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天使

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: 佐藤 亜紀
定価: 1,851 円
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    • 評価: 5.0

      【第一次大戦時のウィーンを舞台に『感覚』を持つ者たちが暗躍する】
       ジェルジュは、アル中のヴァイオリン弾きと共に廃墟のような住居で生活していました。
       ヴァイオリン弾きがもらって来る残飯を食べながら。
       ジェルジュは一言もしゃべりませんでした。
       その必要が無かったからです。
       ジェルジュには特殊な能力が備わっており、他人の思考を読めるばかりか、自分の思考を送り込んだり、周囲の状況を把握したり、他人を操ることもできたのです。

       ヴァイオリン弾きのもとには時々顧問官という男が訪ねてきていました。
       ある時、顧問官はジェルジュに、ヴァイオリン弾きにもしもの事があった時には自分に連絡してくれと言い、連絡先を書いた紙を残していったのです。
       それから間もなくして、ヴァイオリン弾きは酒に酔って路上に倒れたまま息を引き取りました。
       周囲の者たちが葬式の手配をしてくれ、また、ジェルジュが持っていた紙を見つけて顧問官に連絡してくれたのです。

       その後、ジェルジュは顧問官に引き取られ、話すことから教育を受け始めました。
       顧問官にもジェルジュと同じ能力が備わっていたのです。
       もちろん、その使い方をコントロールできる顧問官の方がジェルジュよりも力は(その時点では)上だったのですが。
       その力のことは『感覚』と呼ばれていました。
       ジェルジュは、顧問官の下で『感覚』の能力も伸ばしていったのです。

       顧問官はオーストリア皇帝に仕える者でした。
       世界中に『感覚』を持つ者がある程度の数存在しており、顧問官もその力を使って皇帝に仕えていたのです。
       時は第一次世界大戦直前。
       今まさに、その引き金となる皇太子暗殺事件が起きようとしていました。
       顧問官は、事件の発生を阻止すべく、成長したジェルジュをペテルブルクに送り込み、スパイとして使い始めたのです。

       本作は、『感覚』の能力を持つジェルジュらの暗躍を描く作品ですが、スパイ小説などではなく、特殊な能力を持ってしまった者の生きざま、哀切感漂う感情などを描いた作品です。
       皆川博子さんの『聖餐城』、『薔薇密室』、『死の泉』、『伯林蝋人形館』、『双頭のバビロン』などの作品にもつながるような味わいを持っている作品で、私が大好きなジャンルの作品なのです。

       非常に良い雰囲気で話が進んで行きますので、「これは☆5つか?」と思いながら読み進めて行ったのですが、一点だけ残念に感じたところがありました。
       それはラストなんです。
       ラストはそれなりに山場を作っているのですが、ちょっとあっさりと終わってしまった、唐突に終わってしまった感が残ってしまったのです。
       惜しいなあ。
       ここさえ良かったら文句なしに☆5つだったのにな~と、非常に残念に思いました。

       ラストはもう一つと感じてはしまいましたが、そこに至るまでの書き振りは大したものであり、十分に堪能することができました。
       ですから、耽美的、退廃的で、幻想的な作品がお好きな方にはきっと気に入っていただける作品ではないかと思います。


      読了時間メーター
      □□□     普通(1~2日あれば読める)
      >> 続きを読む

      2021/01/04 by

      天使」のレビュー


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