こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

白い殺戮者 (トクマ・ノベルス)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 佐々木 譲
いいね!

    「白い殺戮者 (トクマ・ノベルス)」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0


      私が好きな作家のひとりに、佐々木譲がいますが、彼は処女作の「鉄騎兵、跳んだ」のようなモーターアクションや、「エトロフ発緊急電」のような冒険小説や、「警官の血」のような警察小説などの優れた書き手ですが、意外にも、ホラー小説にも「死の色の封印」といった幽霊屋敷ものの佳作もあるんですね。

      そこで今回読了したのが、正統派モダンホラーの醍醐味がたっぷりと味わえて、読者である私に恐怖を実感させる様々な段取りが網羅されていた「白い殺戮者」です。

      "書き下ろし長篇超自然パニック"とか、"この冬、氷結の北海道はSOS-----"などのキャッチ・コピーを見ると、いかにもヨーロッパを襲っている大寒波が北海道にも襲いかかってくるような話に思われてきますが、これはそんな大仰なものではないのです。超自然は超自然でも、ホラーなのです。

      この物語の舞台は北北海道、天塩川の中流域にある人口四千人余りの小さな町、北士別。ルポライターの大坪卓也が、その町の百年史を執筆する仕事を引き受け、取材に訪れる辺りから、淡々と始まります。

      この町では、戦後まもない頃、「オンネベツの血の祝言」と呼ばれる"八つ墓村"事件のような血腥い散弾銃乱射事件が発生したが、以後、四十年間、平和な日々が続いてきたのだった。

      大坪が訪れる前日、珍しく町に老人の凍死者が出た。厳冬期になるとマイナス二十度は普通、マイナス三十度を記録することも、ひと冬に二、三度あるが、凍死者が出るのは稀であった。

      寒村とはいえ、北士別はワンマン市長の尽力により、この十年間、急速な発展を遂げており、開基百年の記念祭は、それに拍車をかける重要な行事であった。

      大坪の仕事もその一環であったのだが、彼は町の飲み屋の女に手を出したり、反町長派の老人に取材したり、次第に疎まれる存在となっていくのだった。

      そんな時、町は猛吹雪に襲われ、二人目の凍死者が出、さらに大坪が取材していた老人も凍死してしまう。だが、その老人が死んだ日は吹雪も去り、穏やかな天気だった。

      彼を最後に目撃した大坪は、別れ際に、竜巻状に舞い上がった雪が、老人の愛犬を包み込む、不思議な現象を見たのを思い出すのだが-------。

      もちろん、この北士別というのは架空の町だ。その町の風土とワンマン町長を核にした、微妙な人間関係がまず丹念に描き込まれ、徐々にサスペンスが高まったところで、"白い殺戮者"が姿を現わし始めるという寸法なのだ。

      この物語の冒頭に描かれた「オンネベツの血の祝言」で、のっけから呪術的なテーマを匂わせたうえで、恐怖を実感させ得るための様々な段取りを過不足なく抑えていくのは、まさに"マスター・オブ・ホラー"ならではの王道的な手法で、実にうまいと思いますね。


      >> 続きを読む

      2017/12/26 by

      白い殺戮者 (トクマ・ノベルス)」のレビュー


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    白い殺戮者 (トクマ・ノベルス) | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本