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デブを捨てに

3.5 3.5 (レビュー4件)
著者: 平山 夢明
定価: 1,000 円
いいね! beppinudon

    「デブを捨てに」 の読書レビュー (最新順)

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    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      【食前・食後、服用禁止!】
       いやぁ、凄まじい小説でした。
       タイトルと表紙の鮮烈さに目が眩み、作者も内容も全く分からないまま図書館から借りてきたのですが、何とエグい短編集でしょうか。
       全部は書けませんが、収録作がどんなお話か、さわりだけでもご紹介。

      ○ いんちき小僧
       金もなく、空腹に耐えかねてコンビニでキャラメルを万引きするような男が、ふとしたきっかけから奇妙な仕事を手伝うことになります。
       その仕事とは、その辺に落ちている葉っぱと犬の糞を混ぜ、それを大麻と称して密売するという仕事でした。
       万一売っているところを警察に見つかったとしても、違法薬物を売っているわけじゃないので罪にはならないし、買った奴も騙されたと分かったところで警察に訴え出られるわけはないから安心だというのです。
       こんなとんでもないことを考えついたのは12歳の子供だというのですよ。

      ○ マミーポコポコ
       日雇い仕事をしているおっさんのもとに、35年前に棄てた娘からの手紙が届きます。
       母親は死んでしまったけれど是非一度父親に会いたい、父が元気でいることを母の墓前に報告したいという内容でした。
       おっさんはこの手紙に応えて娘に会いに言ったのですが、そこにはテレビの取材班が。
       そして娘の家に行ったところ、甲斐性もない旦那と、いるわいるわ子供だらけです。
       しかもその子供達はみんなDQNネームをつけられ、荒みきった家庭の中でとんでもない暮らしをしていたのです。
       父親に会いたいなんて嘘っぱち。
       再会の様子をテレビ局に取材させて金を儲けようというだけの魂胆です。
       ほら、よくテレビで大家族ものを放送しているじゃないですか。
       あれを痛烈に皮肉った作品です。

      ○ 顔が不自由で素敵な売女
       情夫に頭の皮を剥がれて禿になってしまっている不細工な年のいった風俗嬢と、その客になってしまった主人公、主人公がバイトをしている『でべそ』というバーのマスターの物語です。
       その風俗嬢は『でべそ』に出入りするようになるのですが、ある夜、おかしな男の客が店にやって来ます。
       男はマスターが「お客さん、もう閉店なんですが」と言うのを無視して酒を注文し、マスターに向かって「ウチダユキ」という女の名前を言います。
       以後、マスターはこの客の言いなりになってしまうのですが……。

      ○ デブを捨てに
       ヤクザですかね、そこから金を借りて返せなくなっている男が主人公。
       既に一度腕の骨を折られているのですが、再び骨を折られそうになります。
       その時、「腕とデブとどっちがいい?」と聞かれます。
       「へ?」
       そのヤクザの情婦が産んだ女の子が考えられないほど肥大化してしまい、見苦しくてしょうがないからそのデブを捨ててこいと言うのです。
       そのデブを始末してくれる者がいるから骨を折られたくないのならそこへデブを連れて行って引き渡せと。
       で、翌日、車に乗せられたとんでもないデブが現れるのですが……。

       私、この本を読んでいて、ちょうど『デブを捨てに』にさしかかったところでご飯時となってしまい、結果、食事を挟んで『デブを捨てに』を読むハメになってしまいました。
       ……こりゃマズいですよ。
       絶対に食事時近辺にこの本を読んではいけません!

       しっかし本当にエグい小説ですねぇ。
       毒、大盛りです。
       まぁ、最後にはちょっとだけ良い話みたいなオチはつけてくれるのですが、余りにも毒が強すぎて、この程度の救いではどうにもなりません。
       これだけのことを書けるというのはそれはそれですごいことだと思うのですが、私には強烈すぎてこれは合いませんでした。
       読了はしましたが、完全に負けました。
      >> 続きを読む

      2019/08/10 by

      デブを捨てに」のレビュー

    • 評価: 4.0

      「いんちき小僧」
       金も家もない主人公。いい仕事があるとおじさんと子供が声をかける。最近、ヤクの売人が捕まったから偽物を売れば金になる、と子供。その子供言う通り儲かる。おじさんは子供の父親だというがそうは見えない。
       ヤクザが偽物を売っている主人公とおじさんを拉致して拷問。おじさんはガキが考えてやったことだ、あんなの俺の子供じゃない、頼まれたから演じていたと言う。
       ガキのもとへはヤクザの女が行く。ガキは嘘でもいいと呟き、女の懐に飛び込む。

