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ゴールデン・オレンジ (Hayakawa Novels)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: ジョゼフ ウォンボー
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    「ゴールデン・オレンジ (Hayakawa Novels)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      初めて読む作家ジョゼフ・ウォンボーの「ゴールデン・オレンジ」。なかなか洒落た小説だった。この本の題名は、物語の舞台になっているオレンジ郡ゴールド・コーストを、ひねってつけたものだと思う。

      「ゴールド・コースト」という地名は、アメリカ東海岸にもある。それをそのまま題名にした、ネルソン・デミルの小説もあったと思う。この地名のつく土地は、大金持ちの住宅地らしい。それで、いつも金持ちが絡んだ小説の舞台になるのだろう。

      この本の主人公ウィニーは、警官上がりの貧乏人だ。離婚して、別れた女房と娘の養育費を払っているからだ。しかも、娘は双子で、ウィニーにとっては養子なのだ。

      警官として15年間勤めたが、大金持ちのヨットに侵入した泥棒を捕まえる時に、高いところから落ちて椎間板ヘルニアとなり、そのために退職しなければならなくなった。

      そして、その後、フェリーの運転手となったものの、酒癖が悪く、あるクリスマスの日に一杯機嫌で船を出して、二百艘の船のパレードに向かって突撃し、突っ込んでしまう。

      こうして、ウィニーは飲酒運転の罪で逮捕されるが、同じ警官上がりの判事の温情で禁固5日、執行猶予付き、罰金千ドルを言い渡される。もちろん、警官の前歴のある男が刑務所に入ったら、無事では済まないからだ。

      ここで面白いのは、この判事がウィニーを呼んで、個人的に判決を言い渡した後、ウィニーに訊ねる。拘置所でおならをしたら、その音を聞いた他の囚人たちが何と言うか、知っているかと。

      ウィニーは知らないと答えると、「てめえ、まだヴァージンだな」と言うのさと判事が言うのだ。だから、酔っ払いたくなる度に、思い出せ。自分のおならの音が聞けるのが、どんなに素晴らしいことかと。こういう調子で、この物語は進んでいくんですね。

      ともかく、ウィニーは釈放されて、バーで性懲りもなく飲んでいると、テスというとびきりの美人に出会うのだ。彼女は、どうもウィニーに興味を持っているらしい。クリスマスの騒ぎは、もちろん新聞種になったから、それも不思議はないのだ。

      テスはこのあたりにたむろしている女の一人で、この連中は、ともかく金持ちの男を捕まえたがっているのだ。こうした女たちを"ホット・ママ"と呼ぶらしい。

      こうして、ウィニーとテスは次第に親しくなっていく。テスはウィニーを自分の父親のものだった別荘に招待する。その別荘の今の持ち主ワーナー・スティルウェルは、父親の親友だった男だ。テスの父親は、この別荘を遺産としてワーナーに残したのだった。

      このあたりから、この小説はいささか恋愛小説のような趣を帯びてくると同時に、謎が始まっていくことになる。テスとウィニーが馬で散策に出たところで、何者かに狙撃されるのだ。なぜテスが撃たれなければならないのか?-------。

      ウィニーはテスのために調査を始めることにする。調べていく中で、テスの父親は、自分が癌だと知って自殺している。テスの父親は大金持ちだったはずだが、テスはほとんどお金を持っていない。

      前の夫と離婚した後、今ではお金のことを考えなければならなくなっている。しかし、テスがお金に困らなければならなくなるほど、父親に金がなかったわけではないのだ。

      では、財産はいったいどうなったのか? ワーナーが何かを知っているはずだ。果たして、テスの父親は本当に自殺だったのだろうか?-------。

      それにしても、ウィニーは、かつてテスをどこかで知っていたような気がする。いったいなぜ、どこで?-------。ロマンティックな気分と謎解きが相伴い、物語は後半部に推理小説として急展開していくことになる。

      確かにこれは推理小説なのだが、誰も死なないという推理小説は、実に珍しいと思う。また、ヨットのような小道具の使い方が実に気が利いていて、登場人物にもそれぞれ必然性があって、割合によく構成された話になっていると思う。

      さらに、ウィニーの真面目さが、倫理を語るものとしての推理小説という面をきちんと表していて、上質のエンターテインメント小説になっていると思う。


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      2018/03/14 by

      ゴールデン・オレンジ (Hayakawa Novels)」のレビュー


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