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人間の大地 (光文社古典新訳文庫)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: サン=テグジュペリ
定価: 1,058 円
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    「人間の大地 (光文社古典新訳文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      サン=テグジュペリは「星の王子さま」の作者というだけではない。むしろ飛行家の方が彼の本質なのだろう。
      『愛するとは互いに見つめあうことではない。一緒に同じ方向を見つめることだ』
      かの有名なフレーズはこのエッセイの中にあった。
      きらめくような名言があふれている。エッセイだからこその生の声が聞け、彼を身近に感じられる。
      飛行機は目的でなく手段である。空にいて初めて大地を知り、地に暮らす人々の営みが尊いものになる。自然の未知の領分に分け入ることで、より深くより真実の自然を理解することができるのだ。

      職業パイロットにとって空はロマンの対象ではない。気圧、風、雲海、嵐などの圧倒的な力と対面し乗り越えなければ命を失う。当時の飛行機で命を落とす確率は現代のスペースシャトルの危険の比ではない。
      いかにも彼は飛行機乗りだ。何度も事故に合い怪我をしてもまた飛行機に乗らずにはいられない。
      しかし彼は言う。命知らずなのではない。自分は生きるのが好きだと。
      命を軽く扱う者は愚かで許し難いとまで。
      では、空に何があるのだろうか?
      なぜ命をかけて翔び続けなければならないのか?


      【内容】
      序文
      Ⅰ 定期路線
      1926年、ラテコエール社に入社し、駆け出しの飛行士だった頃。
      「目の前には焼きたてのクロワッサンとカフェオレ。これが人生からの朝の贈物だ」

      Ⅱ 僚友
      本当の人間とは?僚友たち、ギヨメの生還の様。
      「人はひとたび事件に巻き込まれてしまえば、もう事件を怖れはしないものだ、と。人を怖れさせるのは正体の分からないものだけだ」
      「人間であるということ、それはとりもなおさず責任を持つということだ。自分のせいではないと思えていた貧困を前に赤面すること、僚友が勝ち取った栄冠を誇りに思うこと、自分に見合った石を積むことで世界の建設に貢献していると感じることだ」

      Ⅲ 飛行機
      「機械が完成したと言えるのは、もはや何も付け足す必要がなくなったときではなく、何も削る必要がなくなったとき」

      Ⅳ 飛行機と惑星
      飛行機がはじめて見せる地球の姿の美しいこと!このセンスはまさにSF
      「星の王子さま」へ真実のテーマにつながっているのがこの章だと思う
      「僕の住まいはこの母なる地球だった」

      Ⅴ オアシス
      アルゼンチンのおとぎ話のような一軒家の思い出。

      Ⅵ 砂漠にて
      サハラ砂漠の魅力とそこで闘う砂漠の民と
      「初めて訪れたときから、僕は砂漠に魅せられていた」
      「これほどすばらしい敵、是が非でも倒さなければならない敵がこの世にいるというのは、思えば贅沢な話だ」
      …テロリストや武装集団の男たちが闘う理由は貧困ではない。いうならば生きがいを求めてのことだ。別の言い方をすれば闘わずしては彼らは暇すぎるのだ。

      Ⅶ 砂漠の中心で
      リビア砂漠に墜落し、死を目前にしながら奇跡的に生還する。遭難の実話は圧倒的な力を持つ。
      「人間は自由なのだと誰もが思い込んでいる。じつは紐で井戸に繋がれているということが分かっていないのだ」
      「もし無事に帰還できたとしても、また同じことを繰り返すだろう。というのも、僕には生きることが必要だからだ」

      Ⅷ 人間たち
      「どんなにささやかな役割であってもかまわない。僕らは自分の役割を自覚して初めて幸せになれる」
      「僕らは自分自身と宇宙を同時に意識しなければならない」
      「無関心などという知恵には、この世のすべてが『ノー』と言うだろう」


      個々人の中に眠る「モーツァルトを虐殺すること」
      彼はそれに怒りを覚えるのだ。
      人間らしく幸せになるために彼は飛ぶことを選んだ。

      「僕らはこの世界に対して連帯して責任を負っているのだ。僕らは皆、同じ惑星によって運ばれていく仲間であり、同じ船の乗組員なのだ」

      詩人の魂と共にSF的視線をもサン=テグジュペリは持っていたと言えよう。


      1939年 「人間の大地」発表 第二次世界大戦で召集
      1940年 アメリカへ亡命
      1943年 「星の王子さま」 発表 北アフリカ戦線の偵察飛行隊に志願
      1944年7月31日 写真偵察のため単機で出撃。地中海上空で行方不明となる
      >> 続きを読む

      2016/03/30 by

      人間の大地 (光文社古典新訳文庫)」のレビュー

    • あの有名なフレーズは、この方の言葉だったんですか!
      知らなかった~。

      『星の王子さま』は読んだ事があったのですが、
      このようなエッセイも書かれていたんですね。
      >> 続きを読む

      2016/03/30 by May

    • Mayさん
      私も今回初めて「星の王子さま」以外の作品を読みました。「星の王子さま」は何度も読んでいるし、翻訳も何通りか読み比べしていたのに。
      実は「星の王子さま」は彼の最後の作品で唯一の童話です。
      44歳でこの世を去るまでの作品年譜は以下の通りです。
      南方郵便機(Courrier Sud、1929年6月)
      夜間飛行(Vol de Nuit、1931年10月)
      人間の土地(Terre des Hommes、1939年3月)
      戦う操縦士(Pilot de Guerre、1942年)
      ある人質への手紙(Lettre à un Otage、1943年)
      星の王子さま(Le Petit Prince、1943年4月)

      「夜間飛行」は特に有名で、フェミニナ賞を受賞しています。
      機会があったらお読みください。
      この本の中にも「星の王子さま」のエッセンスがしっかりありました。
      >> 続きを読む

      2016/03/30 by 月うさぎ


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