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望楼館追想

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,000 円

古い邸宅を改造した不思議な集合住宅“望楼館”。他人の愛したものを盗み、収集する“ぼく”をはじめ、住人に奇妙な人物ばかり。人語を解さぬ“犬女”、汗と涙を流しつづける元教師...。彼らの過去には何が?人の魂の苦悩と再生を優しいまなざしで見つめ、圧倒的な物語の力で描き出す驚異の新人のデビュー作。

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    • 評価: 5.0


      エドワード・ケアリーの「望桜館追想」は、いびつだけど、美しい佇まいを持った小説です。

      この小説は、まさに奇人・変人見本市といっても過言ではない作品です。

      舞台は、ヨーロッパのとある国の、小さな町に建つ古い館。
      白い手袋を決してはずさず、他人が愛したものを盗み、蒐集している語り手のフランシスをはじめ、この館の住人たちの奇矯な個性を、まずは堪能できるんですね。

      部屋から一歩も出ず、テレビを見続け、虚構の中に生きる老女。
      全身から汗と涙を流し続ける、体毛のない元教師。人語を一切、解さない犬女。
      「シッ」「あっちへいってろ」しか話さない門番。生ける屍のような、フランシスの父。

      そんな面々が、外界とはほとんど交わらず、時間が停止したような崩壊寸前の館で、幸せに暮らしているのです。

      ところが、新しい住人アンナの登場によって、死んでいた館の時間が動き始めてしまうのです。

      老女はテレビを消し、犬女は言葉を思い出す。寝たきりだったフランシスの母が目覚め、父が立ち上がり、望桜館の歴史を語り出すのです。

      そうしたこと全てが、気にくわないフランシスだけは、最後まで抵抗するのだが-------。

      ギュンター・グラスの「ブリキの太鼓」に出てくる、三歳の誕生日に自らの意志で成長を止めてしまう永遠の子供、オスカルを彷彿とさせる、反社会的な性格を持つ奇人、フランシスの語りがまとうグロテスクなユーモア。

      彼が蒐集する品々に関する寓話的なエピソードの妙。
      その中でも、とりわけ気味の悪いコレクションにまつわる謎。

      館を舞台にしていながら、ゴシックというよりはバロック。
      この「望桜館追想」は、そんな歪んだ感性が魅力の一冊なのです。

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      2019/05/24 by

      望楼館追想」のレビュー


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