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たけくらべ

カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,365 円

美しい美登利と、まじめな信如。たがいに好意をもちながら、子どもたちの間の対立が、二人の心をすれちがわせていた。そんなある日、祭りの夜におこったできごとが、美登利の心を深く傷つけ、二人をますます遠ざけていく...。不朽の名作を、アニメとやさしい文章で、楽しく読みやすく!!小学校3・4年生から。

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    「たけくらべ」 の読書レビュー

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      集英社 (1993/12)

      著者: 樋口一葉

      • 評価: 5.0


        樋口一葉の「たけくらべ」を再読しました。
        この小説は、恋愛というには、あまりに幼く、淡く、しかも古風な物語です。

        やがては遊女になる運命の美少女・美登利と寺の跡取り息子・信如との、おそろしく密やかで、意地っ張りな初恋物語。

        この小説のハイライトシーンは、雨の中で下駄の鼻緒を切らして困っている信如を見かけた美登利が、鼻緒の代わりに友禅ちりめんの切れ端を持って駆け寄ろうとするが、なぜか顔が紅くなり、胸もドキドキして、近寄ることができずに立ちすくんでしまうところです。

        一方、信如のほうも、相手が美登利だと知った途端、顔色を変え、鼻緒をすげ代える手も震え出す-----というお馴染みのシーンですね。

        「(美登利は)格子の間より手に持つ裂れを物いはず投げ出せば、見ぬやうに見て知らず顔を信如のつくるに、ゑゝ例の通りの心根と遺る瀬なき思ひを眼に集めて、少し涕の恨み顔、何を憎んで其やうに無情そぶりは見せらるゝ、言ひたい事は此方にあるを、余りな人とこみ上るほど思ひに迫れど-----」というくだりを読むたび、胸に熱くこみ上げてくるものがあります。

        百数十年近く昔の、それも二十三歳の若き女性の書いた小説に、これほど、胸を熱くさせられるとは-------。

        具体的な行動としては、鼻緒代わりの切れ端を渡す、渡さないという、どうってことない事柄なのですが、そのどうってことない事柄に賭けられた二つの心の緊迫感が凄い。サスペンスフルなんですね。

        恋愛というのは、お互いの心の謎に踏み込んでいくということだから、そこには当然、大袈裟に言うなら、恐怖とか不安とかがつきまとうものです。

        つまり、「怖い」ものだと思う。そして、どこまで読み手側を、その怖い部分に引きずり込んで行けるか----恋愛小説というのは、基本的に、一種のサスペンス小説なのではないかと思うんですね。

        そういうわけで、何か、恋愛的な甘く切ない情緒が欲しいという気分に誘われて、再読したのですが、あらためて思ったのは、恋愛物語として、実にうまくできているのだけれど、それより何より子供たち(主役の二人ばかりでなく脇役たち)の生活の背景の描写、そして人物描写のほうが数段面白く、味わい深いものに感じられましたね。

        美登利と信如の初恋は、物語を束ねる要にはなっているけれども、本当は二人だけが主役なのではなく、どちらかというと全員が主役の"群像もの"の小説に思えるんですね。

        この「たけくらべ」が、最近の少年少女ものと違うのは、子供たちの世界を大人の世界と切り離された、無垢で純粋で抽象的な存在として描いているのではなくて、大人の世界を背負ったものとして陰影深く描いている点だと思う。

        例えば、信如に関する描写など案外と辛辣というか皮肉というか。
        初めてこの小説を読んだ時、私は信如を簡単にフラットに美化して、潔癖で知的な少年のように思い込んでいましたが、よく読んでみると、信如のその潔癖さの裏には、寺の者にしては生ぐさい、両親に対するひけめや反撥があり、潔癖と言えば聞こえはいいが、実はとんだ小心者と言えなくもないんですね。

        そういうところを、樋口一葉は、周到に描き出していると思いますね。
        だからこそ、信如という少年は、立体感を持ったリアルな一個人として浮かび上がって来るし、美登利に対する惹かれていく気持ちと離れようという気持ちにも、大いに納得がいくんですね。

        再読してみて、樋口一葉の人間を見る眼の確かさ、深さに感心してしまいます。

        考えてみれば、遊女を約束された少女と僧侶を約束された少年という取り合わせは、実に大胆だと思う。
        まるで別世界なんですね。美登利と信如は、それぞれ自分の住む世界に関して意地や誇りを持っている。
        まるで別種の人間だからこそ惹き合う力も強いのですが、離れようとする力も強い。

        好きなのか嫌いなのかわからない、とにかく、なぜか気になって仕方がない-------。
        遊女と僧侶という設定が、この初恋を複雑で面白くねじれたものにしているのだと思う。

        それから、年下の少年・正太郎の美登利への思慕も味わい深いし、江戸の面影を残す明治の風俗の描写も酔わせてくれます。

        やはり、この「たけくらべ」は、傑作ですね。

        >> 続きを読む

        2018/08/01 by

        たけくらべ」のレビュー

      • あすか 様

        樋口一葉のこの「たけくらべ」については、山梨日日新聞社が「樋口一葉-現代語訳」(山日ライブラリー)というのを、山梨在住の歌人・秋山佐和子の現代語訳で出版していて、この本がとても読みやすくて、原文の詩情や情緒を色濃く残していて、お薦めですよ。

        他にも、河出文庫の「たけくらべ 現代語訳・樋口一葉」という本が、作家の松浦理英子の現代語訳で出版されていますが、ちょっと読んでみましたが、訳者のこの作品に対するリスペクトが全く感じられず、なおかつ、非常に読みづらいものになっていますので、これは避けた方がいいと思います。

        以上、参考にしていただけたら幸いです。

        >> 続きを読む

        2018/08/03 by dreamer

      • dreamerさん、教えてくださりありがとうございます!
        河出文庫、覚えときます~~(;'∀') >> 続きを読む

        2018/08/05 by あすか


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