      「マミーポコポコ」
       生き別れの娘から会いたいと手紙をもらったジジイは娘に会うが、そこは大家族。しかも「ビックダディ」よろしくテレビカメラが入り大家族の生活を撮影していた。今回の手紙もテレビ局が送ったものだった。
       カメラが回ってないところだと家族は狂っていた。やがて、子供の一人が飲酒運転で自動車事故を起こし、スポンサーの関係でテレビカメラは家族を撮影するのを中止。
       収入が無くなった家族は殺し合う。ジジイは一度は去ろうとするが、あの狂った家族を生んだのは自分だと反省し、家族のもとへ帰る。

      「顔が不自由で素敵な売女」
       主人公はヘルスで頭が禿げた女と出会う。女は主人公が働いているバーに顔を出すようになる。
       バーのオーナーはいい奴だったが、ある日、オーナーを人殺しだと言う男がやってくる。オーナーは主人公に自分は本当に人殺しで、あの男は被害者の父親だと告白。
       オーナーはあの男が毎日のように嫌がらせに来るので、段々狂っていって主人公を店から追い出してしまう。
       女が彼氏と別れたからまたバーに行こうと不思議なことを言う。久しぶりにバーに行くとオーナーは完全に狂ってしまっていた。そして女は男を殺す。

      「デブを捨てに」
       主人公は借金を返せないならデブを捨ててこいと言われる。デブはヤクザの組長の娘で醜く太って近所の笑いものだった。
       デブを始末する現場まで送り届けるだけのはずが、金が無くなり、賞金が出る大食い店でデブがフードファイターとなり金を稼ぎまくる。
       そしてなんとかデブを殺す現場にたどり着くが、デブの母親が半狂乱になったということでデブは殺さないことになった。
       しかしデブは家には戻らず自立するため旅立つ。
      >> 続きを読む

      2018/10/22 by

      デブを捨てに」のレビュー

    • 評価: 3.0

      (図書館本)お勧め度:☆4個(満点10個)。最初、読んでいて嫌気がさしてきた。意味不明だし、エロ・グロ織り交ぜてなんとなく読みにくく、途中で棄権しようかと思うくらいハズレな作品だと思ったが、ラストの表題「デブを捨てに」だけは、ちょぅとだけホロッとさせられた。前の3編がすごく読み辛かったが、この作品だけは何となく理解できた。ある意味デブの彼女が可哀想にも思えてくる。最後の最後で主人公のジョーが言う言葉、「瘦せろよ!」というのが凄くかっこよく思えてきた。結局、ジョーはデブが好きになったのかもしれないなあ。 >> 続きを読む

      2017/08/13 by

      デブを捨てに」のレビュー

    • 評価: 3.0

      平山夢明さんの小説世界に、深い意味はありません。
      ひたすら面白い物語が思いつくので、書き続けておられる異形の才。
      カバーの不穏な絵、ペーパーバックを思わせるペラペラの表紙と、徹底的に粗い紙質。
      いずれも、平山さんらしさフルスロットルのルックスです。
      ファンとしては待ちわびていた新作小説集です。

      短編4本。
      いずれも『オール読物』誌に2011年7月から2012年11月にかけて、読み切り短編という形で掲載されていたものを纏めたものです。
      タイトルもセンス抜群で、表題作「デブを捨てに」ほか、「いんちき小僧」、「マミーボコボコ」、「顔が不自由で素敵な売女」と、読む前から両手を擦り合わせて思わず笑顔がほころんでしまうのを抑えきれませんでした。

