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有栖川の朝 (文春文庫)

著者: 久世 光彦
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    • 評価: 評価なし

       この物語のベースになったのは、皇族を名乗った男女が結婚披露パーティをして、祝儀などを集め、詐欺と訴えられた事件。

       この物語では、有栖川を名乗るけれど、’有栖川宮’ではないから、皇族ではない、という所から、お月さんという70歳の老婆が「美しい夢のようなお殿様とお姫様の披露宴」の実現の為に奔走する部分に焦点をあてています。

       お月さんは何もかも万全に用意準備をする。
      お殿様は、京都の撮影所の大部屋の役者、安間。
      お姫様は、町で拾ってきた美しいだけの酒乱の女、華ちゃん。
      高貴な方と見える外見だけが大事なのです。

       お月さんは、銀行から金を借り、皇族を研究している学者から話を聞き勉強し、弁護士を雇い、安間と華ちゃんを教育します。

       詐欺すれすれではありますが、美しい宴の為に自分はひたすら影になって、それは川獺(かわうそ)というたとえになっていますが、こつこつと準備を進める。

      「川獺というのは、自分のとった魚を石に並べて見せびらかすのだという」

       有栖川識仁と名乗らせ、明らかに皇族の臭いをふりまいて、世の中の、皇族、華族といったものに安直な憧れを抱いている者たちをひきよせる。

       久世光彦の文章は、漢字を美しく使い、カタカナはほとんど使いません。

       草木の名前も櫟(くぬぎ)、欅(けやき)、藪手毬、花水木、梔子という漢字の美しさをちりばめることに関しては、名文。

       ただし、人間を描くときそれはとたんに、俗なものと描かれる。
      特に安間と華ちゃんの対照的な俗物感は見事。

       一生涯をお妾さんで過ごしたお月さんの夢は「美しい宴」。一瞬の花火に命をかける花火職人を思い出します。

       そして、日本人が根本になんとなく持っている「特別な一族」への憧憬というものを鋭く突いています。
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      2018/06/30 by

      有栖川の朝 (文春文庫)」のレビュー


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