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本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング (光文社新書)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: 島原 万丈+HOME`S総研
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    「本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング (光文社新書)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      経済的な指標ではなく体感として町を評価した幸せ度でみる町
      なんと全国都市の総合トップは意外や意外な「文京区」!
      別の本では23区ランキングの下位だったのに。

      ランキングは社会学的な意味合いをもたせるための方法論であって彼の目的ではありません。
      この本はれっきとした「都市論」でした。
      人間が集い住む空間としての都市がどうあるべきか?
      発展途上の国とは別のベクトルがあるべきなのに、グローバル化した世界の中で都市の理想も変るべきなのに、日本の「上層部」はなんと100年前に提唱された未来の都市モデルを無反省に全国に拡散しているのだそうな。

      地方都市へ出張へ行った人は誰でも、駅前開発の無意味な広場や金のかかったペデストリアンデッキ、駅前だけ立ち並ぶピカピカの高層ビルに驚いたことがあるでしょう。
      東京の町の駅前よりも立派だわ。と。
      そして同時にその駅前に人のにぎわいを全く感じないことにも驚くのではないでしょうか。

      島原万丈氏の本作のきっかけは、武蔵小山駅周辺の飲食店街「暗黒街」の再開発問題でした。
      なぜ武蔵小山のような楽しい街がどんどん無くなっていくのか?
      この問いかけには私はものすごく共感を覚えたのです。
      鈴木都知事が掲げた「マイタウン東京」構想を知ってから今に至るまで、ずっとずっと「違う!」という思いを持ってきたのでした。

      その間、私が直接知っているだけでも新百合ヶ丘、中央林間なド田舎の駅が大都会に変貌を遂げた例がいくらでも見つかります。下北沢もだいぶ変わってしまいました。
      都市部への人口集中と大手デベロッパーの利益追求が原動力ですが、我々の心の中にも「都市化」が人間にとって望ましいという思いも間違いなくあると思うのです。

      ここらで頭を使ってみましょうよ。
      人間が生きる場としての町の魅力とは?
      そして何よりも幸せとは何か?

      彼の提唱するのはセンシュアス・シティ(官能都市)〔Sensuous City] ―身体で経験する都市という考え方です。
      一見数値化できないものを多くの選択肢を与えポイント化して標準偏差値化しました。
      「わが街」が歩いて楽しいか、共同体に所属している感覚が得られるか、文化体験や食文化が豊かであるか、自然や町並みが美しいか、狭小な人間関係に煩わされずに個性を失わないで暮らせるか?
      それは人口で割り算した公園面積や住宅面積や病院のベッド数では見えてこない、街の魅力そのものです。

      毎年話題になる「住みたい街ランキング」が「住んで良かったランキング」ではないじゃないか!という私のひそかな不満を、この本ではちゃんと掬い取ってくれていました。
      本当に真剣に都市開発を考えている人だと思います。

      広い道路を通し、駅前をロータリー化し、密集エリアを統合して土地の高度利用で商業・オフィス・住宅・公共などの複合施設を作るといった、どれも同じ設計図。
      政府と森ビルが手を組んで日本中にコピーアンドペーストしてきた「町のあるべき姿」
      まず、これを疑ってみませんか?

      パリが、リスボンが、トレドが、ヴェネツィアが、碁盤の目のような道路で仕切られた巨大高層ビルが立ち並ぶ街だとしたら、誰が歩きたいと思うでしょうか?
      誰が写真に収め、その写真を撮るためにこの街に旅行するでしょうか?

