こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

黒猫

4.5 4.5 (レビュー4件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 480 円

推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」。160年の時を経て、いまなお色褪せない映像的恐怖を描き出した「黒猫」。多才を謳われながら不遇のうちにその生涯を閉じた、ポーの魅力を堪能できる短編集。

いいね!

    「黒猫」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      森昌麿さんの黒猫シリーズを読んでいてポーも読みたくなりn回の挫折を経てついに楽しく読み切りました!なんで今まであんなに挫折したのか不思議なくらい読みやすく面白い。ポーの反省を反映して主人公たちは鬱屈しているがどこかユーモラスでなんだか自分語りの口ぶりにどれだけ自嘲があってもなんだか憎めません。
      お気に入りが以下
      【黒猫】
      昔英語で読んだことがあったのですが、日本語訳で読むとなおゾクゾクし、哀れ滑稽な男の告白のような見方をすれば怖いというより悲しく、色々な見方のできる作品でした。妻に対する悔恨、愛する動物たちへの悔恨が個人的には男に残った良心として印象に残り、怖いと言いながらもどこか男は黒猫を通して自分の罪を露出したい裁かれたいそして赦されたいとの思いがあったのではと考えてしまいました。
      【アモンティリャードの樽】
      復讐に見せかけて二人の友情の物語と黒猫に解釈されていたからか確かに悲しい掛け違えの友情の物語に感じました。主人公は固く復讐を決心したにも関わらず途中なんどか気持ちが揺らぎます。特に一度だけ最後の最後に名前で呼ばれたその時、かれはもう取り返しのつかないとことに来てしまっていたが彼のことを許し、己の罪を背負ったのではないかと感じました。安らかに眠れは長く時がたっても己の罪を忘れなかった主人公による友人への悼みだと感じました。
      【モルグ街の殺人】
      ごりごりの推理モノで登場人物に鬱屈とした気はあれどどの作品よりもエンタメ性に富んでわくわくする内容、文体dした。さすが初めて探偵小説を生んだだけあると読めて満足感にひたりました。パリの夜の街の様子は本当に自分がパリを歩いているような気持にさせ、二人の掛け合いはとても楽しくよいコンビです一方謎は私は途中まで気が付かずとても面白かったです。謎解きの仕方、解決の仕方どれもほんとうにかっこよくてスマートな紳士、デュパンに恋に落ちてしまいそうでした。
      >> 続きを読む

      2018/07/03 by

      黒猫」のレビュー

    • 評価: 4.0

      掲載作品「黒猫」「本能vs理性-黒い猫について」「アモンティリャードの樽」「告げ口心臓」「邪鬼」「ウィリアム・ウィルソン」「早すぎた埋葬」「モルグ街の殺人」

      いわずもがなの作家、ポーの短編集である。
      ポー自身、在命中は不遇の人生を過ごしたが、後世の文学者に与えた影響は計り知れない。例えば、ラヴ・クラフト、ブラッドベリ、フォークナー、ナボコフ、カポーティ、スティーブン・キングなど。特に推理小説に関しては、その祖とも言われている。

      人間の内面に奥深く隠された恐怖や残虐さなんかを鋭く描き出し、短編なので話がギュッと凝縮され、無駄な部分が全くなく、計算され組み立てられた話が多いので、スラスラと頭に入ってくる。
      長いだけの冗長な文章の不安定さから比べると、ポーの作品は、どっしりとした安定感・安心感がある。
      ポーは同じ作品を何度読んでも、読後の満足感を得られるのである。


      "だが、とにかく恐ろしいのは、埋められる側になることだ。もう迷わずに断言してしまおうか。身体および精神に最高度の苦悩をもたらすものとして、生き埋めほどに条件の整った出来事はない。"-「早すぎた埋葬」より

      本当に生き埋めはすべての恐怖・苦痛の要素が内在している。考えただけでもぞっとする・・・。
      >> 続きを読む

      2017/10/03 by

      黒猫」のレビュー

    • 評価: 5.0

      ポーは一般的にホラー作家と言われている。だから、この本も必然的にホラーだということになるのだけれど、怪奇作品だとは思わない。黒猫が不幸をもたらすわけでもなければ、ドッペルゲンガーが男を追い詰めるわけでもないからだ。怪奇譚なら座興に過ぎない。人間の本質の恐怖を描かれた時にこそ、本当に恐ろしいものとなるのだ。人は決して人から逃れることはできないのだから。

      ……と言っても、彼の優れた点は人間の持つ性質を恐ろしいものとして描いたところではなく、ユーモアセンスにこそあると思う。各作品におかしみというか、どこか滑稽でふざけたところがある。それが作品を読む楽しさをもたらすとともに、恐怖とコントラストをなしていて味わい深いものとなっているのだ。本質的にコナン・ドイルと同じエンタメ作家とでも言うか、気軽に手にとって楽しめる。そういうところにポーの素晴らしさがある。


