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夜また夜の深い夜

4.2 4.2 (レビュー4件)
著者: 桐野 夏生
定価: 1,620 円
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    「夜また夜の深い夜」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      謎が謎を呼び、冒険やアドベンチャーもあって、一気に読んじゃいました。
      桐野さんのこういう作風っていうのはキワモノな内容と紙一重な気もするんだけど、好きですこういうの。

      (Amazon解説)
      どんな罪を犯したのか。本当の名前は何なのか。整形を繰り返し隠れ暮らす母の秘密を知りたい。
      顔を変え続ける母とアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前にイタリア・ナポリのスラムに住み着いた。国籍もIDもなく、父親の名前も、自分のルーツも、わからない。母と口論し外に飛び出すと、「MANGA CAFE」と書かれた。チラシを手にする男に呼び止められた。絶対に本当の名前を教えてはいけないという母のOKITEを初めて破って、私は「マイコ」と答えた。
      私は何者 ? 私の居場所は、どこかにあるの?
      魂の疾走を描き切った、苛烈な現代サバイバル小説!
      >> 続きを読む

      2018/09/03 by

      夜また夜の深い夜」のレビュー

    • 評価: 3.0

      どんな罪を犯したのか、本当の名前は何なのか。
      整形を繰り返しながら、隠れ暮らす母の秘密を知りたい。

      顔を変え続ける母と、アジアやヨーロッパの都市を転々とし、4年前にイタリア・ナポリのスラムに住み着いた。
      国籍もIDもなく、父親の名前も、自分のルーツも、わからない。
      母と口論し外に飛び出すと、「MANGA CAFE」と書かれたチラシを手にする男に呼び止められた。
      絶対に、本当の名前を人に教えてはいけないという母のOKITE(掟)を初めて破って、私は「マイコ」と答えた。

      魂の疾走を描き切った、苛烈な現代サバイバル小説。

      幻冬舎さんの文芸誌『GINGER L,(ジンジャーエール)』1号から14号にわたって連載されていたものをまとめた長編です。
      魅力たっぷりでつい手に取ってみたくなるタイトルは、スペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカという方の『スペイン警備隊のロマンセ』という詩の一節から引用したものらしいです。
      また、表紙と背表紙の雰囲気のある装画は、日本人画家の羽鳥好美さんという方の作品。
      個人的な好みですが、こうルックスがいい本は、それだけでおさめられている物語に加点したくなってきます。
      背景のブルーが黒と、グレーも混ぜた複雑な色調。
      白抜きで、名文句のタイトルを真ん中に配置するセンス。
      どれをとっても、イタリア・ナポリの裏店を舞台にした、陰影の濃い物語を象徴しているようで、とても感心させられました。

      ナポリのスラム街に母親と暮らす舞子には何もありませんでした。
      ロンドンに暮らしていた頃、小学校に通っていただけで、教養や知識は母から教えられたものばかり。
      国籍はないけれど、舞子は、母の言語と、自らの容姿から、どうやら自分も日本人らしいと推測します。
      暮らしはいつも貧乏で、粗末な食事と、足の踏み場もない薄汚れた住まいだけは、どの街へいっても変わりませんでした。
      なぜか整形を繰り返す母は、すでに原型を思い出せないほど変わってしまった顔で、しかし声はかつての母のまま。
      幼い頃から、何かから逃げるように流浪の旅を続けてきた母娘でした。
      プライベートなんて望むべくもない狭苦しく路地から丸見えの自宅と、アルバイト先の古い菓子店を往復するだけの毎日は、19歳に成長した舞子には、とても我慢できるものではありませんでした。
      ある帰り道、手渡されたマンガ喫茶オープンのチラシ。
      日本の“マンガ”という新しい世界に触れた舞子の心は、ついに外へ外へと開き始め、何とかそんな舞子を押し込めようともがく母親の制止などいともたやすく振り切って、舞子はナポリの街へ飛び出します。
      たったひとりの世界。
      想像もできなかった解放感に歓びを感じる一方で、舞子を、奇妙な家族関係ではありましたが、たしかだった母の庇護から飛び出してしまった不安感が襲います。
      夜、暗く湿った路地裏。
      悄然と立ち尽くす舞子に声をかけてきたのは、同世代の女性ふたり。
      モデル並みの容姿で、褐色の肌、ドレッドヘアのエリス。
      黒髪の白人、肉感的で愛敬ある顔立ちのアナ。
      ふたりとも身寄りもなく、母国をやむなく捨ててイタリアに密入国してきた境遇の持ち主でした。
      たちまち意気投合する三人の女の子たち。
      その日暮しの浮草のような生活でしたが、三人の暮らしは間違いなく輝いていて、湿った裏店が並び、路上の生ゴミが腐臭を放つダウンタウンの風情とは対を為しているようでした。
      「三人一緒なら、この残酷な世界を、何とか生きていけそうな気がした」
      舞子は、まだ見ぬ母国の、憧れの女性に宛てて、日々の暮らしを綴りました。
      根無し草だけど、懸命に生きた、友情と自分探しの旅を綴りました。