      日本の都市計画のフォーマットはコルビュジエという建築家が1922年に出した本に描かれた構想を元にしています。
      ヨーロッパで採用されず、アメリカの都市計画で採用後に破壊された、いわばとうにすたれたアイディアです。
      一方、現在の都市論の世界的な主流は小区画にさまざまな体験が混在している状態が活性化を生むという発想の元で設計されているそうです。
      いわれなくてもわかりますよ。
      原宿の竹下通りがどうしてあれほど混雑しているのか。
      誰かに答えてもらう必要があるでしょうか?
      それにひきかえ表参道ヒルズなんか私などはトイレを借りに入るだけです。

      「文京区」は東京外の方にはおそらく知名度がない区だと思います。
      東大があって東京ドームがあって夏目漱石の「こゝろ」の舞台だよといえば、へえ。くらいなものでしょう。
      東京23区内ではバブル崩壊後あたりまで第一種大型店舗がない唯一の区でしたし、JRの駅は一つもありません。
      坂道だらけ寺だらけで、大都心の田舎みたいなところです。
      しかし地元住民は文京区愛がとても強い人が多くて、このランキングも地元愛の強さによるものであって、ちょっとえこひいきかもしれないと思う部分もあるのですが(笑)、他区とは違った歴史と個性のある街であることには異論はありません。

      しかしこの町にもタワーマンションが建つ時代がやってきました。
      シビックセンター(区役所)前の一大エリアが再開発の真っ最中ですし、私の住む小石川でもマンション建設と再び活性化している地上げの嵐がやってきています。
      昔ながらの銭湯はアパートや新築住宅に建て替えられ、百軒長屋も姿を消しました。

      都市は変わるものです。
      名残を惜しむだけでは能がない。
      でも変わる姿が殺風景な非人間的なものであるなら、それは本当に町を殺すでしょう。
      機能や利便を追求した結果により選ばれた町は、より新しい機能が備わった町が発見されればその町を捨てるに躊躇がないはずですから。

      都市設計に携わる人にこの本と「赤毛のアン」を読ませたい。
      >> 続きを読む

      2017/07/21 by

      本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング (光文社新書)」のレビュー

    • 文京区!文京区の方には失礼ですが、なんの印象もないのでかなり意外でした。でも最新の町=住みよい街とは全く関係ないということですよね。

      私は吉祥寺が好きです。あのごちゃっとした感じ。あの街がキレイに整備されちゃったら淋しいです。

      バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」を思い出します。
      >> 続きを読む

      2017/07/21 by chao

    • chaoさん
      文京区、知らないですよね。無理ないと思いますよ~。
      戦後の名称の文京区よりも小石川、本郷のほうが通りがいいです。
      地元民の愛着度投票みたいな要素もあるように思えました。
      でも「住みつづけたい」という気持が強いってことですから住みにくくはないんでしょう。
      大阪市北区は2位なのに城東区、西成区なんかすっごく下位で落差が激しい。その理由が知りたい。

      吉祥寺のある武蔵野市は堂々3位でしたよ!
      友だちが住んでいますが、それでも最近は個人商店が閉店しチェーン店が増えたって嘆いています。

      「ちいさいおうち」も「ちいさいケーブルカーのメーベル」も言われてみれば都市論の物語ですね!
      chaoさんするどいわ!

      『ちいさいおうち』(The Little House)は、1942年に描かれ、日本では1954年に発行されています。
      このころから都市開発へ市民の目線で疑問を投げかけたり市民が行政に働きかけたりして住環境を守ろうという思想があったということです。
      あれれ?考えてみると日本は戦争中じゃないの。
      焼野原になった東京に都市論どころではなかったのは事実でしょう。
      でも市民のパワーで栄えた町の活性化に21世紀の今、戦争前のヨーロッパの都市計画をもってくる行政トップのセンスってどうなんでしょう?
      あり得ないと思いませんか?!

      お台場もテーマパークのようで、あれはあれで魅力がありますが、住みたい町ではないです。歩くのに適した街でもありません。
      *ああいう開発が「マイタウン東京」構想です。都庁の新宿移転も同じ。

      今東京を再開発するなら、全く新しい都市を作るチャンスなのにね。
      東京オリンピックの後が怖いです。
      >> 続きを読む

      2017/07/21 by 月うさぎ


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