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青い湖水に黄色い筏

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: マイケル ドリス
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    「青い湖水に黄色い筏」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      本棚の整理をしていて、ふと手にした1冊の本。マイケル・ドリスの「青い湖水に黄色い筏」。さして期待せずに読み始めると、これがぐいぐいと瞬く間に、この小説の世界に引きずりこまれ、一気に読了してしまいました。

      いやあ、うまい、うまい。とにかく、うまい。舌を巻くうまさとは、こういうことを言うのだろうと思う。

      まず第一章は、祖母の家から抜け出して、あてのない旅に出る15歳の少女レイヨーナの視点から語られます。自分勝手で不仲な両親のこと、頑固な祖母のこと、旅先で知り合う善良な夫婦のこと。少女の眼に映る様々なことが、群を抜く描写力とともに描かれます。

      彼女の旅は、自己発見の旅だ。父親が黒人で、母親がインディアン。レイヨーナは、都会にも保留地にも居場所がなく、自分が何者であるのかを知りたいのだ。

      この作者のうまいところは、彼女の心象風景をあまり描かないことだろう。そのために、キャンプ場のインストラクターの女の子を遠くから見る場面に、ハッとしてしまう。

      もし、その子にかかわることが出来たら「どんな言いわけをする必要も、嘘をつく必要」もなくなるのにと、レイヨーナが思う場面だ。このさりげない一行に、思わず立ち止まる。周囲の無理解、差別、疎外から、超然としているようで、その幼い心は、やはり深く傷ついていたのだということが、インストラクターの女の子を見るレイヨーナの視線から立ち昇ってくるんですね。

      ここまでは、大変優れた少女小説の趣がありますが、続く第二章は、一転して母親クリスティーンの視点に変化するのです。今度は母親の側から、どうしてこういう生活を選んだのかという話になります。

      すると、不思議なことに、少女の眼には自分勝手な母親以外の何ものでもないと見えたのに、彼女には彼女の人生と考えと屈折があり、彼女なりに必死に真面目に生きてきたことがわかるのです。

      第一章と同じ場面まであるので、同じ現実を娘と母親が異なって見ていることもわかるのです。これが、実に絶妙な効果を上げているんですね。その後、裏切られることになる夫への真剣な恋、娘への真っ直ぐな愛。クリスティーンの感情がどんどん伝わってくるんですね。

      この第二章だけでも独特の"いい小説"ではあるけれど、第一章から読んでくると娘のドラマと渾然一体となり、とりたてて波瀾万丈というわけでもないのに、人生の深い意味について思いを馳せてしまうんですね。

      ところがこの「青い湖水に黄色い筏」という小説は、まだ終わらないんですね。最後の第三章が待っているのです。ここで、ようやく祖母の視点になります。

      物分かりの悪い頑固な祖母アイダ。彼女は、娘と孫をどう見ているか、という章になると、なんと驚くべき真実が明らかになり、事態はより錯綜してくるのです。

      この小説は、このように構成が優れているのですが、ただそれだけではなく、家に帰ってこない父親を探しに幼いレイヨーナが、街に出て行く場面や、興奮に顔を輝かせてダンスをする場面。そういう場面のひとつひとつが、きらきらと輝いているんですね。

      実は、これが何よりもいいんですね。ヒロインの三代記としては、異色の傑作だと思います。


      >> 続きを読む

      2018/01/27 by

      青い湖水に黄色い筏」のレビュー

    • たまにあります、読む気が無いのに読んで見たら凄く面白い本。このパターンは期待しないだけにいいのかもね。 >> 続きを読む

      2018/01/27 by rock-man


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