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沈黙のひと

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,785 円
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    「沈黙のひと」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0


      私の大好きな作家のひとり、小池真理子の第47回吉川英治文学賞受賞作「沈黙のひと」を読み終えました。

      生きるということは、死に向かって一歩ずつ近づくことに他ならない。
      生と死の意味を問うことは、文学の永遠のテーマだと思う。

      生死の間には、百人百様の人生が展開され、それぞれの人生は死によって凝縮される。

      この作品は、三國泰造が2009年、85歳で亡くなった直後から始まる。
      物語は、50代後半の私・三國衿子の一人称で綴られる。
      衿子は、泰造と前妻との間の一人娘だ。

      泰造は後妻との間にも二人の娘をもうけ、昭和から平成の時代を奔放に生きたように見えるが、実は現在の家族からは愛されていない。

      最後はパーキンソン病にかかり、歩くことも文字を書くことも、話すことも不自由になって、介護付き有料老人ホームで生涯を終えた。
      そして、晩年に、かろうじて心を通わせていたのが、衿子であった。

      病に言葉を奪われた泰造だが、わずかに動く手で、ワープロに言葉を残していた。
      また、手紙類やアルバムも見つかった。

      果たして、そこに何が記されていたのか?-------。

      衿子は、自分の知らなかった父の、そして母の精神世界へと分け入っていく。

      父の遺品の中から見つかったポルノビデオや性具に、衿子は生への執着を垣間見る。
      一方、歌人の女性との格調高い文章と和歌のやりとりに感動し、遠くに離れてはいるが、父が生涯愛し続けたらしい別の女性の存在に興味を抱く。

      そして、あらためて母の、父への愛憎を思うのだった。

      父のホームへの入所と前後して、母は認知症となるが、若い頃、父から贈られた指輪を、頑なに外そうとはしなかった。

      この作品が、リアリティーをもって私の胸に迫るのは、家族の愛憎、老いと死という普遍的なテーマに加えて、今日的な介護や医療の問題を描いた点にもありますが、衿子と作者が等身大であり、三國泰造に著者の父・小池清泰が色濃く投影されているからだ。

      生前の泰造、すなわち小池清泰が詠んだ歌が、胸を打つ。

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      2018/10/24 by

      沈黙のひと」のレビュー


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