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こっちへお入り

4.0 4.0 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,680 円

吉田江利、三十三歳独身OL。ちょっと荒んだアラサー女の心を癒してくれたのは往年の噺家たちだった。ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく江利。忘れかけていた他者への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していく。落語は人間の本質を描くゆえに奥深い。まさに人生の指南書だ!涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語。

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    「こっちへお入り」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      【落語の魅力に溢れた一冊ですが、逆に落語の面白さに喰われてしまったかもしれません】
       主人公の吉田江利は30代の独身OL。
       今日も今日とて出来の悪い後輩社員に腹を立て、身勝手な取引先の理不尽な愚痴に振り回され、もうストレスMAX状態です。
       恋人らしい恋人がいるわけでもなく、何かに打ち込めるものがあるわけでもなし。
       良いんだ、良いんだ、私は社会で一人健気に努力してたくましく生きていくんだと諦め気味に日々を送っていました。

       そんな時、親友の友美に拝み倒され、貴重な土曜の夜だというのに(と言っても何か約束があるわけじゃないけれど……)、友美の発表会を見に行くハメになりました。
       何の発表会か?と言えば、これが落語なんです。
       友美は、どういう風の吹き回しか、地域のカルチャーセンターなんぞという所で落語を教えてもらっているそうで、発表会に来てくれる観客が少ないので何とか是非来て欲しいというのです。

       『女ばかりの落語会 笑って元気になりまショー』という発表会の名前も痛ければ、友美が自分でつけたという高座名の『ラブ亭ミー坊』というのも痛々しい。
       まばらな観客に混じって友美の高座を見ているのですが、「せっかく笑ってやろうと待ちかまえているのにちっとも笑えないじゃないの。」と胸の内でつぶやく江利なのでした。
       素人だと言っても他の出演者の中には素直に笑える人もいるのだから、「やっぱり友美、下手なのよね。」と思いながら。

       そんな江利がひょんなことから自分も落語をやってみる気になり、友美と同じカルチャースクールに入会し、どんどん落語の面白さ、奥深さに目覚めていくという物語です。
       そして、その過程で、友美の実るはずのない恋と失恋話、江利の実家が経営しているガソリンスタンドの後継者問題や相続問題なども織り込みつつ話は進んでいきます。

       私は、落語は嫌いではないのですが、自分から積極的に聞いたり見たりするまでのことはなく、作中に登場する『寿限無』や『芝浜』という落語もTVで見たことがあるという程度の者なんですが、本書が語るところの、噺家によって同じ噺でも演出が全く違うこと、それぞれの魅力などについては大変興味深く、また面白く読ませていただきました。
       大変手慣れた書きぶりで、安心して楽しめる作品ではないでしょうか。

       江利が落語に引き込まれていく様子、落語の魅力についてはよく描かれており、これまで肩肘張ってストレスにまみれていた江利が、落語の魅力を知ることによって一皮剥けて成長していく物語としてまとめられていると思いますが、実は、作中で「いいな」と感じたのは、そんな作中人物の心情や行動よりも、紹介されている落語の内容の方なのでした。

       まぁ、落語は長い時間をかけて磨き上げられてきた完成した内容を持っているものなのですから、その出来が良いこと、内容が秀逸であることはこれはもう致し方がないところなのですが、そちらの魅力の方が大きいため、作者が書いている物語が喰われてしまっているというか、落語ってこんなに面白いものなのですよという紹介の方がメインになってしまっているように感じられてしまいました。
       登場人物を通じて落語の魅力を語った一作と捉えればそれもありだろうと、もちろん思うのですが、せっかくの登場人物が落語の紹介役になってしまい、登場人物達自身の物語が十分掘り下げられなかったところは残念に感じました。
      >> 続きを読む

