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九年目の魔法 (創元推理文庫)

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: ダイアナ・ウィン ジョーンズ
定価: 1,015 円
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    「九年目の魔法 (創元推理文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      【空想好きな少女の魔法冒険物語】
       いや、なかなか複雑なお話でした。
       物語の主人公、ポーリィは、女子大生なのですが、どうも自分の幼い頃の記憶に混乱があることに気づきます。
       「隠れた記憶」と「単一の記憶」と作中では表現されているのですが、本の内容が変わったように思える、確かに出会ったはずの人なのにみんな知らないと言う……。
       何かの原因で自分の(あるいは周囲の人々の)記憶が改変されている?
       だとしたら、真実は一体どういうことだったのだろう?

       といううことで、物語はポーリィが10歳の頃に遡ります。
       当時、幼なじみだったニーナとふざけて走り回っていた時、近所にあるお屋敷の葬儀にうっかり迷い込んでしまいました。
       そこで出会ったのがトーマス・リン(トム・リン……すなわち、あの伝承の「タム・リン」のもじりですね)でした。
       リンは、ポーリィを葬儀会場から連れ出してくれ、何かと話しかけてくれました。

       夢見がちの少女だったポーリィは、それをきっかけに、リンとの間で空想の物語を作り始めるようになったのです。
       それは、普段は雑貨屋をやっているけれど、一度事が起きると勇者タン・クールになるリンと、男の子に扮して勇者見習いをやっているヒーローという名前のポーリィの物語でした(後に、タン・クールの仲間達の勇者も創作されるんですけれどね)。

       ところが、二人で作り出した物語が現実になるではないですか。
       二人が雑貨屋をやっているとした架空の名前の町は実際に存在したし、そこに行ってみたら雑貨屋もあるんです!
       そして、物語のとおりに巨人が襲いかかってくるではないですか!
       危うく危難を回避するリンとポーリィ。

       これは一体どういうことなのでしょう?
       一方で、あの葬儀が行われていた家の主(とその息子)からは、これ以上リンに関わるなという警告を再三、再四に渡り受けることになります。
       どうやら、あの巨人もそうですし、ポーリィがリンと接触しようとするとことごとく見張られていてそれが邪魔されているように思われます。
       記憶を改変しているのもこいつらのせい?

       本作は、この様な子供時代の空想的な物語が妙に現実に入り込んできて、むしろどちらが真実の出来事なのかが分からなくなってくるような物語です。
       時制も、昔を振り返っているポーリィが語られているかと思うと、いつの間にか魔法めいたむかしの出来事にすり替わってしまいます。

       そもそも、記憶が改変されているのではないかという疑いが大前提にあるため、本書に書かれていることも、それが真実なのか、改変された偽の記憶なのか、あるいはポーリィの空想なのかが判然としなくなっていきます。

       そもそも、何故リンと接触しようとすると邪魔されなければならないのか、その理由は物語の最後の最後になるまで伏せられていますので、読んでいる途中では、一体これはどういう物語なの?と、もどかしく思うかも知れません。
       なかなかすっきりと筋を追わせてくれない点でも複雑さを感じてしまう面があるように感じます。

       それから、本書は、「少女小説」とでも言うのでしょうか、そういう趣がふんだんにあります。
       ポーリィにとって、リンは自分の空想を共有してくれる素敵なおじさんですし、いつも離れたところから(リンはチェロ奏者でよく演奏旅行に出かけているのです)ファンタジーなどの本を送ってくれるリンの大好きな人なのです。
       この本がまたふるっていて、ファンタジーを中心とした名作ばかり(本好きにはたまらないラインナップになっています)。

       そんなポーリィが学校の友達とワイワイやりながら、演劇に入れ込んでみたり、他の男の子と関わってみたり、友達と絶交してみたり、そんな「少女」らしいエピソードがたくさん盛り込まれたお話でもあります。

       なかなかの長編ですが、ファンタジー好きで、少女小説が好きで、読書が好きという方にはぴったりの作品ではないでしょうか?
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      2019/07/06 by

      九年目の魔法 (創元推理文庫)」のレビュー


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