こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

SSハンター (文春文庫 (275‐5))

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: シェル・タルミー
いいね!

    「SSハンター (文春文庫 (275‐5))」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0


      シェル・タルミーのサスペンス小説「SSハンター」が、とてつもなく面白い。

      この"復讐小説"的な色合いの濃い作品は、両親を惨殺された一人息子が、30年後に4人の元ナチスSS将校を追いつめる復讐物語ですが、細部の描写が実にいいので、息もつかせぬ極上のエンターテインメントになっていると思う。

      4人の男を探し出して次々に殺していくだけだから、ことさら新味の盛り込みようもないのです。だから、そこをどう読ませるかが作者の作家としての腕なのですが、このシェル・タルミーという作家、なかなかのものです。

      まず主人公のマーク・セバスチャンのキャラクターが、実にいいんですね。この男、30年間をひたすら己れの肉体の鍛錬だけに費やしてきたとの設定なのです。

      幼い頃からナイフ投げの練習に取り組み、学校では柔道、フットボール、バスケット、野球とあらゆるスポーツに才能を発揮し、特にフェンシングと射撃に優れ、卒業後はイギリスへ渡り、乗馬の技術を身に付けるのです。

      さらに、凄いことにニューヨークの俳優養成所で変装術をマスターし、次に日本に3年間滞在して空手と柔道を学ぶのです。その間、飛行機操縦にも手を出し、難しい技術を身に付けると、スカイダイビング、洋弓、スタンドドライビング、そして電子工学の勉強まで始めるのです。

      もちろん、電子工学の勉強は、盗聴技術のためなんですね。つまり、ありとあらゆることのプロとして己れを鍛えるんですね。そして、そのその極めつけは、何と傭兵としてビアフラ戦線に参加しちゃうんですね。実戦に即して腕を磨こうとの魂胆なんですね。

      もっとも、ただこれだけなら、ただの復讐マシーンです。なぜ30年後なのか?。復讐するなら20年後でもよかったはずです。25年後でもよかった。なぜ、セバスチャンは30年間待たねばならなかったのか?。

      それは、すべてセバスチャンが恐怖をひきずっているからなのだと思う。その怯えは、人を殺すことの恐怖ではなく、復讐が、いや己れの存在そのものが"無意味"なのではないかとの怯えなのです。

      そして、この怯えが肉体の鍛錬に陰影をつけるんですね。ディック・フランシスの「利腕」の主人公シッド・ハレーがそうであったように、己れの内にひそむ"恐怖心や弱さ"を男はいかに克服していくか、自分と向き合い、悩み、格闘する人間に魅かれるんですね。

      もちろん、殺される方も黙っては殺されません。セバスチャンを倒すために殺し屋を雇います。これも元グリーンベレーのプロ。つまり、後半はプロVSプロの死闘が展開するんですね。

      この相手役が昔の日活映画のエースの錠こと宍戸錠みたいに、キザでワルでちょっとイイ男なのだ。このことが、この暗い復讐話を軽快にしていると思う。

      そして、クライマックスのアクション・シーンも実にいいんですね。とにかく、心理描写を初めとして細部がいいので、単調に陥りやすいストーリーを締め、サスペンスを盛り上げているのも、なかなかうまいと思う。


      >> 続きを読む

      2018/03/02 by

      SSハンター (文春文庫 (275‐5))」のレビュー


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    SSハンター (文春文庫 (275‐5)) | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本