    • chaoさん
      いや~、本当に考えさせられました!
      淡々と語られているのがまた、この本に関しては重みを増してくるというか。
      感想を書いた今となっては、良い時間を過ごしたなぁと思わせてくれますね。

      別件ですが、ドストエフスキー亀山訳読みやすいでしょう!(それがいいか悪いかは私にはわからない(;^_^A)
      カラマーゾフ読みたいなぁ。
      >> 続きを読む

      2018/12/04 by あすか

    • 月うさぎさん
      キャシーたちに寄り添ってしまう気持ち、すごくわかります!!!
      特に救いのないまま、それでも状況を受け入れていく彼らのことを考えると、自分の中で感想がなかなか纏まらなくって。
      私たちと何も変わらないというのを描き、こんな気持ちにさせてくれたこの作品。
      今まで感じたことのない読後感でした!
      >> 続きを読む

      2018/12/04 by あすか

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      • 評価: 5.0

        前置きとして、まず読んで思いに浸りましょう、それぞれに。
        だからちょこっとだけ感想書きます。

        読み終えた時、とても静かな悲しみが自分の周りに広がっていた。冬、誰もいない海岸、目の前の広大な海に、ブイだけがぽつんと浮かんでいる、そんな静かな悲しみ。

        その静かな感じはどこから来るのか?

        カズオ・イシグロが自然に、とても自然にストーリーを運んでいっているからだ。だから主人公のキャシーは次々に起こる死を静かにに受け入れていく。キャシーと同じように私たちも死を(死の場面を)静かに受け入れる。それは私たちが提供者の宿命を分かっているからかもしれないが、カズオ・イシグロのストーリー運びの絶妙さに依る所もかなり大きいと思うのである。

        一番私の心に居座っているのは、我々が他人や自分の死を受け入れる時の心の持ち方を(提供者というフィルターを作品から少し獲得した心で)、改めて考えることである。

        火をつけるとパチパチ火花が勢いよくはぜて、そのうち小さなチリチリになって、そして小さな火の球ほのかに光り、最後にポロッと落ちる、そんな線香花火のような風情の作品だと感じました。
        >> 続きを読む

        2017/10/18 by

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