      【黒猫】
      動物好きの善人である男が酒に溺れ、黒猫や妻に暴力を振るうようになる。
      翌日酒が抜け、我に返ると良心を痛める。
      しかし、やってはいけない事だからこそやらずにはいられない。
      天邪鬼が男を突き動かして暴力衝動は激しさを増し、やがて殺戮に至る。

      善人として生きてきた男が、酒という魔力によって、あっけなく悪徳に身をやつし周囲を不幸たらしめ、人生をめちゃくちゃにしていく。
      「私になついていた猫だから、私に悪さをしなかった猫だから、これで私が罪を犯す事になるから、私は猫を吊るした」(p15)。

      これを酒乱の男の凶行と笑うことができるだろうか?
      この男の理性を破壊したものが、たまたま酒に過ぎなかったのではないだろうか。
      理性を破滅させる変数はこの世にありふれている。
      なんだか腹痛がする、寝不足で頭がガンガンする、太陽がまぶしくてたまらない。
      こんな時、果たして猫を吊らずにいられるだろうか。
      理性への信仰が揺さぶられるホラー作品。

      【アモンティリャードの樽】
      モントレーサは侮辱されたことを怒りに思い、フォルトゥナートを亡き者にする計画を立てる。シェリーの一種であるアモンティリャードを餌に地下墓所に誘い出し、生き埋めにしようとするのだ。通人気取りで「あんなやつアモンティリャードとシェリーの区別もつかん」と言ったり、とにかく早く飲みたいとばかりに「アモンティリャード!」を連発するフォルトゥーナは笑いを誘う。

      二人の間を流れる空気は穏やかだが、モントレーサはフォルトゥナートの体を気遣うふりをしつつ、巧みに地下墓所へ誘導する。
      恐ろしいのは人を殺すほどの悪意を持った人間に、善意しか感じとれないところだ。フォルトゥナートにとってはまったく晴天の霹靂で、鎖に繋がれた時にも思わず「アモンティリャード!」と奇声を発することしかできずにいる。甘美でどこか茶目っ気のあるアモンティリャードのメロディーと冷たい鎖の音をバックに淡々と石が積み上げられていく。シャトー・オー・ブリオンならここまで感性に訴えなかったのではなかろうか。

      【告げ口心臓】
      聴覚に強く働きかけるユーモラスな作品。
      禿鷹のような目が気に入らない。
      鋭敏な聴覚を持つ男は何とはなしに老人を殺す決意を固める。

      男は自分は異常者ではないと語りながら異常行動を取る。
      夜中に老人の元へ七度参りを行うのだ。
      毎晩、音をたてないように慎重にドアを開き、一時間もかけて頭をすっぽり入れる。
      そして、そこから老人をじーっと見つめる。
      「どうだ、もし私が狂人なら、こんな巧妙なことをするわけがなかろう」(p51)。
      なんて、森見登美彦に通じるユーモアを感じて笑えるのだが、同時に狂気をはらんでいて恐ろしくもある。

      音をたててしまい、老人に気づかれる場面の緊張感あふれる描写は秀逸。
      「私は動きを止めたまま、音を立てなかった。たっぷり一時間、身じろぎ一つしない。
      老人が横になる気配もなかった。坐った姿勢で、じっと耳を澄ませているらしい。それなら私と同じだ。
      いままで毎晩、虫が壁に食い入る音だけを、じっと聞いていたのだから。」(p53)。
      その後スピーディーに展開して、タイトルにつながる。
      黒猫ではなく、自身の心臓がたてる激しい音によって告発されるのだ。
      動機らしい動機がないくせに犯行は計画的で、常軌を逸した行動と思考回路の男は本書の中で一番恐ろしい存在だ。それだけに刺激的で面白い。



      【ウィリアム・ウィルソン】
      「そんな程度のことが、いまは忘れてしまった心の魔法によって、血湧き肉躍る荒野にも、波乱に飛んだ世界にも、万感胸に迫る宇宙にも鳴った。つまらぬ鉄の時代が、案外、黄金時代でもあったのだ」(p82)

      自分の名前を嫌う男が、ウィリアム・ウィルソンと偽名を名乗り少年時代を語りだす。
      ある日、彼と同姓同名の転校生がやってくる。
      クラス内で頂点に君臨していたウィリアムは、転校生に一目置きながらも反抗的な態度をとってくることに怒りを覚える。
      水面下で二人の攻防が繰り広げられ、やがて転校生は嫌がらせとしてウィリアムの特徴を模倣し始める……。


      【モルグ街の殺人】
      現代の水準で見るとバカミスといって差し支えない。
      しかし、史上初の探偵小説でありながら、推理小説の骨格を作り上げた偉大な作品だ。
      「不可能犯罪」、「(半)密室」、「奇怪な事件」、「天才探偵と凡人狂言回し」、「観察と推論から結論を導きだす」。
      こういった要素を取り出すといかにホームズが――ひいては後年のミステリーが――この作品の影響を受けたかがわかるだろう。
      広告で犯人をおびきだしたり、「だが異常だから難解だと思い込むのは、よくある重大な失態だ。じつは常軌を逸しているところが理詰めで追う手がかりになって、真相をさぐっていくこともできように」なんてセリフからもホームズが多大な影響を受けていることが窺い知れる。後世の作品にいかに影響を与えたか?これが本作品の真のミステリーかもしれない。
      >> 続きを読む

