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アンジャーネ

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 吉永 南央
定価: 1,836 円
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    「アンジャーネ」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      吉永南央の「アンジャーネ」は、妙に心に残る小説だ。

      主人公の瑞輝は、司法試験に失敗した二十五歳の青年で、死の床に就く祖母が営んでいた外国人向けの安アパートの大家を任される。

      この連作短篇集に収録されている七話は、いずれも彼が、アパートの住民のトラブルを解決するものだ。

      青年を主人公とする小説は、多くの場合、文体がソフトである場合が多い。
      それは、なぜかと言えば、主人公の若く柔軟な感受性と文体を直結させて、青年のナイーヴな感受性をほぼ恒常的に表現するからだ。

      また、ミステリ的なサプライズを狙った場合を除き、主人公と仲間は原則として善人揃いで、悪人は専ら敵に集中する。
      正邪の別がはっきりしているんですね。
      しかし、この本は趣きがやや違っている。

      連作を通して、主人公の瑞輝は成長し、その限りにおいてこの本は青春小説なのだが、文体は硬質だし、事件の内容は貧しい外国人住民のリアルを直視するものだ。

      相当シリアスな状況や、苦い結末も用意されている。
      覚悟を持って異国の地で生きることを選択した人々は、事と次第によっては汚い手を使うことも厭わない。

      瑞輝が事件を通して垣間見る、住民のシビアな現実は、青春小説によくある「主人公の仲間は正義か無実」という単純な図式を拒否し、たとえ事件を解決できても、事態の根本的な収束には失敗することがある。
      しかし、だからこそ、瑞輝は本当に成長するのだと思う。

      愛、友情、信頼や信念を語り、主人公が熱血漢に成長する作品を書くことは、ある意味、容易なことで、リアルで過酷な現実を描くと同時に、過剰な性悪説に走らない、落ち着いて抑制の効いた青春小説を書くのは難しいことだと思う。

      そういう意味で、この「アンジャーネ」は、その困難を克服した作品であり、素直に賞賛したいと思いますね。

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      2019/01/20 by

      アンジャーネ」のレビュー


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