      2019/12/03 by

      こっちへお入り」のレビュー

    • 評価: 5.0

      主人公の吉田江利 33歳 独身 OL.。友人の友美が、自治体が運営する女性センターの生涯学習 落語教室に通い始め発表会に出るというので会場に見に行った。「落語なんて・・」と思っていた江利だったが、始めたばかりで下手くそなのに、演じきった興奮状態の友美を見て、30歳を過ぎて最近、鬱々としていた江利は、ある意味羨ましく思った。「わたしには、とてもできないなぁ。」と思ったいたら「できますよ。」とあっさり講師にいわれてしまい半信半疑のまま、「じゃ、ちょっと」と落語講座に通う事になった。この出会いが、30歳を過ぎて何となく鬱々としていた生活を一変させていくとは その時は思わなかった。 >> 続きを読む

      2014/07/19 by

      こっちへお入り」のレビュー

    • >30歳を過ぎて何となく鬱々としていた生活を一変させていく
      私も何か新しいことを始めてみたくなりました! >> 続きを読む

      2014/07/19 by マカロニ

    • そろそろ仕事以外で没頭できて、ずっと続けられるものが欲しいなぁと思い始めたので何となくピンと来ます。 >> 続きを読む

      2014/07/20 by ice

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      著者: 平安寿子

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      • 評価: 3.0

        三十三才の独身OLが、ひょんなことから素人落語の勉強会に入り、
        どんどん落語の世界にのめり込んでいく。

        帯には「落語は、不器用なオトナのための指南書だ」
        と書いてあるが、
        噺の筋と、実際の生活テが重なりあう。人間のいきざま、本質が描かれる。

        でてくる演目は、「寿限無」、「たらちね」、「皿屋敷」、「饅頭こわい」、「三方一両損」
        「船徳」、「明烏」、「金明竹」、「初天神」、「大工調べ」、「代書屋」、「粗忽の釘」、「宿替え」
        「「悋気の火の玉」、「品川心中」、「お直し」、「厩火事」、「替り目」、「三年目」、「天狗裁き」
        「湯屋番」、「富久」、「文七元結」、「崇徳院」、「「天災」、「猫の災難」、「佃祭」、「三枚起請」
        「転失気」、「片棒」、「壺算」「芝浜」、・・・なんて多くの噺が出てくるでしょうか。

        これに、まつわる演じ方、解釈が勉強会の面々があれやこれやと論じあう。

        極めつきは、最後の「芝浜」、志ん朝、小三治、そしてさん喬さんの三人の「芝浜」を語る。

        特に、女房の分析はこと細かで、
        「お前さん、起きとくれよ」と揺り起こす第一声から、さん喬さんは遠慮がちだ、と。
        さん喬さんの女房は、亭主の勝五郎にすがって生きている自分を意識している。
        「わたしは昔っから、大晦日が大嫌いだった。大晦日になると借金取りが来て、
        お父っつあんとおっ母さんが泣きながら頭ぺこぺこ、ぺこぺこ下げて謝るんだ。
        だから、大嫌いだった・・・・・・・。」しっかり者の女房ではなく、亭主に寄り添って生きている。

        こんな、男の噺である「芝浜」を、女房の心の葛藤から細やかに描いている。
        二年連続で年末に聴いたさん喬さんの「芝浜」の女房の声がよみがえる。

        でも、この本を読んでると、主人公がいう、日頃の自分まで変えてしまうなどと、
        落語を演る楽しさが伝わってくる。

        まあ、聴くだけではなく、演る方に来なさいよ「こっちへお入り」と云われているようでおますな。
        >> 続きを読む

        2013/06/20 by

        こっちへお入り」のレビュー

      • Iceさんご存知なんですね、ケイコ先生は、今や春野恵子として大活躍。舞台は、色っぽくもあり凜としていますが、普段は天然ボケの雰囲気も。
        私は落語だけではなく、もう一人の菊地まどかと共に、女流浪曲師にもはまっています。
        >> 続きを読む

        2013/06/21 by ごまめ

      • 落語家のようにうまく話せるようになりたいなぁたまに思います笑

        2013/06/21 by yope


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