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白墨人形 (文春e-book)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: C・J・チューダー
定価: 1,935 円
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    「白墨人形 (文春e-book)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【スティーヴン・キングが「わたしの書くものが好きなら、この本を気に入るはずだ」と推薦したのも頷ける作品】
       まさにキングばりのハラハラドキドキ、よくできたサスペンス作品に仕上がっています。
       ページターナーであることも同じで、一気読みさせられてしまいました。
       物語は、主人公であり語り手でもあるエディやその仲間達が12歳だった1986年の出来事と、既に40歳を過ぎた2016年の出来事が交互に語られるという構成を取っています。
       12歳の悪ガキ達が登場するところ、そしてその子供時代の出来事が大人になってからの人生にも深く影響を及ぼしているところなんて、まさにキングの作品を彷彿とさせ、キングが冒頭のような賛辞を贈ったのもさもありなんと頷ける作品なんです。

       さて、まずはエディが12歳だった頃のことからご紹介しましょう。
       仲の良い遊び仲間は、ファット・ギャブ(ちょっとジャイアンみたいな奴です)、メタル・ミッキー(皮肉屋です)、ホッポ(ちょっとおっとりタイプ)、そして紅一点のニッキーでした。

       5人はいつもつるんで遊びまわっていたのですが、ある時、遊び場の森の中で少女のバラバラ死体を発見してしまうのです。
       当時、5人はチョークで人型を描いて暗号のようにして連絡を取り合っていたのですが、ある日、ニッキー以外の4人の家に呼び出しの人型が描かれており、みんながそれに応じて集まったところ、その場にも森を示す人型が描かれていたため森へと向かい、森にも描かれていた人型に従って進んで行ったところ死体と出くわしたというわけなのです。
       その死体には頭だけがありませんでしたが、エディにはそれが誰なのかすぐに分かりました。

       殺されていたのはエリーサという少女でした。
       実はこの事件の前、エディたちが揃って遊園地に遊びに行った際、遊具の事故があり、エリーサは事故に巻き込まれて大怪我を負ったのです。
       ちょうどそばに居合わせていたエディは、新任教師のハローランの手伝いをしてエリーサを助けたということがあったのです。
       だから、エディには殺されているのがエリーサだとすぐに分かったのでした。

       その後、ハローランはエリーサを愛するようになってしまったのです。
       年齢は随分離れていましたし、何よりも学校教師という立場上そんなことは許されないのですが、気持ちを止めることはできなかったようです。
       そんないきさつもあったため、警察はハローランがエリーサを殺したのではないかと疑い始めたのです。

       エディは、ハローランを信頼しており、そんなことをする人ではないと思っていました(それは、また別の事件でエディの父親が窮地に陥った時ハローランに助けられたということがあったからでもあります)。
       実はエディは、仲間達が警察を呼びに行っている間、エリーサの死体を見張っている時、死体の指から指輪をこっそり抜き取って持っていたのです。
       それはハローランに与えるべきだと考えたエディは、こっそりハローランの家に行き、指輪を置いてきたのです(実はその時点でハローランは自殺していたのですが)。

       ハローランが自殺したことが発見され、また、その家からエリーサの指輪が見つかったことから、警察はエリーサ殺しの犯人はハローランで決まりだと考え、事件は一件落着とされたのです。
       エディは、指輪を置いてきたのは自分だとは最後まで言えなかったのです。

       エディの少年時代にはまだその他にもいろいろな事件が起きており、それらの事件すべてが30年後につながっていくのですが、この辺りは大変巧妙に描かれており、30年後に見事に一つにつながっていくことになります。

       さて、30年後、町にはエディ、ギャブ、ホッポの3人がまだ残っていましたが、後の2人は別の町に転居していました。
       エディは、今は学校の教師になっていたのです。
       実家は一人で住むには広すぎることもあり、間貸ししており、今はクロエという若い女性が間借り人として同居していました。

       そんな時、随分連絡を取っていなかったミッキーから会いたいというメールがエディのもとに届きました。
       ミッキーは、30年前の事件について本を書こうと思っているので手伝って欲しいと頼んできたのです。
       今更そんなことを蒸し返しても喜ばない人もいると考えたエディは答えを渋ったのですが、ミッキーは、エリーサを殺した真犯人を知っていると言い、考えておいてくれと言い残してエディの家を立ち去ったのでした。

       その後、ミッキーの死体が川で発見されたのです。
       ミッキーは、エディの家で酒を飲んでいましたので、誤って川に転落したと思われるのですが、実は、その川は30年前にミッキーの兄が溺れ死んだ川だったのです(この件もかなり深い事件なのです)。
       偶然の符号なのか?
       それとも、エリーサ殺しの真犯人を知っていると言っていたのが本当だとすれば、真犯人が口封じで殺した?
       その証拠に、エディ、ギャブ、ホッポの家に、白墨人形を書いた手紙が届いていたのです。
      少なくとも、何者かがうごめいていることは間違いなさそうです。

       本作は、このように30年前の事件に巻き込まれるようにして、当時の仲間達が再び集結するというまさにキングばりの展開になっていくのです。
       このレビューでは十分に触れていませんが、30年前にはもっとたくさんの出来事が起きており、それぞれに意味を持っていることなのですね。
       そのすべてをこのレビューの中でご紹介するのは困難なので、ここは是非実際に本作をお読みいただきたいところです。
       言い換えれば、30年前の出来事がまるで伏線のような作用をして現在に効いてくるという構成になっているのです。

       大変うまくできている作品で、ラストにもサプライズが用意されています。
       本作は著者のデビュー作だということですが、これは今後の作品にも期待を抱かせる水準だと思います。
       実はさほど期待せずに読み始めた作品だったのですが、どうしてどうして。
       テンポの良い展開、しっかりした構成、少年時代の過ちやそれに対する悔悟、老いることへの恐怖などなど、実によく書けている作品だと思いました。
       誰もが自分の経験に照らして思い当たることが一つはあるようなことが織り込まれているのです。
       単なるサスペンスには終わっていない作品で、特にキングが好きという方にはおススメの作品です。


      読了時間メーター
      □□□     普通(1~2日あれば読める)
       
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      2021/01/17 by

      白墨人形 (文春e-book)」のレビュー


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