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ラピスラズリ

4.7 4.7 (レビュー4件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 798 円

冬のあいだ眠り続ける宿命を持つ“冬眠者”たち。ある冬の日、一人眠りから覚めてしまった少女が出会ったのは、「定め」を忘れたゴーストで―『閑日』/秋、冬眠者の冬の館の棟開きの日。人形を届けにきた荷運びと使用人、冬眠者、ゴーストが絡み合い、引き起こされた騒動の顛末―『竃の秋』/イメージが紡ぐ、冬眠者と人形と、春の目覚めの物語。不世出の幻想小説家が、20年の沈黙を破り発表した連作長篇小説。

いいね! asaki

    「ラピスラズリ」 の読書レビュー (人気順)

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    • 評価: 4.0

      幻想小説にはまっていた時、遅まきながら著者を知りました。なんでも寡作ながら(本書は約20年ぶりの作品らしい!)一部では熱狂的なファンがいらっしゃるとの事で、手を伸ばしたのがきっかけでした。

      冬の間は時間を止めて眠ることを宿命づけられた「冬眠者」たちと、「定め」を忘れて徘徊する「ゴースト」、秋になり冬眠の準備に忙しい「冬眠者」に仕える使用人たちと人形を届けに来た荷運び人、聖人などを交えながら、現代らしい時代から中世のヨーロッパを背景に死と再生、宿命のループを描く物語。

      ・・とあらすじを書いていて自分でもなんのこっちゃ?と思うのですが(笑)、ストーリーは正直難解で、ましてや登場人物や時間軸が頻繁に入れ替わる。なので、おそらく物語が構築されていくのを追うというよりは、画集を1ページ1ページめくるようにイメージで捉えるタイプの小説かも。

      文章の美しさはやはり特筆すべきだなーと思います。まさにタイトル通り、硬質でひんやりとした冷たさを備えつつ、きらきら光る鉱物のような印象を受けます。

      万人受けはしないと思いますが、もしこの世界観にはまれれば、極上の贅沢な読書時間が持てるのでは・・と思います
      >> 続きを読む

      2015/08/07 by

      ラピスラズリ」のレビュー

    • > ラピスラズリ

      昔、「手に入れるだけで幸福が訪れる」的に青年誌に広告が出てましたねぇ... >> 続きを読む

      2015/08/08 by ice

    • jhmさん、
      幻想系の小説がお好きならぜひー

      iceさん、
      そのツッコミをいただけるとは(笑)ありましたね~。少年漫画雑誌なんかでもよく見かけた気がします(笑)
      >> 続きを読む

      2015/08/10 by ao-ao

    • 評価: 5.0

      『ラピスラズリ』(山尾悠子)<ちくま文庫> 読了。

      研ぎ澄まされた言葉の数々。
      寡作だとは聞いていたが、一つ一つの言葉をこれほど磨き上げているのであれば、寡作であるのは無理からぬ事だろう。

      冒頭は次の一文から始まる。
      ----------
      「画題(タイトル)をお知りになりたくはありませんか」
      ----------
      いきなりこのような会話文(問いかけ)から始める作家はいくらでもいるので、最初の八行は飛ばしてしまおう。
      その次のパラグラフは次のような文章から始まる。
      ----------
      そもそも深夜営業の画廊などに入っていった理由さえ思い出せないのだったが、たぶん理由などなかったのだろう。列車の到着を待つ時間潰しの所在なさも手伝ってか、声をかけられるまでわたしはじぶんでも気づかないままずいぶんと時間をかけて一枚ずつを眺めていたようだった。
      ----------
      たったこれだけの文章だが、ずいぶんたくさんの情報が含まれている。
      ○ 深夜に営業しているという特殊な画廊が存在する街にいる。
      ○ 「理由さえ思い出せない」くらいなのだから、語り手は普段から画廊に出入りするような人物だろう。
      ○ 時制から過去の出来事を思い出しながら語っている。
      ○ 深夜に列車を待つのだから、かなり遠くへ、それも急な出立だったのだろう。
      ○ 一枚ずつを時間をかけて眺めていながら「ようだった」とまるで他人事のように語られている。
      丁寧に調べていけば、まだまだ情報が含まれているかもしれない。
      たったの二文にこれだけの情報を詰め込んでいるのだから、一冊を読み上げるまでどれほど神経をすり減らされるのかまるで想像できない。
      一つ一つをしっかりと理解しながら読まないと今自分がどこにいるのかをすぐ見失ってしまうのは宮下奈都の比でははい。
      そして言葉を選ぶその神経の細やかさは、先に現れる「なかなかよく考えた巧妙なやりかただ」といった普通ならなんでもない言葉が、陳腐で不用意なつまらない言葉に感じてしまうくらいだ。

      また、これらの謎を含んだ情報が読み進める中で明らかになっていくと思ってはいけない。
      読めば読むほど混沌の度を増して、深夜営業の画廊の夢の中に取り込まれていくような思いをする。

      言葉だけではない。
      この作品を構成する「銅版」「閑日」「竈の秋」「トビアス」「青金石」という五つの中短編がどのようにつながっているのかがよくわからない。
      各編がつながっていることは共通して現れる物事や事象から明らかなのだが、具体的にどういうことだったのかはついに明らかにされることはない。

