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三幕の悲劇

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: アガサ・クリスティ
カテゴリー: 小説、物語
定価: 588 円
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    「三幕の悲劇」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      演劇スタイルを気取った3幕構成というアイディアと、驚愕の殺人動機!が特徴のミステリー。

      引退した正統派二枚目俳優のホームパーティーで、カクテルを飲んだ牧師が急死を遂げた。
      殺人ではありえないと、同席したポアロは判断するが、主人のチャールズは殺人事件を主張する。
      果たして本当に第2の殺人が行われたのだ!


      「三幕の悲劇(Murder in Three Acts)」は「三幕の殺人(Three Act Tragedy)」の別バージョン。
      実は本作は本国英国よりも先にアメリカで発表されました。
      タイトルが違ったり、記述内容に異なる点があるのはよくある話。
      でも、これは、『殺人の動機』という重要部分が全く異なるという、
      完全なる別バージョンなんですよ!
      その噂を聞いたので両方を読み比べてみました。

      中年俳優に恋する娘・エッグとのラブ・ロマンスの描き方に大きな違いが見られます。
      ラストも全く異なる展開です。ここまで別の話というのは予想外でした。

      理由はおそらく英国と米国の法律の差があります。
      英国に当時あった(らしい)法律では、
      「精神病の配偶者を離婚することはできない」のでした。
      ですから、愛する女性と結婚したければ、それを隠して重婚するか、
      さもなければ配偶者に死んでもらわなければなりません。

      当の法律がないアメリカでは、「本人が精神病」で世間から隔離されるという恐怖を狂気が殺人動機に高めたとしています。


      どう考えてもドラマチックなのは英国バージョンだと私は思うのですが…。


      翻訳の違いについても触れておきましょう。
      今回、ハヤカワの新訳の長野きよみ訳と読み比べてみました。

      西脇訳は、ストーリーを追うのはとても楽。
      話がすっきり頭に入ります。男性向きだと思います。

      欠点はポアロのキャラがあまり熟慮されていない点(むしろ悪意を感じるんですが)と、
      英語の解釈の間違いがいろいろあるように思われました。
      言葉使いの微妙な点も含めれば、長野訳はより原文の意図を反映した良訳。
      西脇訳は自己流。というところでしょう。


      翻訳の点でどうしても気になった部分をあげておきます。

      Wouldn't be best pleased at taht,either.The fellow is the most conceited little devil I ever met.
      Rum little beggar, Rather a celebrated beggar,though.

      知ったら怒るだろうな。とにかく自惚れの強い男だから。
      変な小男ですよ。とても有名な小男です。(長野訳)

      どっちみちたいしてうれしがらない奴なんだ。
      僕が今まであった中じゃもっともうぬぼれの強い小悪魔なんだ。
      おかしな野郎だよ。だがむしろ『著名な乞食野郎』と言ったほうがいいかな。(西脇訳)

      ニュアンス無視の単語直訳の実例みたいです。
      ポアロ、そんなにひどい男ですか?
      これ、読まされたらポアロのこと嫌いになりますよね~?

      そう思いきや、エッグのオリバー(仲良しの男友達)に対するセリフにも仰天。

      「オリヴァー、このひょうたんなまずの高利貸しめ!」
      ひぇ~~?!レディーがこんな口を~(;゚Д゚)!

      原文はいったい…?!  調べましたよ。

      "Oliver, you slippery Shylock -"  でした。

      どこをどう訳したらこんな唐突な(・・?

      長野訳では
      「オリバーったら――こずるいシャイロックのようだわ――」
      オリバーはユダヤ人らしいのですね。この訳なら意味が通じます。

      細かいことを気にしない、ストーリー重視の方。
      恋愛問題なんてミステリーの邪魔。と思う方ならいいかも。


      Mr. Satterthwaite looked cheered.
      Suddenly an idea struck him. His jaw fell.
      "My goodness," he cried, "I've only just realized it! That rascal, with his poisoned cocktail! Anyone might have drunk it! It might have been me!"
      "There is an even more terrible possibility that you have not considered," said Poirot.
      "Eh?"
      "It might have been me," said Hercule Poirot.

      ラストは落語のオチみたい。ニヤリでシメ!クリスティさすがです。
      >> 続きを読む

      2013/06/27 by

      三幕の悲劇」のレビュー

    • ありがとうございます!
      こんなサイトあるんですね、でもたしかに違反のような気もしますね(笑)
      使われている単語がそんなに難しくないことに驚きました。
      でもニュアンスまで楽しむのは私にはまだ難しそうです。
      >> 続きを読む

      2013/06/28 by Minnie

    • Minnieさん
      クリスティはとても読みやすいですよ。
      私ももちろん拾い読みに近い状態なんですが、勉強ではないのだから、
      わからないところは飛ばせばいいし、日本語の本を片手に読んだっていいんです。

      この文章はこう訳しているのか、ふ~ん。なんていう程度で最初はよいのでは?
      そのうちに自分だったらこう訳すのに~~って思うようになりますよ。

      本当に一番原書で読んで欲しいのは「そして誰もいなくなった」です。
      誰もあの本の本当の雰囲気を訳せていない。と思うからです。
      あの和訳を読まされている日本人はあの本の本当の怖さをまだ知らない。

      「アルジャーノン」クラスの翻訳が出てくれたらすごいのになあ。
      それがとても残念です。
      >> 続きを読む

      2013/06/28 by 月うさぎ


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