      中でも秀逸なブラックジョーク小説は「マミーボコボコ」。
      飯場の土方作業の日雇い仕事で、その日暮らしを続けている“俺”は、ある日顔なじみの年配の作業員“おっさん”に声を掛けられます。
      さしだされた手紙は、その男あてに届いた、遠い昔に捨てた娘からのヘタクソな字の手紙でした。
      曰く、今は家庭を持って幸せな日々を送っている、ぜひ会いに来て顔を見せて欲しい、孫も会いたがっている…とのこと。
      おっさんは、気恥ずかしそうに、長年の過酷な作業で傷めた右腕をかばいながら、“俺”に再会の旅の同行を頼むのでした。
      「俺、ひとりじゃ、会す顔がないよ。でも、ひとめ会いたい」
      仕方なしに深夜の高速バスに乗って、娘の住む街へ向かうふたり。
      すると、おっさんの携帯に娘からのメールが届きます。
      駅に迎えに来るのはテレビ局の人間とのこと。
      どうしたことだ、娘はスターか、何か事件に巻き込まれたのか、不安を募らせるふたりでしたが、時刻通りバスは地方都市のターミナルに到着します。
      確かに、迎えに来た白いバンを運転していたのはテレビ局の人間でした。
      娘の家に向かう道々、娘が大量に子供を産んで大家族となっていること、テレビ局はその大家族に密着取材を続けていて、どうやらその番
      組は局のドル箱になっているということが次々にわかります。
      たどり着いた辺鄙な公団住宅の一画、ことさらに薄汚れた感のある団地に、娘夫婦と7男5女の大家族が暮らしていました。
      今回の企画は、生き別れになっていたおじいちゃんの消息がわかり、ママと孫たちとの感動の対面が山場のシーンのようでした。
      なるほど、と合点がいく“俺”。
      金儲けの為に、会いたくもない父親を自宅まで呼び寄せたか、と。
      当のおっさんもどうやら気づいたようですが、今は少しでも不義理をしてしまった娘の役に立ちたいと、プロデューサーの無理な演出にも笑顔で応じています。
      ゴミ溜めのような団地の一室は、常時、戦場のような騒々しさ。
      娘はまた孕んでいるのか、でっぷりと太った腹を抱え、ひたすら柿の種を食べ続けているだけで、家事なぞまったくしません。
      亭主も酒浸り、子供たちは清潔な遊び場所を求めて、路上や公園にいる時間のほうが多い始末です。
      周囲の隣人たちも近寄りませんし、学校でも子供たちは浮いていました。
      そんなガサツな家庭環境で育った子供が、まともな大人に育つはずがなく、長男はチンピラヤクザ、長女は風俗、とお定まりのパターンを地で行っています。
      しかし、番組のヒットによって、大家族は莫大な出演料を得続けたのです。
      そんな家族たちの境遇を、兄弟のひとりが起こした飲酒運転による事故が暗転させてしまいます。
      まるで引き潮のように去ってゆくテレビクルー、呆然と立ち尽くす亭主、捨て鉢になって半狂乱に笑い続ける娘。
      “俺”はオッサンを帰路に促すのですが、オッサンは「見捨てることができない」と、“俺”に詫び、財布を押し付け、駅頭に別れます。
      “俺”は、時間が経っても、お守りとしてその財布を大事にしています。

      平山夢明さんの小説に、まともな人間の登場は少ないです。
      紹介した以外にも、元高校教師でヒロポン中毒のヒモや、その女でヒモに頭の毛をごっそり抜かれて河童のような容貌になってしまったブサイクな風俗嬢(これが、いい味出してるんです)や、出会う大人すべてと家族ごっこをしたがる生まれてからずっと一人きりの少年など、半端者や精神障害、キ○ガイのオールキャスト。
      鬼畜さで言えば小川勝己さんの著作には劣りますが、物語の着想、意外すぎる世界設定などは、現在のこのジャンルで追随を許しません。

      たやすくTBSのビッグダディシリーズが想い起こされる「マミーボコボコ」は、実際にあったであろう制作の裏話と、世間がどういうスタンスであの番組を観ていたかを露悪的に曝け出します。
      夫婦の馬鹿さ加減を強調したくて、子供たちの名前は見事なキラキラ。
      愛永遠(まとわ)21歳、銀朗(うるふ)19歳、杏出泉(あんでるせん)18歳、希助虎(のすとら)16歳、聖琉翔(せるしお)14歳、美波瑠璃(びばるり)12歳、美神(びしぬ)11歳、射夢(じゃむ)、無大(むにえる)9歳、流吹(るふぃ)7歳、心感染(しんかんせん)4歳…。
      こういうのに手抜きをすると、途端に小説が陳腐化します。
      馬鹿馬鹿しいなら、とことんまでそれを貫き通さねばいけません。
      平山さんの小説が根強い人気なのは、そういう微細な馬鹿馬鹿しさを、絶対に疎かにしないところにもあるものと思っています。
      >> 続きを読む

      2016/01/17 by

      デブを捨てに」のレビュー

    • こちら読んだのですね。ふざけたタイトルですよね。
      相変わらず下品そうでいいですね。
      久しぶりに何か本屋さんで探してみようかな。 >> 続きを読む

      2016/01/19 by jhm

    • >jhmさん
      いつも、コメントありがとうございます。
      嘔吐、吐瀉物のぶっかけなど頻出し、下品そのものです。
      あっけらかんと悲惨な出来事を綴るので、置いて行かれないように気をつけないと。
      平山夢明さんは、TOKYO-MXの「5時に夢中」で“夢散歩”なる散歩ものの企画に出演していたことがあります。
      たしか、東京の高級住宅地を平山さんが歩きながら、目についたものや気付いたことを紹介していたのですが、その奇想天外ぶりに爆笑しました。
      普段からとんでもないことを考えつつ生きているんだな、と感心しました。
      機会があればぜひどうぞ。面白かったですよ。
      >> 続きを読む

      2016/01/19 by 課長代理


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