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Z

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 漫画、挿絵、童画
定価: 1,680 円
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    「Z」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      スパイものの漫画といえば何はおいても「Z ツェット」です。

      クールなスパイの世界で奔走する金髪碧眼、ゲルマン系の超美形の若者。
      コードネームはZ(ツェット)。
      スリリングなストーリーとドラマチックな人間描写が秀逸。
      「正統派」かつ「文学的」なスパイアクション漫画です。
      「男女の恋愛」も描かれます←ここ重要!

      上官のエーベルバッハ少佐は、めちゃくちゃ口が悪いです。
      でもその中には皮肉な笑いや真理の他に、部下に対する熱い想いも込められています。
      そんな上官への絶対的な信頼を胸に、一見甘ちゃんの、実はしぶといド根性坊やのZ君が、
      命を張ったシビアな世界の中で、心も体も傷つきつつも逞しく成長していきます。
      しかしZが魅力的なのは、素直で優しい心が失われないことにこそあるのです。
      「永遠の新人」Zに幸あれ!

      名作洋画鑑賞の気分でどうぞ。


      【ZⅠ】    1979 8月
      「鉄は熱いうちに打て――だ」 訓練所を出たばかりのぺーぺーのZ君のデビュー作。
      漫画らしいコメディの色が濃い作品です。
      東西冷戦の真っただ中の情勢下。
      Zの初任務はMFS(東独国家保安省)によるオイルダラーの息子の誘拐阻止のための護衛。

      「なんであんなものすごい上官の下にまわされたんだろう…」
      なんてチャラいことをほざくほど、まだまだフツーの青年。

      新人と見抜かれ甘く見られたZは目の前で誘拐を実行され、彼自身も車ごと始末されそうになる。
      「とむらいの花ですよ NATOのぼうや」

      ラストシーンのスローモーションとワイドな画面が
      めちゃくちゃ映画みたいでカッコいいです。
      セリフも渋い~♡

      「…撃った…な… バラ…を…」
      「そうだ――バラを…撃ったんだ――!」


      【ZⅡ “DIE FRAU AUS DDR"】  1980 6月
      デュッセルドルフの兵器工場「ハイデマン鉄鋼」の中堅技術者の死は事故死ではなかった。
      死体のポケットから出てきた「NATO エーベルバッハ少佐」と書かれたメモ。
      死亡当日に速達で届いた「1本のボルト」
      彼は東ドイツから西側への逃亡者だった。
      Zは同社のコンピューター室に勤務する妻、レナーテに接触を図る。

      東西ドイツが分断されていた国境線「ベルリンの壁」が描かれています。
      (ああ、本物が見たかったのに…)

      「スケベ心をおこすな 彼女は美人だ」

      「プロってのは相手によけいなことは一切知らせんもんだろうが」

      「わずか ボルト1本の――」
      人を人と思わぬ非情さに悲しさと哀れさを感じます。
      「さようなら やさしいスパイさん」
      Zが泣きます。少佐が、わざと冷たくしているところがいいですね。

      私は、この作品が一番好きです。


      【ZⅢ “PANZER MARSCH" 】  1981 7月
      BND(ベーエヌデー・連邦情報局)の大物、アドルフ・ハルトマンからエーベルバッハ少佐に個人的な依頼として持ち込まれた案件は
      「2重スパイ狩り」だった。
      「疑惑の目をむけられた2重スパイは逃亡する前に必ずある行動を起こす」
      つまりお土産持っての亡命である。
      重要な役職についていたものの亡命は情報の多大な漏洩と威信の失墜という大きなダメージをもたらす。
      西側諸国の利益のために「鉄のクラウス」が動く。

      二重スパイは誰なのか?情報漏えいの方法は?
      ミステリーとしても楽しめます。

      「おれ達の仕事はすべて納得ずくで片付くような おめでたいもんじゃないんだぜ!」
      部下は上官の命令で与えられた任務を遂行する――それがすべてだ。

      ハードボイルドだぜぃ。d(⌒ー⌒) グッ!!


      【ZⅣ  “Das Fraulein,die Z lieble"】
      Z君の恋。スパイの愛した人は、いつも悲しい運命の女。
      ノルウェイに潜行していたNATOの連絡員、エルウィン・マイヤーが事故死を遂げ、
      周辺捜査のためZは弟としてその恋人、アネリーゼ・オルセンに接触する。

      傷心の女性を騙す罪悪感に苛まれるZだが…

      「失恋した男は酒でもかっくらってみじめに泣いてりゃいいんだ
      それが別れた女へのエチケットというもんだぞ」

      「ぼくは本当に寒かったんです」の名セリフは
      後に、少佐にからかわれるネタとして使われることになる。

      この本に収められたこの作品では、ラストの部分に大幅な加筆があり、
      連載当初と随分印象が変わっています。
      特に、あのシーンが( ̄▽ ̄)


      【ZⅤ “BLACK-OUT”】   1983 9月
      最新鋭戦闘機がリアルに空を舞う少女漫画が他にあるでしょうか?!
      MFSの手に渡った軍事機密を取り戻すためにDISへ「協力」に派遣されたZ
      しかし内密に処理したいDISにとっては邪魔者でしかない。
      「ぼくの任務はまだ終わってはいない
      ぼくは負け犬にはなりたくないんです」
      内部に留まるMFSのスパイを追い続けるが…

      ジャギュアCCV=2戦闘機に同乗させられてしまうZ。
      「国外へ脱出する前に撃墜せよ」
      絶体絶命のピンチ!

