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春にして君を離れ

4.4 4.4 (レビュー10件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 714 円
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2018年04月の課題図書

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる...女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

いいね! Minnie MissTerry chao bakabonn

    「春にして君を離れ」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      久しぶりの読書。
      良妻賢母、幸せに生きてきたと語る主人公のジョーン。しかし、体調の悪い娘に会うためバクダッドへ旅をし、帰り道列車が遅れたため何日も足止めに。何もすることがない砂漠の街で、人生を振り返ると、次々に彼女にとって悪い考えが浮かぶ。


      全てをコントロールしていたはずの自分が実は何も知らなかった。向き合う勇気を持ち合わせず、夫や子供たちを理解していなかった。新しい自分に気がつき、帰国するジョーン。不思議とそんな彼女を応援する気持ちが芽生えるのだが、、、結末は、、、。

      救いは結局ジョーンのみならず、夫ロドニーや子供たちも彼女と向き合う勇気がなかったことかな。彼女だけのせいではない。そう考えているうちに、影の主役はレスリーではと思ったりも。

      女性向けの本何でしょうか。その辺はわかりませんが、夢中になり一気読みでした!
      >> 続きを読む

      2018/05/21 by

      春にして君を離れ」のレビュー

    • 評価: 4.0

      旅の本質は「非日常」です。
      生まれて初めて足を踏み入れた場所にいる。それだけで特別な気分になるものですが、もっとも日常とかけ離れた環境――沙漠にたった一人で向き合わなければならなかったとしたら、心はどこへ彷徨いだすことでしょう?

      主人公ジョーンは英国の中流階級の専業主婦。
      弁護士事務所を営む夫の収入で豊かな暮らしをし、子どもを育て上げ、日々様々な用事をこなしそれなりに多忙な充実した人生を送っている良妻賢母。

      「物思いにでもふけるしかすることがないようなところでにっちもさっちもいかなくなったら」
      旧友とのこの会話が現実になるとは!

      交通網が不備な時代の旅行には遅延はつきものですが、
      よりによって砂漠の真ん中の駅のレストハウスにただ一人の滞在客として取り残されるハメに陥ります。

      駅とレストハウスと国境の鉄条網。
      それ以外ははるかかなたまで広がる漠とした砂の世界。
      もし目印を見失うほど遠くまで歩いてしまったら、方角を失い遭難の危険も大です。

      静寂、日光、そして孤独……

      それは果てしなく広がる牢獄

      なんとも奇妙で恐ろしく魅惑的な設定です。
      文明人は果たしてこの環境に何日耐えられるものでしょう?

      ジョーンは家族への献身が実は自己満足と無理解による押しつけであったことに気づき、愕然とします。
      「愛するだけでは十分ではないのだ」

      人は信じたいことだけを信じ、理解できないものや不都合な真実に目と耳をふさぎ、知らなかったことにしがちです。
      正論には保身や自己都合の裏が隠れています。

      「あなたのためだから」というCMがありましたっけ。
      まさにあれが表現しているのが真相ですね。

      ジョーンは、子どものためという伝家の宝刀を振りかざし、今迄自分を疑う事なく家族を隷属支配してきました。真の姿を知り、新たな関係性を築くことができるでしょうか?

      人間性をするどく見つめるクリスティの非ミステリー小説。
      考古学者の夫と共にアフリカや中東へ実際に旅をした経験が生きています。
      男性なら歴史や自然や哲学に目が行くことでしょう。
      リアルな自己の内面へと向かうという切り口が新鮮です。
      それもエッセイという形ではなく、ドラマティックな小説に作り上げてしまうなんて。クリスティの才能を見せつけられた気がします。

      でも、以前この小説を読んだ時、正直結末にとっても不満だったのです。
      再読すれば、この結末が所詮大方の人生の姿なのだという意味で、書き手としては当然こう書くべきだったと気づきます。
      でも、物語を読んだ時のカタルシスが全然なかったのですよね。
      小説には、現実ではないものも求める場合がありますから。要するに、せめて小説ではハッピーエンドになってほしいとか、そんな希望がありますよね。
      それがどこにもいかないというエンディング。(今風かも)