      先に「深夜営業の画廊の夢」と書いたが、全体が山尾悠子の夢の中にいるような印象を受ける。
      理詰めで理解する作品ではなく、詩のように読者がそれぞれに感じ取る作品なのだろうと思う。

      言葉を磨き上げる技工の跡がありありと見えてしまうのがやや残念ではあるが、魅力的な作家であることは間違いない。
      これからもこの作家の作品は読んでいこうと思う。
      >> 続きを読む

      2019/02/11 by

      ラピスラズリ」のレビュー

    • 評価: 評価なし

      「これは古びた竃の石が囁く秋の枯れ葉のものがたり。」

       三枚の銅版画から始まるものがたり。
      そこに描かれているものは何か?枯れ葉がうずたかく積み上げられた庭。
      冬の寝室。そして、常緑樹の幾何学庭園の老人と若者。

       それぞれの物語は、この銅版画の世界をなぞるようであり、時系列はかなり分散されており、決してすらすらと流れが頭に入ってくる物語ではありません。

       どうも、大きな館で、支配者層たちは冬は「冬寝室」で冬眠するらしい。
      その準備に追われる使用人たち。闊歩するゴースト。眠りー死を暗示するような痘瘡病の影。

       冬眠する者は支配者層であり、冬の間は呼吸も止まり、成長も止まる。幼い体力のない子どもは春になっても目覚めないかもしれない恐怖の冬眠。

       しかし、描かれるのは、その準備にうんざりしている使用人たち。
      そして、じわじわと流行っていく痘瘡病。
      冬眠の時に必ず、かたわらに人形を置いて寝る姿。
      そんなものが、コラージュのように描かれていきます。

       眠るということは一時的に死ぬことだ、と誰かが言っていたのですが、霜月の物語では、だんだん、眠くなって寝室にこもろうとする高貴な身分の人たちがでてくる。
      使用人たちは、大わらわ。いがみあい、ののしりあい、忙しく働く中で「ぐっすりと死んだように眠る」とはなんと贅沢なことか。

       この冬眠する支配者層と使用人たち、そして使用人たちの反乱。病の影。
      これはアメリカの独立運動から、当時、絶対王政だったフランスにフランス革命が起きたことを思います。
      王侯貴族は贅沢の限りをつくし、民は貧しさと飢えに苦しむ。そんな上下関係がひっくりかえされたのが革命。

       しかし、この物語のタイトルは「ラピスラズリ」(青金石)
      深い青の物語なのですが、青は出てこず、秋の枯れ葉といった茶色や冬の到来を示す白、または、使用人たちが汚れているような灰色の世界がほとんどをしめています。

       しかし、最後になるとラピスラズリのことが、ふと、わかるのです。
      生命を止めた冬が終わって、春の空はラピスラズリのように青い。その青を見ることが出来るのは誰か。冬をむかえるもの、冬を眠って過ごすもの、冬を堪え忍ぶもの・・・そして冬を祝うということを知った人びとが見る事のできる春の空の色、ラピスラズリ。

       そして聖母の青、ラピスラズリ。冬寝室で冬眠する館の人びとは、中世ヨーロッパのようでありながら、宗教色が一切ありません。
      しかし、最後に聖母マリアが必ず身につける色、青が水面に石を投げ入れたように広がる。眠るということを呪術的、幻想的に描き、そして秋から冬へそして春が来る予感と余韻を描いた物語。
      >> 続きを読む

      2018/05/27 by

      ラピスラズリ」のレビュー

    • 評価: 5.0

      いきつけの古本屋店主から薦められた一冊。柴田元幸さんとか、吉田篤弘さんみたいな、幻想的な本が欲しいと言うと、すぐに選んでくれた。綺麗な言葉、霧雨の向こうを透かして見るようなじんわりと歪んだ世界。正に好みだ。
      ちなみにその古書店主さんは、商売っ気のあまりない人で、千円以上の本を薦める時に申し訳なさそうにする。逆に、絶版になってる本が入ったらあっという間に安く売ってくれる。京都に来た時一度どうぞ。店名は一応伏せる。お聞きになりたい方は木戸まで。

      2016/05/20 by

      ラピスラズリ」のレビュー

    • コメントありがとうございます。京都は良い古書店が多いです。
      ちなみに件の古書店主さんは、ゴッホみたいに気難しそうな顔をしていますが、本のこととなるとサンタクロースより優しいです。そして私は外交的な人間ではないのですが、本がクッションになって会話が生まれます。是非話してみるべきだと思います。
      追伸、月うさぎさんのレビューは大変参考になります。今順に読んでます。
      >> 続きを読む

      2016/05/20 by kido

    • フォローありがとうございます。私にしてもKidoさんの本のチョイスにも心惹かれるものが多そうなので、レビュー楽しみにしていますね。
      ラピスラズリというとなんだか魔法の言葉のようなイメージがあります。
      昔六本木にラピスラズリって名前の文具・雑貨店があったんですよ。
      ネーミングセンスにとても感動していたんだけれどなくなっちゃいました。
      >> 続きを読む

      2016/05/20 by 月うさぎ


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