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蹴りたい背中

3.7 3.7 (レビュー3件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,050 円
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第130回 芥川龍之介賞

“この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい”長谷川初実は、陸上部の高校1年生。ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンであるにな川から、彼の部屋に招待されるが...クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。史上最年少19歳での芥川賞受賞作。

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    「蹴りたい背中」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
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    • 評価: 4.0


      青臭い。なのに、独善的ではない。描かれているのは、高校生の世界。
      なのに、ハイティーンだけでなく、それこそリストラ世代の胸にも届く言葉に溢れている。

      綿矢りさの第130回芥川賞受賞作「蹴りたい背中」は、"17歳の女子高生が書いた"という話題だけが先行しがちだったデビュー作「インストール」より遥かに普遍性の高い、この若い作家の明るい未来を予告するファンファーレのような晴れやかな小説だったように思う。

      主人公は、高校一年生のハツ。友達は、中学生時代から一緒の絹代ただ一人なのだけれど、その彼女も新しい友人グループを作ってしまい、ハツはクラスで浮いた存在になっている。

      ある日、もう一人のクラスの余り者、にな川に家に来ないかと誘われる。
      にな川は、ハツが中学生の頃、偶然に出会ったモデルのオリチャンの大ファンで、彼女の情報を集めていたのだった。

      「どうしてそんなに薄まりたがるんだろう。同じ溶液に浸かってぐったり安心して、他人と飽和することは、そんなに心地よいもんなんだろうか」。

      独りきりで過ごす休み時間や、昼寝タイムの居心地の悪さをつらいと感じても、ハツはだからといって無理に仲間を作りたいとも思わない。
      練習をさぼることばかり考えている陸上部の、仲良しクラブのようにぬるい雰囲気にも馴染むことができない。

      でも、中学時代にはそうしたグループの一員だったこともあるハツは「人のいる笑い声ばかりの向こう岸も、またそれはそれで息苦しい」のを知っている。
      笑いたくなくても笑って、他の人に調子を合わせなくてはならない暗黙の掟の窮屈さを知っている。

      だから、よくいえばニュートラル、悪くいえばどっちつかずの状態にあるハツ。
      それゆえに、自分より一層、他者と交わらず、オリチャンという幻想の中に閉じこもっているにな川が、気になって仕方なくなってしまうのだ。

      でも、それは"好き"という感情とは違う。
      オリチャンのラジオ番組を、「この方が耳元で囁かれてる感じがするから」と、片耳イヤホンで聞くにな川の「この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい。痛がるにな川を見たい」という欲望に耐えきれず、凄まじい力で蹴り倒すハツ。

      一緒にオリチャンの初コンサートに行き、地震が起こればいい、地震が起きたら自分がオリチャンを助けるんだという妄想を口走りながらも、しかし、絶対に地震など起こらないことも分かっているにな川が、絶望的な表情を見せれば「にな川がさびしい。彼を可哀想と思う気持ちと同じ速度で、反対側のもう一つの激情に引っぱられていく。にな川の傷ついた顔を見たい。もっとかわいそうになれ」と思ってしまうハツ。

      勉強ができるわけじゃない。ルックスがいいわけじゃない。何か特技があるわけでもない。
      だから、独りとはいっても、それは孤高の存在なんてカッコイイものではなくて、クラスのお荷物的な存在としての独り。

      ハツは、そんな自分の情けない立場をよく知っている。
      ところが、にな川ときたら、自分以上にクラスメートから異物扱いを受けているのに、意にも介さない。
      オリチャンさえいれば満足なのだ。オリチャンのグッズに囲まれていれば幸福なのだ。

      そんなにな川に対する共感と苛立ちと、ほんのわずかな羨望と-------。

      一歩間違えば陰惨な、しかも哀しいくらい低レベルないじめに向かってしまいそうな、そうした心象を、著者の綿矢りさは、簡単に決着させることなく、丁寧に、でもくどくはない、どちらかといえば軽いユーモラスな筆致で描いていく。

      そして、ハツとにな川の関係性を開いたまま、物語を閉じる。
      19歳にしか書けない、けれど普通の19歳には決して書くことができない。
      まさしく、この作品は、新しい才能の開花を告げる慶賀の一冊なのだと思う。
      >> 続きを読む

      2019/02/09 by

      蹴りたい背中」のレビュー

    • 評価: 5.0

      圧倒的に好き。
      著者のルックスとか賞とか関係なく好き。
      文体とか観点とかがシビレる。

      話題になっちゃって、これ以降の作品の文体から「らしさ」が消えてしまったのが本当に残念。

      2016/02/09 by

      蹴りたい背中」のレビュー

    • 評価: 2.0

      話題になっていたので読んだ。最年少で芥川賞受賞したということで読んでみたかったけど、正直なんとも言えなかった。

      全体的に浅くて物足りなく幼稚に感じてしまう。

      使っている言葉もあまり渡し好みではなかった。

      これを書いたのが高校生じゃなくても芥川賞を受賞したのだろうか。 >> 続きを読む

      2012/11/01 by

      蹴りたい背中」のレビュー

    • 蹴りたい背中と言えば・・・

      1人だけいます。キラーン!!

      2012/11/02 by makoto

    • 当時とても気になっていたのを思い出しました。
      さわりだけ読んだような…
      >これを書いたのが高校生じゃなくても芥川賞を受賞したのだろうか。
      結構こういう疑問でてきますよね
      年齢とか関係なく素晴らしい本に受賞してほしいな
      >> 続きを読む

      2012/11/21 by sky

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      • 評価: 4.0

        孤立している主人公の女の子が抱いている敏感な感情や心がひしひしと伝わる、綿矢さんらしい表現のされ方していて、そんな表現の仕方があったかーと読んでいて感心でき、面白かったです!

        自分と同じようように周りから孤立していると思っていた男の子には夢中になることがあって、孤立というか、ただそれしか見えていなくって他のことは眼中にないくらいで、孤立すら気にしていない。そんな彼の存在は彼女の孤独や強がりをはっきりしてくるいるような気がしました。

        でも、主人公の自分を貫いて、人をみている姿、嫌いではないです!

        2017/07/05 by

        蹴りたい背中」のレビュー


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