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イン・ザ・ブラッド (文春文庫)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: ジャック カーリイ
定価: 896 円
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    「イン・ザ・ブラッド (文春文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【山盛りの事件の中に巧妙に張り巡らされた伏線】
       はい、カーソン・ライダー・シリーズ第5作ですよ~。

       今回の始まりは、カーソンと相棒のハリー・ノーチラスが早朝釣に出かけるシーンからです。
       いざ釣を始めようとしたところ、沖合にボートが漂っているのを発見します。
       不審に思ったカーソンが泳いで行ってみると、ボートの中には赤ちゃんが乗せられているではないですか。
       カーソンとハリーの活躍により、赤ちゃんは何とか一命を取りとめました。
       しかし、このボート、誰がどこから流したのでしょう?
       あるいは何かの海難事故?

      さて、それはそれとして、もう一つ別の事件が発生します。
       カーソンとハリーが勤務するモビール市警がある町には、宗教団体が経営するやたら豪華な学校がありました。
       その宗教団体を率いているのはウルトラ右翼、白人至上主義のスカラー師という宗教家だったのです。
       スカラー師はひどい人種差別論者なのですが、逆に根強く残る白人至上主義者からは熱烈な支持を受けており、寄付金もしこたま集まってくるのです。

       そんなスカラー師が殺害されるという事件が起きました。
       スカラー師は、女性の下着をつけた姿で、逆さ吊りにされ、背中には鞭の痕が残り、肛門にはバイブレーターが突き刺された状態で死んでいました。
       大きな外傷はなく、死因はどうも心臓麻痺の模様。
      どうやらスカラー師は、密かによろしくない趣味を持っていたようで、そのお楽しみ中に亡くなってしまったように思われます。

       ただ、死んでいる状況が状況ですし、他殺の線もまだ否定できないので、PSIT(精神病理・社会病理班)に所属するカーソンとハリーのコンビが事件を担当することになりました。
       事件を追っていくうちに、最初は全く関係がないと思われた赤ちゃんの件と徐々に結びつきが見えてくるというストーリー展開になっています。

       さて、この作品を読んでいて感じたのは、「いつもとちょっと様子が違うなぁ」ということでした。
       カーソンがいつも以上にかなり強引な捜査を進めようとするのです。
       カーソンはいつもはもっと上品だったはずなんだけど……何だかイラついているように思えるということでした。
       確かに、作中でも、カーソンは事件の連続でかなり疲れていて、本件捜査の過程で知り合った管理栄養士からもっと良い食事と睡眠を取りなさいとアドバイスをされ、サプリメントなどももらうような状態でしたので、そういうことなのかなぁと思いつつ読んでいたのですが……それすら伏線だった!
       この辺りは、シリーズを読んできた読者だからこそ感じる違和感を上手く使っているわけですね。

       いや、この作品は非常に巧妙に沢山の伏線が張り巡らされているのです。
       本作ではかなり沢山の事件が起き、また、エピソードも多いのですが、その中にあれこれをつなげる伏線が実に巧みに、しかも蜘蛛の糸のようにびっしりと張り巡らされているのには脱帽しました。
       これはシリーズ・トップクラスの仕事ではないでしょうか?

      また、本作ではハリー・ノーチラスの子供好き、優しいところが沢山描かれます。
       ハリーfanの皆様にはうれしいところですよね。
       さらに、シリーズの売り物の一つ、カーソンの兄のジェレミーが全く登場しないというのもシリーズ中では異色の作品と言えるでしょう。

       練りに練った構成といつもの軽妙なユーモアは健在ですが、今回のテーマはいつものようなサイコパスではなく、人種差別がコアになります(それも一つのサイコパス、ソシオパスであると言えばそうなのでしょうけれど)。
       かなりデリケートなテーマなので、それはそれで嫌な感じはするのですが。
       でも、そこにさえサプライズを仕込んで来るので油断はできませんよ。

       しっかりと水準を保ったシリーズ作品であり、fanは安心して読むことができますよ。
       まだ、このシリーズを読んだことが無いという方は、本作をお読みになるのはちょっとお待ち頂いて、まず、シリーズ第一作の『百番目の男』から順に読んで行ってください。
       その方が絶対に楽しめますので(先ほど書いたように、シリーズを読んできた読者だからこそ感じるようなところにさえサプライズ、伏線を仕掛けてくる作者なのですから)。
      >> 続きを読む

      2020/03/13 by

      イン・ザ・ブラッド (文春文庫)」のレビュー


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