      主人公はZなんですが、読者の大多数はハリアーを操縦する少佐が「かっこよすぎ~」って思っていました。
      なんで陸軍出の情報将校が戦闘機に乗れるのさ?とは聞かないでください。


      【ZⅥ “Das Rapsfeld"】 1999 8-9月
      時は過ぎ、冷戦時代は終わり。スパイが活躍するのは経済問題の舞台へと変わりました。
      環境問題やエネルギー問題、それに絡む各国の利害など
      国際間の裏の世界はいまだに真っ黒です。

      ZⅥは、クリーンエネルギーを巡る陰謀のお話。
      時代を先取りした作者の鋭い感性に改めて驚かされます。

      燃料電池の技術研究をすすめるベンチャー企業の子息誘拐の企みは
      カスピ海の石油利権を握るロシア・マフィアの組織による経済妨害工作だった。

      ターゲットにされた少年を保護するためにZが動く。


      「最近のスパイ事件の大半は経済と科学が標的とされている。今や軍事関係は1割以下だ」

      情報戦略は冷戦時代とは様変わりし、アメリカの傍受システム「エシュロン」が産業スパイ行為を公然と行う時代。

      「重要な会議は面談が一番安全なんだよ。 電話もFAXもEメールも禁止だ」

      冷戦が終わり、欧州連合により国境もある意味亡くなったヨーロッパ。
      東西対立の最前線だったドイツも統合され、「Z」という作品のテーマが消失しました。

      この作品は作者が「Z」の最終章として描いた打ち止めの作品です。
      長きの連載に思いを馳せると、非常に感慨深いです。
      私にとっては、この作品は全てリアルタイムだったので。

      シリーズを追うごとにシリアス度が増してゆき、そしてZ君の髪が短くなっていきます(^^)
      まとめて読むと絵の変化もすごくて。


      【こんな方にもおすすめ】
      ・誰でも楽しめるエスピオナージ入門編 として。

      ・洋画ファンに。
      アングルやカット割りなど、映画を意識した作品なので。

      ・少女マンガを読んだことがない 男性 に。
       (普通の少女マンガではないですよ)


      【おまけ】
      長年実在を信じていたのですが、NATO情報部というのは実際には存在しません。
      (しないことになっている。というべきかも)
      そもそもNATO軍という軍隊が独自に存在する訳ではなく、
      ドイツ軍のいわば出向みたいな形式をとっているらしいですね。

      情報部の実働部隊を動かしている実質のリーダーが
      エーベルバッハ少佐で、その部下はA~Zの26人!
      という設定は、事実とはかなりかけ離れていると思います。

      マンガの出発点(「エロイカより愛をこめて」)がもともとコメディの設定で
      リアリズムではなかったという事情がありますので、
      このあたりは「フィクションのよさ」と思って楽しみましょう。

      それでも、時代を映す社会情勢の書き込みや、メカニックの描き方の緻密さ
      少女漫画では他と比較にならない車などの描写の上手さなど
      読んでいるうちに絵であることを忘れます。
      リアルに心から彼ら登場人物を愛し続けている人がいることが
      それを証明するでしょう。


      この本は「ZⅠ~Ⅵ」まで6作が一挙収録の『完全版』 2011年10月発売
      書店で行われたサイン会にも行きましたとも!!!
      青池さんと握手してもらっちゃった~♪
      >> 続きを読む

      2013/05/27 by

      Z」のレビュー

    • iceさん
      はい。ツェットはドイツ語です。
      ドイツ語って男性的でありながらセクシーに響く言葉ですよね。
      当時の少女漫画界には結構ドイツ語って広まっておりました。

      KBG、BMWを「カーゲーベー」「ベーエムベー」と発音する女がいたら
      まず「エロイカ」ファンとみて間違いないでしょう。
      この漫画のせいでドイツ語を学んだという熱心なファンさえいるのです!
      (私は無理でした。言語はラテン系のほうがいいな~)
      >> 続きを読む

      2013/05/27 by 月うさぎ

    • Miss Terryさん
      大丈夫、大丈夫。ミステリーとも親和性のある世界ですよ。
      説読むよりハードルはうんと低いと思います。

      もともと高校生あたりが読む漫画です。
      当然国際情勢なんて毛ほども知らない読者に向けた作品なのです。
      最後のZⅥだけ読者層の年代があがっていますが、「燃料電池って何?」という解説付きでまことにご親切です。
      (水素と書くべきところがミスプリで一カ所水になっている気がしますが。
      まあ、誰も気づかないならいいか。)
      >> 続きを読む

      2013/05/27 by 月うさぎ


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