      2017/04/14 by

      黒猫」のレビュー

    • 評価: 5.0

       「私は、ウィリアム・ウィルソンという名前である。ところが何時のころからか、自分にそっくりで名前までウィリアム・ウィルソンと同名である男が現れた。
       奴は私がし遂げたことを、常に消去するように働く。それが賭博上の如何様(いかさま)であったのなら、奴はその種明かしをして、私の名望を挫くように働く。」

       そして、最後の対決・・・影法師であるウィリアム・ウィルソンは、「さあ、おまえの勝ちだ。おれは負ける。だが、これからは、おまえも死んでいると思うがいい。この世にも、天界にも、希望にも、無縁になったと思え。おれがいたから、おまえも生きた。おれが死ぬところを、ようく見ておけ。この姿でわかるだろう。これがおまえだ。どれだけ己を滅ぼしてしまったか知るがいい」(黒猫/モルグ街の殺人:小川高義訳:光文社古典新訳文庫)

       エドガー・アラン・ポー(Edger Allan Poe:1809-1849:40歳で死亡)は、アメリカの風土が生み出した、型破りな詩人・小説家でした。生前その作品はほとんど評価されませんでしたが、詩の分野では、フランスの詩人・シャルル・ボードレール(Charles Pierre Baudelaire:1821-1867:46歳で死亡)の「フランス象徴詩」の概念形成に大きな影響を与えました。そのほか、今で言う「ミステリー・推理小説」という概念を一般の人が理解できる50年前に遡り、導入して、実作にも反映させていたわけですね。:シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロの大先輩として、名探偵デュパンを創造しています。また、日本のミステリー作家「江戸川乱歩」のペンネームは、まさにポーのフルネームをもじったものでした。「エドガワ・ァ・ランポ」と言った具合ですね。

       この「ウィリアム・ウィルソン」という小説はいわゆる「ドッペルゲンゲル」のお話に分類される作品で、それら作品群中でも、出色な出来あいの小説になっています。
      ドイツ語で「der Doppelgaenger」(aeはaのウムラウトとしておく、変換できないので)と呼び、「生霊、分身、代役、替え玉」などの意味をもちます。(三修社・現代独和辞典より)doppelが「2重である」という意味を表します。ウィリアム・ウィルソンは、自分の分身に会うことに一面の「喜び」を感じたような気がします。

       シューベルト(Schubert:1797-1828:31歳で死亡)は、ハイネ(Heine:1797-1856:59歳で死亡)の詩にインスピレーションを受け、「影法師/ドッペルゲンゲル」という当時、いや今から見ても特異的な作品を作っています。ピアノは、飛び石のように音を点々と刻むだけ、歌唱も唸るように歌われます。聴いたことのない人は、是非お聴きください。歌曲集「白鳥の歌」の第13曲です。

      芥川龍之介(1892-1927:35歳で死亡)も、生前「影法師:ドッペルゲンゲル」を見たことがあると、彼の著作のなかで語っています。

      最後に:ドッペルゲンゲルを見た人は、遠からず「死ぬ」という言伝えも、短い生涯だったシューベルト、芥川龍之介を例と考えれば、無理からぬところでしょう。大体、ドッペルゲンゲルを見るひとは、アラフォーで亡くなる人が多いような気がします。

       そう言えば、ポーには「大鴉:おおがらす」という長詩があり、「never more」(もう二度とない)と不吉な声を響かせるのですが、この詩がボードレールに与えた影響はどれほどあるか、興味深いところです。
       
      また、シューベルトは歌曲集「冬の旅」の中でやはり不吉だけど「私」の周りを離れないカラスに対する「私の」愛情とも言える気持を歌っています。「墓標だけになっても、私への忠誠を誓え」と歌っています。

      なんだか、今日挙げた芸術家たちは、「カラスつながり」のような気がしてきます。(芥川龍之介の出世作「羅生門」にカラスはよく似合います。)カラス好きの芸術家は、短命に終わる・・・?
      >> 続きを読む

      2013/12/03 by

      黒猫」のレビュー

    • >aimi☆さん 
       ・・・でません、でません。だから覚える必要はないでしょう。

      2013/12/04 by iirei

    • >MissTerryさん
       HNからして、ミステリーファンでいらっしゃいますね。私の場合、ミステリー的な立場ではなく、心理現象としての「ドッペルゲンゲル」に関心が高いのです。 >> 続きを読む

      2013/12/04 by iirei


    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    クロネコ
    くろねこ

    黒猫 | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本