      出版社がうたうキャッチコピーの“苛烈な現代サバイバル小説”は、ちょっと余計、というか意味不明で、作品の価値を貶めています。
      三人それぞれの境遇は、たしかに日本人の僕らには想像もできないほど悲惨な出自で、そのことが作中で語られるわけですが、それをもってサバイバル小説などと評するのは、著者の書きたかった思惑と乖離しすぎているような気がしました。
      桐野さんが書きたかったのは、現代の暗部もそうでしょうがそれよりも、どんな境遇でも生ききる女性たちの強さやしたたかさ、底抜けの明るさだったように思います。
      男たちは思想、宗教や、権力にもたれかからないと生きていけない。
      女たちは逞しく、どんな環境に順応して生きてゆきます。
      ましてや似たものどうしが三人も集まれば、何をか言わんやです。
      “ゴキブリ”や“レイプ”というおぞましい単語が頻出するのは、三人の置かれた境遇の苛烈さを強調したいがためのテクニックだと感じました。
      境遇のみならず、どこまでも男性(力)中心のくだらない社会構造、現代社会を揶揄したものとしても効果があったものと思います。

      ベストセラー作家らしく読みやすい文章、独特の妖しい雰囲気に、あっという間に読み終えてしまった力作です。
      難を言わせていただければ、まだまだ書けたと思われる完成度です。
      余計な贅肉はまったく感じられませんが、このぽっかりとした空疎は、あと少しで踏みこめたはずの領域の手前で物語が終わってしまったことへの残念な気持ち。
      ただ、これも読んだ方それぞれ感じ方がちがうかも。
      そういう意味では、定型的なエンタメとくくってしまうにはもったいないような出来の作品ではあります。
      >> 続きを読む

      2015/06/30 by

      夜また夜の深い夜」のレビュー

    • この本の表紙を画像で見ると、いつもタイトルが「かまいたちの夜」に読めてしまいます。よく見ると全くそんなこと書いてないのですけれどね。
      桐野さんの本って、途中まで面白いのに尻窄みになっているものやラストが妙な感じになっているものとか時々ありませんか。「OUT」とか「柔らかな頬」とか。
      この本も女性がいびつになっていそうですね。
      >> 続きを読む

      2015/07/02 by jhm

    • jhmさん
      いつも、コメントありがとうございます。
      「かまいたちの夜」ってゲーム、ありましたもんね。そういわれればそうですね。
      「OUT」とか「柔らかな頬」はとかは、あの妙な感じでよかったんだとおもうんです。「東京島」とか「だから荒野」あたりが、連載の関係なのか尻つぼみって印象はありました。でも、おっしゃりたいことは、何となくわかります。
      元来、女性は歪だと思うんですね。
      そこを無理にこねていないので、桐野さんの描く女性はスッと入ってくる。
      ここでパニくる、ここで現実逃避する、ここで開き直る…あるある、そうそう。
      >> 続きを読む

      2015/07/02 by 課長代理

    • 評価: 5.0

      わたしとほとんど歳の変わらない女の子たち、舞子、エリス、アナ。
      わたしは彼女たちのことを忘れたくないと思った。

      毎晩、少しずつ読み進めたこの物語。
      舞子の奇妙で窮屈さに満ちた生活、エリスの余りに恐ろしく惨い経験、アナの孤独でだけど優しい心。

      そして、とても強くたくましく優しい彼女たちは、魅力的でとても素敵だった。 >> 続きを読む

      2015/03/14 by

      夜また夜の深い夜」のレビュー

    • 設定が面白そうですね。
      桐野さんの暗い話から少し離れていましたが、もともと好きなので読んでみたいです。
      前に「リアルワールド」という高校生を主人公にした作品を読みましたが、若い女性の心理を描く力は素晴らしいと思いました。
      >> 続きを読む

      2015/03/14 by 空耳よ

    • 空耳よさん
      わたし、桐野さんを読んだのは初めてだったんですけど、とても面白くて引き込まれましたし、これからもっといろんな作品を読んでみたいと思いました。

      本当に、、、心理描写がとてもいいですよね。
      だからこそ読んでいて引き込まれるんでしょうね。
      >> 続きを読む

      2015/03/15 by halu

    • 評価: 5.0

      読み終えてから、自分なりに考えたくなるお話でした。
      自分の力で生き抜くことを改めて感じました。
      舞子は、国籍もIDもない自分から、どんどん強く大人になっていく。どんな状況にあっても自分を強くもつことが大切、舞子やエリスやアナのように。
      支え、守られながら、自分の力で生き抜くこと。
      夜また夜の深い夜に読了。

      2014/11/19 by

      夜また夜の深い夜」のレビュー

    • あらすじとともに、レビューを拝見しましたが、随分壮大な設定のようですね。

      正直、内容を想像しきれておりませんが、とても読んでみたくなりました♪ >> 続きを読む

      2014/11/19 by ice

    • 桐野さんのファンでしたが「東京島」がグロテスクだったので、読むのを止めました。
      も、これは読んでみようかなと思いました。メモします(^^) >> 続きを読む

      2014/11/19 by 空耳よ


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