      今回特に強く感じたのは、妻ってのは男にとってペットなのね。ということでした。
      「愛だけではだめ」というのは妻の立場からの問題だけではない。
      「大事にするだけではだめ」なんですよ。
      夫婦が互いに人生のパートナーであるか否かという大切な問題です。
      ロドニーにとって、子どもたちは自分の人生をかけた大事な存在でした。しかし妻は、結婚した責任はあり、護るべき大切な女でありながら、共に生きる相手ではありません。
      心を打ち明け、人生を分かち合う事をとうの昔に諦めたのか、最初から期待していなかったのかはわかりませんが、人として認められていないことは間違いないです。
      これは夫婦のあり方としてどうなのか?というクリスティの問いかけがあります。
      オースティンの「高慢と偏見」の父も妻に対してこういう態度でしたから、英国のジェントルマンの伝統的な男像なのかしら?

      ここにはジョーンと真逆の女たちが登場します。
      彼女らは客観的に見て幸せな人生ではありませんが、本人は精一杯自分らしく生き、あがきつつも幸せだと考えています。
      簡単にこの生き方が正解、と、決めつけてはいないのですが、読者は彼女たちから何かを感じ取ることでしょう。

      アガサ・クリスティーは心の底から本物の作家なのです。
      流行作家ではなく。
      >> 続きを読む

      2018/05/09 by

      春にして君を離れ」のレビュー

    • わー月うさぎさんのレビュー!
      楽しみに待っていました^^

      >小説には、現実ではないものも求める場合がありますから。要するに、せめて小説ではハッピーエンドになってほしいとか、そんな希望がありますよね。

      私の場合はここでハッピーエンドだったら☆評価3くらいだったかもしれません。「いつでもやり直せるよ!」みたいなメッセージの本になってしまったらそれこそ普通~と私は思ってしまうかもと思うのです。

      >この結末が所詮大方の人生の姿なのだという意味で、

      そうなんです!!!人が変わることがいかに難しいことなのか。残酷なようですが、人間の本質がものすごい鋭く描かれているような気がして。

      でもジェーンみたいな人生絶対嫌ですけどね(T T)
      >> 続きを読む

      2018/05/16 by chao

    • chaoさんのレビューでそのお話し、しましたよね♪
      〉「いつでもやり直せるよ!」みたいなメッセージの本になってしまったらそれこそ普通~と私は思ってしまうかもと思うのです。
      ですよね!
      今回は結末がわかっているので、じっくり展開を読み込めました。
      この小説こそが、作家の目だと思います。
      人ってなかなか変われないものです。
      まして人を変えるなんて至難の業ってことですね。
      自分の人生に不満のある人は、好き好んで不満な人生を選んで生きているのだとそう思い知らされます。
      ぞっとしますね。
      >> 続きを読む

      2018/05/16 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      他の方のレビューの評価が非常に高く、
      かつ2018年4月の課題図書だったため、恐る恐る手にとってみました。
      おかげで新しい読書ができました。


      お金に不自由することもなく、
      優しい夫と子供3人に恵まれているというのに、
      なんという不幸なジョーン・・・

      過去にも他人からの忠告はたくさんあったはずなのに
      すべて自分の都合の良いようにしか解釈せず
      問題に正面から向き合ってこなかったのだから自業自得とはいえ、
      この先の彼女の人生が気の毒で仕方ありません。

      でもせっかくの気付きを無駄にして、また同じ選択をしたのですからどうしようもない・・・

      夫も夫だ、と思わなくもないですが、
      でもロドニーもきっと今まで多くの助言をしてきた上で、
      あきらめの境地に至ったのだろうな、と思わずにはいられません。
      だって、いくら夫婦とはいえ、他人の心を変える事は相当に困難ですから。

      独りよがりな人生の孤独さ、空しさを恐ろしいほどに感じました。
      >> 続きを読む

      2018/05/07 by

      春にして君を離れ」のレビュー

    • >上から見下ろしつつ、ある意味可愛がっているというか^^;
      私も自分のレビューで書いていますが、ロドニーは妻をペットと思っていますね。
      かわいい動物。
      かわいがって、贅沢させて、気持ちよく過ごさせてあげて、そりゃあ時には馬鹿!って思うけれど、所詮動物。言葉が通じないから我慢我慢…。
      飼った以上死ぬまで責任もって見てあげるからねって感じよね~。
      >> 続きを読む

