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宇宙消失 (創元SF文庫)

4.5 4.5 (レビュー1件)
著者: グレッグ イーガン
定価: 972 円
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    「宇宙消失 (創元SF文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0


      このグレッグ・イーガンのSF小説「宇宙消失」は、21世紀の半ば過ぎ、暗黒に覆われ星空の消えた地球に展開される、人間精神の活劇で、サイバー・パンク・ハードボイルドの最先端をいく傑作だと思う。

      とある病院から重度の脳性麻痺の患者が姿を消した。誘拐なのか? 説明のつかない超常現象なのか?-------。

      捜査を請け負った元警官のニックは、患者の移動先をつきとめ、ハイテクシティ香港へと飛び立つ。そこで彼を待ち受けていたのは、思いもよらない陰謀の渦だった。

      この小説は、まずニックの人格を支えるナノテクノロジー〈強化モッド〉装備の描写が秀逸だ。脳をマシーンとして制御するモッドのおかげで未来の人類は、ドラッグとも向精神薬とも無縁でいられる。

      任務中に妻を失ったニックは、常にホログラムの妻を傍らに置いて、喪失の悲しみを消去している。感情も欲求も価値観も、神経配線の元まで辿って、調整している。つまり、モッドによって行動をコントロールするタフガイなのだ。

      このナノマシーンで自らを統御する主人公の在り様は、宇宙が消えた未来社会にいかにもふさわしいものだ。彼が捜査を進めていくほどに、星空の消失と重度の脳性麻痺患者の誕生には、ある種の相関があったことが暴かれてくる。

      これは極めてハードな思弁によって構成されたSF世界の結晶であると思う。宇宙の異変は量子力学によって説明できるし、そもそも外の世界とは、人間存在の不確定集合なのだ。

      そして、存在するというのは、一個の可能存在を選び取ることであり、他のすべてのオルタナティヴを否定することなのだと思う。

      著者のグレッグ・イーガンは、この作品の主要な部分をSF活劇としてよりも、小説の形を借りた思弁的な哲学論文として展開しているかのようだ。


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      2018/02/15 by

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