こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

現代の貧困 ワーキングプア―雇用と福祉の連携策

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: 五石 敬路
定価: 2,592 円
いいね!

    「現代の貧困 ワーキングプア―雇用と福祉の連携策」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 3.0

       本書で扱っている「貧困」は、実際に働いている人たちだけでなく、失業中の人や働けなくても働けない人たち、なども考慮に入れているため、福祉だけでなく雇用やそれにかかわる就業支援など、多岐にわたっている。

       だが一番重要なのは、何より20代から60代のいわゆる現役世代の貧困ではないだろうか。ふつう、この世代は結婚して子どもを育て、家庭として必要な消費や投資を行う。だが貧困に陥れば、そこに至らない。

       子どもの数は減り、たとえ子どもが生まれてもシングルマザーやシングルファザーなどの状態になる。こうなると、フルタイムでの仕事が難しくなり所得が少なくなる。つまり貧困が増してしまうのだ。こうなると、体調の悪化など少しの躓きで生活が暗転してしまう可能性がある。

       本書では何度か言及されているように、我が国は「滑り台社会」だと言われている。一度貧困に陥ってしまうと、そこから抜け出すのは容易ではない。貧困状態にある人は、その状態がずっと続くことになってしまう。こうなると、社会としての損失も半端ではない。

       ネットカフェ難民や派遣切りをされた人が生活を立て直すのはかなり難しいのが現状だ。

       その理由として、我が国での貧困救済、いわゆるセーフティネットの中途半端さが指摘される。失業した人には失業保険(雇用保険)、さらに生活が苦しくなると生活保護が支給されるのだが、その間があまり整備されていない。確かに職業安定所に行けば職業訓練などの募集もされているけれど、社会のニーズを反映したものとは言い難い。

       多様な価値観になってきた現代、脱貧困支援もまた多様なものでなければならない。というのも、現状の福祉支援では雇用保険に入っている人は、何ら給付も受けられない。その上生活が苦しくなって生活保護となれば、その受給は極めて厳しいものになっている。

       本書によれば、一度生活保護を受けると、そこから抜け出すためには非常にエネルギーを要するという。簡単に言えば、生活に必要な支出が、生活保護を脱すると急に増えてしまうのだ。生活保護は、非受給者に資産(自動車など)があると受給されないことになっている。生活保護を受けるには、資産をすべて処分して「丸裸」ならないといけない。こうなると、生活保護を脱して自立した生活に向かうためには、ゼロ以下の状態からのスタートとなり、極めて大きなエネルギーを要する。

       こうならないためには、貧困に落ちないための救済策を、もっと現場に沿ったきめ細かいものにしていくしかないだろう。この点で国や自治体の政策が後手に回るのは仕方がないのかもしれないけれど、若者の自立支援をするためには、単なる掛け声やうわべだけの職業訓練ではなく、一人ひとりの状態にあった「貧困の予防」や「生活の立て直し」をしていく必要があるのではないだろうか。人間とは弱いもので、どんなエリートでも社会の仕組みがなければ生きていけない。

       個人の貧困を放置していれば、犯罪の発生などその社会に大きな不安をもたらす。貧しい人もそうでない人も、現代の貧困という現実に向き合う必要があるのではないか。貧困も自己責任として個人の責任に帰してしまうような世の中では、これからも人は貧しくなっていくだろう。なぜなら信頼のつながりが富を生むのであって、そのつながりを断たれた人には、未来は訪れないからである。
      >> 続きを読む

      2015/02/15 by

      現代の貧困 ワーキングプア―雇用と福祉の連携策」のレビュー

    • ある程度の競争社会は良いような気がしますが、1度何かに躓いたら抜け出せない社会は怖いし、絶対健全な社会じゃないと思います。 >> 続きを読む

      2015/02/15 by ただひこ


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    現代の貧困 ワーキングプア―雇用と福祉の連携策 | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