      2018/05/11 by 月うさぎ

    • ペット!ペットですね!!!
      でも人として認められていない妻って・・・
      なんて気の毒な(涙) >> 続きを読む

      2018/05/14 by アスラン

    • 評価: 5.0

      サスペンス・・・ですか?(たしかにドキドキ最後まで引き込まれる)
      でも仏教(瞑想、悟り)のお話かと思いました。

      ジョーンは気の毒で、可哀想、、、。

      人間は誰だって「善かれ」と”思って”することが、実は”自分の思い”通りにしたかっただけ(気づかないうちに自分の都合優先)だったりするもの。だって、人間だもの。どうしても主観でしか物事を見ることができないから。「自分」(という幻想)がどうしてもなくせないから。悪気はないのよ。仕方ないじゃん。特に、家庭では家庭を”仕切る”役割の母親はその傾向になりがち(最近は毒親と呼ばれたり。でも、母親だけじゃないし、会社でも、どこでもそうだよ。結局は”エゴで思うこと”が間違いのもと)

      ジョーンは思いがけず”気づきの瞑想”をすることになったわけだね。簡単に言えば”ありのままの自分を見つめ直す”経験。偶然、一人静かな場所で自分を見つめることになる。(日本仏教では”内観”ていうのかな?)そこで、色々な真実に気づく(とかげが顔を出す)。

      けれど、それは過去の”記憶”の中から見えた真実の一部。決して、「今、ここ」の自分、人間というものの本質を発見したわけではない。

      惜しいことに、、、帰宅するとまた元の「自分」に戻ってしまった。自分に都合のいい思考で真実をまた覆い隠してしまった。

      夫のロドニーも長女のエイブラハムも冷静で理性的で物事がよく見えている。言うことはその通りだし、間違ってない。ジョーンは「自分の主観的善意」を押しつけて、家族を「管理・支配」していることに気がつかないのだね。支配される側のロドニーや子供たちの気持ちは分かる。

      けれど、家族なら母親への「やさしさの絆」を断ち切ってしまわないでほしかったなあ。母親を冷ややかな目で見るだけでなく、あきらめてしまうのではなく、ジョーンのために真実に気づかせてあげる努力は必要だと思う。一緒に暮らす夫婦ならお互いのため。子どもならそれが親への恩返しでもある。(そのためにはロドニーや子どもたちがジョーンを乗り越え、悟る必要がある。難しいね^^;)

      いや、ロドニーは努力したんだ。
      でもジョーンの人生なんだから、ジョーンが自分で悟るしかない。人をどうこうすることは無理なこと。ロドニーはジョーンのように押しつけることはできない。

      だから、ただ「かわいそうな・リトル・ジョーン」と言うしかなかったのか。

      >君はひとりぼっちだ・・・・気づかずにすむように。

      いやいや、自分の人生を歩くのは自分ひとりだけだけれど(ひとりぼっち)、互いの人生に寄り添って一緒に歩くことはできるよ。人は一人一人ちがう人生を生きているけど、ひとりぼっちじゃない。人間は繋がっている(それが慈悲喜捨の心であればいいのだけど)。

      (もっと深い思いがあったのかもしれない。深いあきらめ。でも、ジョーンは生きてるしまだ若いし、これから変わることができると思うのだけど…)

      ひとりぼっちだけど、ひとりぼっちじゃない。
      このことは、きちんと気がついた方が絶対にいい。
      ありのままに気づいて、幸せをめざす方がいい。

      悟り切れない人間の哀しさ。
      子供たちは離れるだけで、乗り越えることができていない。
      ロドニーはレスリーに憧れていた(愛ではないと思う)。
      一番悟っていたのは、レスリーだったんじゃないかな。悟った人への憧れ。悟った人はすっきり明るく生きるのです。

