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ミサイルマン

平山夢明短編集
3.0 3.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,680 円

『独白するユニバーサル横メルカトル』の衝撃と興奮、よみがえる!日本推理作家協会賞受賞。「このミステリーがすごい!」1位。2006年の読書界を席巻した異形のマエストロ・平山夢明、再臨。凄まじくも美しく屹立する、壮絶な文学的冒険の成果を見よ。

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    「ミサイルマン」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      『独白するユニバーサル横メルカトル』で推理作家協会賞を受賞、さらに「このミステリーがすごい!二〇〇七年版」で第一位となる等、小説界の話題を席巻した異才の第二短編集。
      テレクラで売春する女たちを殺して皮を剥ぐ快楽殺人者たちを主人公にした表題作をはじめ、吸血鬼、食人鬼、人狼がこの最低な世界に跋扈する。 著者の、想像力と、表現の限界に挑み続けた戦いの成果。


      短編七本。
      いずれも強烈にグロく、蠱惑的な個性は、好き嫌いを明瞭に分ける作品群です。

      表題作『ミサイルマン』

      自転車泥棒を通じて相棒になった二人の男は、「最低な女」を殺し続けるシリアルキラー。
      その日もテレクラで拾った女を轢殺、解体、土中に埋めたが、後日、メディアに埋めたはずの女の頭皮が放映され騒然とする。
      埋めた女の呪いか、男の右手は小さな傷口から化膿し巨大に肥大、悪臭をまき散らす。

      ご存じ平山夢明、と銘打ちたくなるほど、平山夢明的な世界です。
      グロすぎる描写は読んでいる読者の身も考えてほしいほど悍ましいものがあります。
      また、生命の証だった“個体”が、死んで腐敗、腐汁化し“水分”もしくは“養分”あるいは“黴菌”になっていく過程は戦慄を覚える禍々しい行程です。
      クソみたいな男二人が、反吐のような女を続々殺していく物語は、やはり狂気じみています。
      ラスト、「ミサイルイマン」を気取った一方の男が自らのぐちゃぐちゃな死を前にカウントダウンするシーンなど圧巻です。
      残酷さと滑稽さと切なさをミックスさせる著者の異才を痛切に感じました。
      こういう感情はなかなか引き出せません。


      『それでもおまえは俺のハニー』

      ろくでなしの男は流れ着いた寂びれた町で、鼓膜を潰した淫売女に拾われる。
      悲しい過去の過ちで幼いわが子を失った淫売は、聞こえない耳でも必ず聞こえてくるはずの息子からの電話を待つために、家中を電話だらけにしていた。
      ろくでなしは益々酒に溺れるが、ある日、ほんとうに電話がかかってくる…。

      寂びれた町を牛耳るボスがお気に入りの淫売と、ろくでなし男の悲しい物語。
      相変わらず表現される言葉は凄まじく汚く、登場人物たちの会話ももはや正気では聞いていられません。
      活字を追うのはもはや拷問に近いものがあります。
      鼓膜を突き抜け聞こえてくる亡き息子からの電話を待ち続けるという設定も、常人では到底考え付かない。
      死者との電話交信は一分あたり三〇年の負担になり、淫売は一気に老婆に変身!それでも男は淫売を愛し続けるという純愛。
      ボスの手下どもとの血みどろの決闘も、平山作品ならではの白眉。

      本作品中、内容を理解でき、面白く読めたのはこの二本です。
      残りの作品は、果たして理解できたのかどうか定かではないため、レビュー不可能でした。

      『独白するユニバーサル横メルカトル』『ダイナー』で大きな賞をゲットした平山夢明氏ですが、二作で読者のハードルを上げてしまった感があります。
      もともと、何か意味のある作品を書こうとしている作者ではないので、気軽にスプラッタで耽美的な世界に浸りたい一部読者の支持さえあれば、本人としてはそれでいいのだと思います(本当かどうかわかりませんが、比較的、露出の多い平山氏の言動からは、そういう風に感じ取れます)。

      見るからに恐ろしげな装丁は、ポーランドの画家ズジスワフ・ベクシンスキーの作品から。
      調べてみると、この存命中の画家は他にも多数、退廃的で、世紀末的な恐怖芸術で一部熱狂的なファンを有する、世界的に著名な方だそうです。
      平山作品の読む者の心を鷲掴みにする狂気と相まって、素晴らしく相応しく、美しい表紙に感服しました。
      >> 続きを読む

      2014/09/25 by

      ミサイルマン」のレビュー

    • 表紙からすでに恐ろしいですね…!
      あらすじからも独特な雰囲気が感じ取れます!

      2014/09/25 by nekkoko

    • >nekkokoさん

      いつもコメント、ありがとうございます。

      表紙のベクシンスキーの作品は、どれもものすごい迫力で夜眠れなくなりそうな画集をだしています。

      また、本作自体ですが、宮部みゆき女史が「不用意に読んでしまって」しばらく立ち直れなくなってしまった…というエピソードを持つ驚愕本です。
      >> 続きを読む

      2014/09/26 by 課長代理


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