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夜想曲集

音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
3.7 3.7 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 819 円

ベネチアのサンマルコ広場で演奏するギタリストが垣間見た、アメリカの大物シンガーとその妻の絆とは―ほろにがい出会いと別れを描いた「老歌手」をはじめ、うだつがあがらないサックス奏者が一流ホテルの特別階でセレブリティと過ごした数夜を回想する「夜想曲」など、音楽をテーマにした五篇を収録。人生の夕暮れに直面して心揺らす人々の姿を、切なくユーモラスに描きだしたブッカー賞作家初の短篇集。

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    「夜想曲集」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      【美しくて哀しい5篇の音楽】
       この短編集は、いずれも音楽にまつわる物語を収録した物です。そのどれもが美しく、そして悲しみをたたえているように感じました。好著だと思います。

      ○ 老歌手
       舞台はベニス。バンドを渡り歩いているギタリストのヤネクが往年の大歌手トニーと偶然出会います。トニーは、ヤネクの演奏を気に入り、一緒にゴンドラに乗り込んで伴奏してくれないかと頼んできます。何でも、とある窓辺でトニーが歌うのだそうです。曲の構成はこうしよう、この曲は知っているか?などと熱心に語りかけるトニー。
       トニーは妻と一緒にベニスに来ているのですが、おそらく奥様に歌ってあげるのだろうと、ヤネクは思っていたのですが……。

      ○ 降っても晴れても
       古い友人の夫婦を久しぶりに訪ねた主人公ですが、どうも夫婦の様子がおかしいのです。何やら険悪な雰囲気も。旦那の頼みで夫婦関係修復のためにあれこれやってみる主人公ですが、これがまた失敗続きで。しかも、偶然奥さんのメモを読んでしまい、愕然とするハメに。
       この作品には音楽家は登場しませんが、主人公と奥様が共通の音楽の趣味を持っているという設定で、アメリカの古いブロードウェイ・ソングがBGMのように登場します。


      ○ モールバンヒルズで
       主人公はシンガーソングライターを目指す青年。カフェを経営している姉夫婦の元に転がり込み、手伝いをしながら曲を作っていました。そんなとき、カフェに客としてやってきた夫婦に出会い、彼のオリジナルを気に入ってもらえます。
       奥様はかなりツンケンしているのに、旦那様はそれを一生懸命なだめる人当たりの良い人のように思えるのですが、どうも雰囲気がおかしい。
       「あの……うまくいっていないのですか?」

      ○ 夜想曲
       スティーブは才能豊かなジャズ・サックス奏者。実力はあるのですがどうにも売れません。マネージャー曰く、「その顔がなぁ。」スティーブはひょんなことから成形手術を受けることになります。マネージャーは、「これで大ウレ間違いなし!」と妙な太鼓判を押します。
       この成形医はかなり高名な医者で、有名人からの依頼もひっきりなし。そのため、この医者の手術を受けた者は、顔の傷が癒えるまで、顔を包帯でぐるぐる巻きにされたまま豪華なホテルに閉じこめられます。
       さて、とある時、偶然このホテルで成形の傷が癒えるのを待っていた大スターの女性と出くわします。はじめは嫌々ながらも、マネージャーからの「チャンスを逃すな!」との叱咤激励もあり、そのスター女性の部屋を訪れるようになったのですが……

      ○ チェリスト
       イタリアのリゾート地で観光客相手にチェロを弾く主人公。実は正規の音楽教育を受けており、高名な師匠にもついていた経歴を持っているのですが、そんな彼の演奏を聴いて話しかけてきた女性がいました。
       要は、あなたには良い才能があるのだけれど、このままではダメだと。
       分かったような口をきくことから、「すみません、あなたのお名前は?」と尋ねるも、全く知らない名前。でも、女性はチェロの大家だと言います。これは自分が共産圏出身のために情報に疎いだけかもしれない。
       女性から誘われたこともあり個人レッスンのようなものを受けることになります。
       確かにこの女性の指摘は的確で、指導を受けることによりこれまでにはない演奏ができるようになっていきます。
       ですが、どうしたことか、この女性は一度もチェロを弾こうとはしません。それは……

       大変素敵な短編ばかりでとても気に入りました。
       音楽をテーマにしているというのも良いですよね。
       特に、最初の「老歌手」と最後の「チェリスト」が私のお気に入り。
       静かで、悲しみをたたえた作品です。
       2作目の「降っても晴れても」と4作目の「夜想曲」は、ユーモラスな一編ですので、真ん中の「モーバンヒルズで」を挟んで、まるでA-B-C-B-Aという構成の一つの楽曲のようにも思えます。
       カズオ・イシグロは「私を放さないで」に続いて2作目の読書でしたが、なかなかに好きな作家さんかもしれません。
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      2019/02/13 by

      夜想曲集」のレビュー


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