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キャッチ=22〔新版〕(上) (ハヤカワepi文庫 ヘ)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: Joseph Hellerジョーゼフ ヘラー
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    「キャッチ=22〔新版〕(上) (ハヤカワepi文庫 ヘ)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      私が偏愛する映画の1本に、マイク・ニコルズ監督、アラン・アーキン主演の戦争を風刺したブラック・ユーモア不条理劇の秀作「キャッチ22」があります。

      この映画の原作であるジョーゼフ・ヘラーの「キャッチ22」(上下巻)は、戦争に付随する腐敗と狂気と官僚主義を痛烈に皮肉った作品だと思う。この小説が発表された当時は、そのあまりの先鋭的な内容に現実が追いつかず、一部の読者の支持しか得られなかったそうです。

      しかし、ほどなく現実の戦争がこの作品の内容に似てくるという事態が起こってくるのです。このジョーゼフ・ヘラーが描いた、戦争基地における正気と狂気の逆転、限りなく無意味に繰り返される爆撃作戦などの状況は、やがてヴェトナムで現実のものとなるんですね。

      この「キャッチ22」は、私の考えでは未来社会の圧政を描いたジョージ・オーウェルの「一九八四年」と並ぶ、強烈なシンボル性を備えた作品だと思っています。

      この作品の舞台は、第二次世界大戦末期の中部イタリアにあるアメリカ空軍基地と、一応は指定されていますが、ここを真に支配するものはキャッチ22と呼ばれる幻の軍規だ。

      公文書がすべての事実に優先し、秘密機関が暗躍し、権力者は私欲のために戦争をとことん利用しようとする。

      一方、兵士たちは、一定の出撃回数をクリアすれば除隊して帰国できるだろうとの夢を持つ。ところが、任務回数はいつの間にか増えていく。除隊の日など永遠に訪れそうもないというパラドックスに陥ることになるのだ。

      「気が狂っている」というキーワードが、この物語の中に無数に出てきます。あまりにも使われ過ぎて、逆に意味を喪っているようなんです。それは、正気だという意味でもあれば、単に無感動だという意味でもあるんですね。

      この作品に現われる、異常なエピソードや常軌を逸した人物たちに目を奪われても、恐らくそれ自体は何も語っていないのだと思う。

      このあまりにも不条理な世界にどっぷりと浸かりながら読んでいると、この世界が永遠に続く悪夢的現実であるかのような錯覚に陥ってしまうんですね。


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      2018/02/07 by

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