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安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 相澤 冬樹
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    「安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

       著者の相澤冬樹さんは元NHKの記者であり森友学園事件を担当してきました。事件の初動から取材にあたり大阪府の私学審議会や籠池氏に体当たりの取材を重ねて重要なスクープをいくつも仕入れてきました。しかしNHKの局内には政権に忖度して報道を自粛する姿勢があり彼の取材したものは思うように放送されませんでした。NHKの方針に反して事件の取材を続けた相澤さんはやがて記者のポジションを追われてしまいます。それでも事件を追うために彼はNHKを去りました。

       この本は森友事件のまとめと解説というよりもNHKへ対する告発本です。NHKが事件の報道をいかにひた隠しにしてきたかという様子を著者の取材の流れと共に追うことができます。もちろん事件の流れや問題点もしっかりと理解できますが、政権に忖度するNHKやメディアに対して報道とは何かを問い質していくような内容になっています。またNHKで30年近く記者を続けてきた著者の考える報道の在り方についても多く語られています。
       
       森友学園事件の一番の問題点は「国有地がなぜ大幅に値引きされたのか」というところでした。そしてなぜ財務省はそれほどまでに大幅な値引きをしたのかという「動機」が未だいっさい明らかにされていないのです。その根拠として財務省は地中のゴミの撤去費用であると述べましたが、それも著者の取材によって切り崩されています。にもかかわらずこの事件は今や風化されようとしているのです。籠池夫妻が逮捕され長期間拘留されたことで終わったことのように思われ始めています。
       幼稚園一つを経営するに過ぎない学校法人に利益供与をし、なぜ行政をゆがめ「動機」の隠ぺいを図るのか。それでいったい何の利益があるのか?なんの義理があるのか?事件の本質を明らかにするまで相澤さんは追及をやめないでしょう。
       
       本を読んでいると相澤さんのインタヴューに当たる姿勢がとても立派だと感じました。彼はまず取材相手がどんなことを話したがっているかを考えるそうです。自分の取材スタンスを北風と太陽に例えています。
      『相手を追求するような質問を繰り返せば、それは北風で相手はますます鎧を固めます。まず相手の立場や考えを聞くような質問を繰り返せばこれは太陽です相手は温かい気持ちになって鎧を脱いでくれます』
       いかに事件の疑惑の渦中にいるひとにあたるときも頭ごなしに「あなたが関与しているんですよね?」とは聞きません。信頼関係を構築し、相手の語ることを尊重して理解を示しながらインタビューを続けて初めて自分の尋ねたいことを切り出していきます。そうやって籠池氏とも信頼を築きあげ確かな情報を得ることができるようになりました。
       著者は昔気質でクセのある人物のようですが非常に熱い記者魂を持っているようです。また取材対象の言葉から事実を汲み取る勘の良さは敏腕記者ならではのものですね。籠池氏へのインタヴューのやりとりと財務省のZ氏への裏どりの様子はまるで人情ドラマのようで見ものです。
       他の新聞社とスクープを競う報道合戦ではマスコミ各社の報道に対する倫理観の違いが生々しくむき出しにされ非常にスキャンダラスです。籠池氏やフリージャーナリストや検察を相手にした情報を引き出すための駆け引きや舌戦を見ていると報道の現場がいかに緊迫しているかを窺い知ることができます。

       相澤さんはあとがきの中で『プロの記者の仕事が信用されなくなり、ネット上のあやふやな情報のほうが信じられている。この事態を正していかなければいけない』と嘆いていました。人間は信じたいものを信じる傾向にあります。信じたいものを信じて安心して楽しみたい。真実を突き付けたとしても「それこそがデマだ」と突っぱねられることもあります。それでも真実には価値があります。
       真実は社会を守るためにあります。真実に基づかない社会は誤った方向にながされ取り返しのつかない悲劇を引き起こします。情報が錯綜する今どうやって真実を見分けるのか?その方法のひとつとしては、まさに相澤さんが事件の取材を続ける理由のひとつとしてあるように「動機」がなんであるかを問い詰め本質を見極めることなのです。動機がなんであったかを踏まえ論理的に検証することで事の筋道が見え事件の本当の首謀者がだれであったかが判明します。相澤冬樹さんが次のスクープを報じてくれること事件の真相が早く明らかになることを願います。
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      2019/03/04 by

      安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由」のレビュー


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