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思考のレッスン

4.5 4.5 (レビュー1件)
カテゴリー: 評論、エッセイ、随筆
定価: 530 円
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    「思考のレッスン」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      丸谷才一という作家には大きな興味を持っていました。
      幅広い興味と知識とユニークな鑑賞眼。
      そして勇気ある言論は、ケンカを売ってるの?という位の激しい自信に満ちています。
      知的にカッコイイ文学者じゃないか。と。

      と言いながら、丸谷氏の「翻訳」以外のオリジナル小説を読んだことがないのです。
      それは彼が旧仮名遣いで小説を書いていることがハードルになっているという点もあります。

      これは、丸谷さんのインタビューから彼の人となりや、作家としての意識や姿勢、
      文学を愛し研究者としての側面と裏話、思考法・読書法・文章の書き方の心得などを
      忌憚なく語ってくれている、お得な一冊です。
       
      ちょうど、彼自身が
      「回想録、自伝、伝記、インタビュー、これはその人のものの考え方がはっきりと出ることがあって、とても参考になります」
      と語っているように。

      丸谷氏は、明治40年以後の日本文学の不健全さ、
      イデオロギー中心主的現代日本文藝評論のあり方へなどに対し、
      皮肉とユーモアを交え痛切に批判しています。

      「人生論とか、哲学論とか、政治論とか、そんなことばかり。
      白樺派とか、鎌倉の文学とか、中央線文士とかね。
      これじゃあまるで、相撲部屋の世界だよ。」

      「文筆業者は、まず第一に、新しいことを言う責任がある。…
      正しくて、おもしろくて、そして新しいことを、上手に言う」
      「すでに読んだことがあるような、誰かが書いたことの総まとめみたいなことを書くのでは、
      僕はお金をもらうのが恥ずかしいな」

      傲慢な言葉というよりも、私には誠実でストイックだと感じますし、
      かねがね感じていた同じことを、こんなエライ人も思っていて、
      こんなにストレートに言い放ってしまうのかという爽快さがあります。

      「僕は、「遊び心」をとても大切にしています。」

      というところが、ポイントなのだと思います。


      10代のころ不思議で不思議でたまらないことがいっぱいあったという丸谷氏の2つの最大の謎とは、
      「なぜ日本はこういう愚劣な戦争を始めてしまったのか」
      「日本の小説は、なぜこんなに景気が悪いことばかり扱うんだろう」

      これも、私の不思議とマッチしていました。


      「志賀直哉の小説(長編)『和解』『或る男、其姉の死』とか、
      ああいうものを読むと、ゲンナリしてしまうんだなあ。
      この男が父親と喧嘩しようが、しまいが、僕にはどうでもいい

      どうやら日本の小説というものは、ただ嫌なことを書く、
      読んでいて不愉快になるようなことを書くということが大事なことらしい。
      読者に対して嫌がらせをするように書けば、文学的だということになるらしい。」

      (^-^)//""ぱちぱち
      拍手したくなりました。


      私は、意図的ではないのですが、外国の言語や文化に馴染んだ人の文章が好きなんですよね。
      夏目漱石、芥川龍之介、丸谷才一さんは「英文科」ですし、
      村上春樹は演劇科だけど翻訳はずっとやっていたし。

      日本文学しか頭にない人の作品って苦手なんですよ。

      他にもとても面白いことを思い切り言ってくれちゃっています。
      いくつかご紹介。



      「『おもしろくない本は読むな』。
      誰から勧められた本でも、読みはじめておもしろくないと思ったら、そこで止める。
      よく『必読書百選』といった類があって、読んでないとどうも具合が悪い思いをすることがあります。
      でも、おもしろくないと思ったら、断固として『これは読まなくてもいい』と度胸を決める。それが大事ですね」

      「本というものは考えたこと全部を書くものじゃないでしょう。小説だって同じですよ」
      「人間にとって最高の遊びは、ものを考えること」

      「文体に気を配って読まなければ、ほんとうに文章を理解することはできないんじゃないか」
      「ほとんどの人は、もっぱら内容だけで本を読もうとして、文体というものをなおざりにしている。
      これは日本文化にとって重大な損失だし、われわれの文明の病弊の一つだという気がするんですね。
      読者はもっと文体に気を配らなければならない。」

      「文章力がないと、考え方も精密さを欠くようになります…文章力と思考力はぺアになるわけですね」

      「ロジックがしっかり通っているからこそ、レトリックが冴える」

      「吾輩は猫である」は「坊ちゃん」とはまったく対照的に、構成がめちゃくちゃでしょう。
      よけいな話がいっぱい入る。
      ローレンス・スターンの「トリストラム・シャンディ」。いまの言葉を使えば「反小説」


      【内容】一部抜粋
      レッスン1 思考の型の形成史
       読んではいけない本を乱読する/俗説を覆す言論に喝采 /「白玉クリームあんみつ」を排す
      レッスン2 私の考え方を励ましてくれた三人

      レッスン3 思考の準備
       考えるためには本を読め/本をどう選ぶか/言葉と格闘しよう/ホーム・グラウンドを持とう

      レッスン4 本を読むコツ
       インデックス・リーディング
       
      レッスン5 考えるコツ
       謎を育てよう/定説に遠慮するな/慌てて本を読むべからず/比較と分析で行こう/
       仮説は大胆不敵に/考えることには詩がある/大局観が大事
       
      レッスン6 書き方のコツ
       文章は頭の中で完成させよう/
       レトリックの大切さ/言うべきことを持って書こう
       
      鹿島茂さんの解説が簡潔に言い得て役に立ちます。
      本文の内容が多岐にわたり、迷路に迷う感覚になったなら、解説を読みましょう。
      鹿島さんの読解力と文章力にも脱帽させられることでしょう。
      >> 続きを読む

      2013/09/16 by

      思考のレッスン」のレビュー

    • >「僕は、「遊び心」をとても大切にしています。」
      >「文章力がないと、考え方も精密さを欠くようになります…文章力と思考力はぺアになるわけですね」
      >「ロジックがしっかり通っているからこそ、レトリックが冴える」

      素晴らしいです。
      なんと、ポイントを押さえた事を表した本と、レビューなのでしょう、
      他にも興味を抱かせるような点多数です。これは必読本ですね。
      >> 続きを読む

      2013/09/17 by Shimada

    • Shimadaさん
      読書が趣味な方なら興味のありそうなことをいろいろ語ってくれて、
      ところどころ難しいのですがとても勉強になります。
      丸谷さん自身は英文科なのですが、日本文学に、それも古典や和歌に精通しているので和洋両分野について自在に論じています。
      インタビューの聞き手の方も丸谷氏と会話ができるだけ充分に文学を知っているため
      通常よりもレベルの高いインタビューに仕上がっています。
      Shimadaさんも、きっと楽しめる本だと思います。
      >> 続きを読む

      2013/09/17 by 月うさぎ


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