      見方によっては、小説はみんな悲劇です。「この世は苦」をまざまざと見せてくれる。でも、それを学びにして幸福への道を歩きたいと思います。

      自分を静かにじっくりと見つめる時間をもった方がいい。慈悲の心を育てた方がいいと思います。苦だけど無常。


      久しぶりに一気読み。名作です。
      >> 続きを読む

      2018/04/18 by

      春にして君を離れ」のレビュー

    • これはまさに心理サスペンスですね。名作です。
      でもさすがバカボンさん!この小説にも「仏教」を発見してしまうなんて!!
      クリスティが主張していた「人間性」ってものが分かった気がしました。
      心の奥底に幾重にも人は言わなかった本音や思い出したくない過去を押し隠しています。
      それを含めて人を描くことが小説の使命なのだと彼女は考えていたことでしょう。
      ひょっとすると人は「悟り」たくないのかもしれないです。
      自分にとって都合のよい世界を自己像を手放すのが怖いから。
      >> 続きを読む

      2018/04/21 by 月うさぎ

    • 世の中や自分自身をありのままに見ると、苦(問題)が見える。でも苦なんて見たくない。だから苦に目をつむる。自分の見たいように見る(見える)、聞きたいように聞く(聞こえる、解釈する)。それで、苦がなくなったような気になる。でも、苦はなくなったわけではなく、そのままある。人は人生という苦の激流の中でもがいているだけ。苦をありのままに見て、それをうまく乗り越えた人だけが幸福へたどりつくことができる。

      人は悟り(幸福、涅槃)の方法、道がわからないんですね。わかってもやりたくない。苦(自分は…という意識、自我が原因)を認めたくない。悟りたくもないのでしょう。本能(自我)のまま好き勝手に生きるのが楽だと思って逆に苦しんでいる。不幸になるようなことは楽々できてしまう。本能(自我を守りたい)にやられている状態ですね。自分かわいさのために自分を苦しめる。逆、逆。かわいいなら、ちゃんと苦を見ないと。

      ・・・みたいなことばっかりですね、この世は。人間って。
      ああ、人間のワタシ。

      でも、仕方がないのです。「だって人間だもの・・・」(相田みつをさんの気持ちがわかるわ~)
      だから、人間に生まれてきたんです。悟ってたら人間に生まれてないです。悟ること、今ここのありのままを見ること(瞑想)、過去の妄想(間違った記憶や感情など)に執着しないこと、、、できそうで、なかなかできないものですね(だって人間だもの・・・しつこい?)^^;

      クリスティもこんなこと考えてたんでしょうかね^^
      >> 続きを読む

      2018/04/21 by バカボン

    • 評価: 5.0

      『あなたは少々自己満足の気味があります。
       自分のことばかり考えずに、ほかの人のこともお考えなさい。
       そして、責任をとることを恐れてはなりません。』

      物語中盤の回想シーン。
      聖アン女学院の卒業前面接で、ギルビー校長にジョーンはこう指摘されています。

      テル・アブ・ハミドのレストハウスで孤独と恐怖の中、自分自身が送ってきた人生に疑問を感じ始めるジョーン。
      根も葉もない想像なのか、それとも真実なのか。
      主人公の不安や悲しみが同じように伝わってきて、終始胸がざわざわしました。

      4月の課題図書。
      クリスティの心理描写の上手さが際立つ本書です。
      夢中になって1日で読み終えました。

      *以下ネタバレ含みます












      異国で孤独と恐怖の中でしか、自分を見返ることができないのが愚かな上に、最後の選択が結局そうなるか!というかんじで。
      すごいですよね。
      イギリスに帰り、自分の普段の生活が色濃くなってくると、ああもあっさり考えを変えるのですから。
      リアルすぎて全く否定できません。
      夫ロドニーの考え方も、そう思いながら自分を保っているのかな、と思いながらもちょっと・・・

      皆、子供たちも含めその道を選択し続けたのもまた、家族の在り方だと思います。
      ある程度満足感はあるかもしれないけど、寂しい人生だな。
      >> 続きを読む

      2018/04/18 by

      春にして君を離れ」のレビュー

    • あ、全然OKです!無問題です( ‐ω‐)b
      期待して頂けるのであれば頑張ります(笑

      その為にはこれからも色々な方面にアンテナを常に張って置かなければ…(*^^)v

      がんばるぞい( -`ω-)✧
      >> 続きを読む

      2018/04/22 by 澄美空

    • 美空さん
      快くOKしてくださり、ありがとうございます!!!
      どんな変化球もキャッチできるよう頑張ります♪
      なんて(*^▽^*)
      >> 続きを読む

      2018/04/22 by あすか

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