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群蝶の空

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,400 円
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    「群蝶の空」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      第8回松本清張賞受賞作の三咲光郎の「群蝶の空」を読み終えました。

      この作品は、戦時中の思想弾圧事件のひとつである京大俳句事件を背景に、家庭のある男女の恋愛がサスペンスフルに描かれている。

      昭和14年の大阪。保険会社に勤める沖宮忠雄は、俳句が縁になり女流俳人の神坂久江と出会う。
      久江の夫の良満は、大蔵商船の専務にして、保守派俳人の中堅だった。
      新興俳句の抬頭を苦々しく思っている彼は、ひそかに新興俳句圧殺の陰謀を巡らしていた。

      夫の思惑こそ知らないものの、その独善的な態度に鬱屈している久江。家庭に問題のある忠雄。
      二人は俳句の吟行をきっかけに、いつしか愛し合うようになった。

      しかし、そのタイミングは最悪で、二人は良満の陰謀の渦中に飛び込んでしまうのだった-------。

      保守派俳句と新興俳句の対立。当局による俳句弾圧事件。
      この作品の面白さは、こうした歴史上の事実を踏まえながら、一編のフィクションを立ち上げたところにあると思う。

      しかも注目すべきは、当時の俳句界の対立状況が、良満ならば国家の動向、久江ならば自分の心情と、それぞれの思想や立場の象徴となっていることだ。
      このように俳句という題材を、より重層的に使ったことにより、物語に厚みが生まれているのだと思う。

      また、忠雄と久江の恋愛も見逃せない。それぞれの家庭を捨ててまで愛し合う、二人の様子が、しっとりと描かれているんですね。
      そして、要所要所で心情を託した俳句が挿入されるのも、憎い趣向だ。
      恋愛小説としての読み応えもあって、ページを繰る手が止まらない。

      各登場人物の人物像や、後半の逃避行など、もう少し書き込んで欲しかった部分は、確かにありますが、枚数の規定がある、松本清張賞への応募原稿であることを考えれば、これは無いものねだりかも知れません。

      むしろ骨太な社会的な題材とテーマに果敢にトライしている点が、実に素晴らしいと思う。
      社会の問題と常に向き合った、社会派の巨匠"松本清張"の名を冠した文学賞を受賞するのにふさわしい作品だと言えると思いますね。

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      2018/08/26 by

      群蝶の空」のレビュー


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