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ハーモニー

4.0 4.0 (レビュー5件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,680 円
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第5回 大学読書人大賞 / 大賞

「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」―御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。誰もが互いのことを気遣い、親密に“しなければならない”ユートピア。体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。そんな優しさと倫理が真綿で首を絞めるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した―。それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。これは“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語―。『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。

いいね! KEMURINO

    「ハーモニー」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 3.0


      夭折の天才作家・伊藤計劃の、美しくもグロテスクな、究極のユートピアを提示した遺作「ハーモニー」を読み終えました。

      この作品は、デビュー作の「虐殺器官」に次ぐ、長篇2作目で、星雲賞日本長篇部門と日本SF大賞をダブル受賞しています。

      そして、この作品は、病床で執筆され、刊行後、著者は34歳の若さでこの世を去りました。

      21世紀後半、アメリカに端を発する、大災禍と呼ばれる世界的な混乱の後、体内モニタリングシステム・WatchMeにより、病気はほぼ消失し、生命も身体も公共物であるという、倫理観の浸透した、徹底した福祉社会が形成されていた。

      そんな善意で満たされたユートピアへの、ささやかな抵抗として、15歳の少女たちは、餓死を選択するのだった-------。

      それから13年後、世界各地で数千人が、一斉に自殺を試みるという事件が発生し、世界は再び、恐怖と混乱の中に叩き込まれる。

      そして、あの時、死にきれなかった少女のひとりである、霧慧トァンは、事件の裏に死んだはずの友人、御冷ミァハの影を見るのだった。

      自己と他者、そして人間の意識に関する、思索の果てに提示されるのは、清々しいほどに美しくもグロテスクな、究極のユートピアの姿。

      HTMLに似たタグを多用した文章表現が、物語のテーマと密接に結び付いている点も見逃せないし、漠然とした「空気」が支配する、現代日本への批評として読むこともできると思う。

      >> 続きを読む

      2019/06/18 by

      ハーモニー」のレビュー

    • 評価: 4.0

      昔から人類がとりつかれてきた「永遠」がもし現実になったら社会はどうなるんだろうか?

      過去と未来の価値観、倫理観、人生観の相違がリアルで超刺激的。読むうちに現代も物語世界に半分足を突っ込んでいる気がしてきた。

      10年前に著者が病床で出力して見せたハーモニズムは、人類が夢見る「痛みのない」未来図であり、完全にシステム化した社会で統一された「生命」の存在意義を静かに問いかけてくる。

      ウェブ言語のようなタグで感情を記号化た文脈に戸惑いながらも、まったく新しい読書体験に引きずりこまれるメタフィクションの計り知れないパワー。

      ページをめくると、意識が起動し、イデオロギーや宗教も超えた壮大な思想劇にログインできるようにプログラムされた遺作に敬意を払い、進化系文学の魔力と余韻に耽る。
      >> 続きを読む

      2018/04/24 by

      ハーモニー」のレビュー

    • 評価: 5.0

      「善」と「健康」のナチズムを描いた上で、その状況にも満足できない人間のろくでもなさと、権力と雰囲気で持ってそれをよしとしている人間の気持ち悪さを描いた、いいセンスをしている作品です。
      ただ、オチ自体は大したことなく、etmlで記述されることもあって、物語の中盤にはオチが大体わかってしまう感じも。

      虐殺器官が出たときに、しっかりとしたものを作る人だな~と思っただけで、それ以降、放置してしまった伊藤計劃ですが、久しぶりに読んでみて、センスのいい作品も作る人だったんだと今更ながらに気づきました。
      (だが、これ以上、何年待っても作品は増えぬ。
       気づかないほうが幸せだったのかもしれない。)
      >> 続きを読む

      2016/03/24 by

      ハーモニー」のレビュー

    • 評価: 5.0

      虐殺器官が面白かったのと
      友人の「こんな面白い話書かれちゃ当時の作家たちはたまらなかったと思う」のコメントに胸キュンして読み始めた作品。

      病気なく天寿を全うできる、ここはユートピアの世界なのか。
      自由や意思が締め出されて行く、ディストピアの世界なのか。
      読み進めて行くうちに、判断が右往左往します。

      伊藤さんは亡くなるまでこの作品と向き合っていたんだとか。
      ガンと向き合っていた伊藤さんが、この「病気なく天寿を全うできる世界」をディストピアとして描いていたかと思うと、震える思いです。
      >> 続きを読む

      2015/04/22 by

      ハーモニー」のレビュー

    • かめこさん
      コメント気がつかずにいました…!!
      嬉しいお言葉ありがとうございます^ ^
      レビューは自分の記録としてつけていますが
      こうやって、自分が面白いと思った作品に興味を持ってもらえるのって嬉しいです。
      >> 続きを読む

      2015/11/15 by ∵どた∵

    • >「こんな面白い話書かれちゃ当時の作家たちはたまらなかったと思う」

      これは読まずにはいられませんね!
      しかもその期待値があがった状態で読んで☆5とは!
      虐殺器官とこれを以前本好きの先輩にオススメしてもらっていつか読もうと思っていましたが…ますます気になってきました!
      >> 続きを読む

      2015/11/16 by chao

    • 評価: 4.0

      意識とは何なのかを描いたSF小説。
      「虐殺器官」の続編。

      優しい社会。
      真綿で首を絞め殺すような優しい社会。
      そこはユートピアなのか?

      読みにくいし、目を背けたくなる描写もある。
      1冊の小説として完成度が高いとかそういう風には思わないのだけど、記憶に残る本だった。
      >> 続きを読む

      2012/12/09 by

      ハーモニー」のレビュー

    • 面白そうですが、「虐殺器官」の続編ということは先に「虐殺器官」を読まなきゃですね >> 続きを読む

      2012/12/09 by ただひこ

    • タイトルだけで???な世界に連れて行かれた前作と打って変わって、続編のタイトルはマイルドテイストですね。 >> 続きを読む

      2012/12/09 by ice

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      著者: 伊藤計劃

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      • 評価: 5.0

        21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。

        ホントに面白かったです!
        個人的には「虐殺器官」よりも好きな作品でした。

        この本のジャンルはSFだけれど、未来の人類は本当にこのような世界になるんではないかと思います。

        世界中の人間の体内に栄養を管理したり、痛みを軽減したりできるソフトをインストールされて、酒、たばこ、コーーまでもが禁止です。そのため、ほとんどの人間が似てる体系、似てる性格、似てる考え方。まさに調和(ハーモニー)の世界です。

        この物語はそんな世界に疑問をもつ3人の女性の物語です。
        >> 続きを読む

        2013/06/19 by

        ハーモニー」のレビュー

      • >この物語はそんな世界に疑問をもつ3人の女性の物語です。

        きっとそんな世界に生まれたら疑問なんて抱かないし、抱いた人は異端に見られるんでしょうね・・・。 >> 続きを読む

        2013/06/19 by keron

      • こんな未来家畜みたいでいやだな~
        もっと不安定な要素があった方が100倍面白そう

        2013/06/19 by 古今東西


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