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ポジ・スパイラル

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 720 円

「温暖化防止」を特集した番組のキャスター・久保倉恭吾のもとに、環境調査会社の谷崎が現れる。番組を利用し、諌早湾の潮止め堤防を開門させ有明海を蘇らせるという。一方、都副知事の佐分利幹生は、久保倉のブレーンでもある住之江沙紀と東京湾再生を目論む。環境再生と政治的利権を巡って野望が渦巻く。堤防開門など、現実の「ポジ・スパイラル」を先見した傑作。

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    「ポジ・スパイラル」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      服部真澄の「ポジ・スパイラル」は、日本の土木開発に警鐘を鳴らす、環境再生の物語だ。

      「持続可能な開発」や「地球温暖化」という言葉を聞かない日はない。
      環境の再生というと、森や大気が真っ先に挙げられるが、海もまた重要な意味を持っている。

      国土面積では、世界60位の日本も、領海と排他的経済水域の面積では、世界6位にランクされる。
      その事実を考えあわせると、海の持つ重要性が際立っていることがわかる。

      この物語の登場人物は、東京大学大学院准教授で、海洋環境の専門家である住之江沙紀。
      祖父が創設した、マリコン洋々建設の、業界のドンと呼ばれる男の娘だ。

      次に、タレント兼俳優の久保倉恭吾。ニュース・エンターテインメント番組の進行役を務め、そこで「ポジディブ・スパイラル」と題するシリーズものを取り上げている。

      そして、環境庁の生え抜き官僚の橋場慎二。留学先のメリーランド大学で沙紀と知り合い、彼女から借りたクルーザーから飛び込んで自殺する。
      遺書には、「日本海域再編成振興財団」を創設して欲しいと記されていた。

      最後に佐分利幹生。東京都副知事で、後に海洋政策担当大臣に就任する。

      物語を織り成す彼らは、それぞれ理論を考え、世間に知らせる、行政面で政策を実践できる専門家だ。
      そして、彼らのコラボレーションによって「海の再生」や「水辺の再生」が進められていく。

      水利と防災という名のもとに、自然の自浄作用を無視して、ダム、河口堰、旧来の護岸工事などに邁進してきた日本。

      物流に都合の良いように、沿岸の埋め立てや浚渫を進め、結果として、海藻を激減させ、漁場としての機能を低下させてきた日本。

      生態系を考えず、もっぱら目先の利益のための、開発と称した土木工事ばかりを行なってきたことから生じている悪循環、それが「ネガティブ・スパイラル」だ。

      その悪循環を断ち切って、新しい発想のもとで「ポジティブ・スパイラル」という、未来の好循環に変えていくためには、どうすればいいのか。
      この本には、その問いかけがなされている。

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      2019/06/11 by

      ポジ・スパイラル」のレビュー


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