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嫌われ松子の一生

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,680 円

三十年前、松子二十四歳。教職を追われ、故郷から失踪した夏。その時から最期まで転落し続けた彼女が求めたものとは?一人の女性の生涯を通して炙り出される愛と人生の光と影。気鋭作家が書き下ろす、感動ミステリ巨編。

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    • 評価: 5.0


      山田宗樹の「嫌われ松子の一生」を読み終えて、しばらく、人の不運ということについて考えさせられました。

      松子の不運とは、果たしてどのようなものであったかということを-------。

      東京で大学に通う川尻笙は、ある日突然、骨壺を抱えた父の訪問を受ける。
      その骨は、今まで聞いたこともない川尻松子という伯母のものであり、松子は北千住のアパートで殺され、遺体となって発見されたというのだ。

      父から部屋の後始末を頼まれた笙は、一族から封印された彼女の生涯に興味を抱くのだった。
      地元の九州で中学校の教師をしていたはずの松子は、なぜ失踪し、三十有余年を経た今、東京のアパートで変死体となって発見されなくてはならなかったのか?

      松子自身の独白とその一生を追う笙。現在と過去の二つの物語が交錯し、やがて、ひとりの女の哀しくも凄まじい一生が浮かび上がってくるんですね。

      この作品の中で、特に印象的な場面があって、松子が郷里を出奔するきっかけとなった修学旅行先での現金盗難事件のくだりだ。

      容疑者と目される教え子をかばって松子は、その穴埋めに同僚教師の金を無断で借りてしまうのだ。
      そして、それが更なる誤解を生み、返済に窮した松子は宿泊先で、父親から譲られた旅行鞄をひっくり返す。

      もしかしたら、どこかにお金が紛れ込んでいないか。父が昔、もしもの時のために潜ませておいた札はないか。

      紛れ込んでいるはずの幸福、潜んでいるはずの何か。
      そこに人生の出口を探りあてようとする松子の姿は、その後の彼女のすべてを物語っているようで、実に悲しい。

      もちろん、幸福とは誰かが、そっと忍ばせてくれているものではない。
      凄絶な人生の果て、やっとそれに気づいた時、今度こそ紛れもない不運の前に、彼女は絶命する。

      私たちは、現実の中でしばしば、おのれの不運を嘆いたりしている。
      けれども、実はそれもまた、自身が招き選び取った人生そのものではないのか。

      松子という女の生涯が、私に突きつけるのは、不運という言葉で自身の未熟から目を背けた時、人は自分自身を失うのだという痛みに他ならない。

      著者の山田宗樹の目は、徹底して松子に厳しく、それ故、最後の一行が温かい。

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      2018/09/16 by

      嫌われ松子の一生」のレビュー


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