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「ウルトラQ」の誕生

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: 白石 雅彦
定価: 1,836 円
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    「「ウルトラQ」の誕生」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      【子供心にわくわくし、また怖かったウルトラQ】
       ウルトラQの本放送が始まったのは1966年1月2日からでした。
       なんと、正月2日から放送開始だったのですね。
       ウルトラQは、その後も何度も再放送されており、その記憶もあって、私にとっては大変思い出深い番組でした。
       本書は、そんなウルトラQが産まれるに至る経緯、制作された過程などについて綴った一冊です。

       そもそも、ウルトラQって怖かったですよね。
       あの独特のオープニング・テーマ、子供向けと片づけてしまうには凝った内容、回にもよりますが、モノクロの画面と相まった暗い雰囲気。
       わくわくしながらも、怖かったという印象も強い作品でした。

       本書の冒頭に本放送各回の視聴率が載っているのですが、これがすごいもので、ほぼ毎回30%越えの視聴率だったんですね。
       放送前の関係者の評価では、10~15%行けば御の字(中には全く視聴率は取れないという意見もあったそうです)というものだったそうなので、大化けした番組ということもできるでしょう。

       ウルトラQは事前制作で作られた番組だったということです。
       つまり、放送しながら以後の回を撮影していったのではなく、予めほぼすべての回を撮り終えてから放送が始まったものだったのです。
       こういうスタイルを取ったのにはいくつかの理由があったようです。

       第一に、当時には無かった斬新な内容の番組だったため、スポンサーがつくかどうか分からず、スポンサーを説得するためにも完成品が必要だったということ。
       実際に、スポンサーを獲得するには大分苦労したようです(最終的には武田薬品の一社提供に決まったのですが)。

       第二に、スポンサー獲得問題とも関連するのですが、当時、『テレビ低俗論』なる批判があり、それを回避するためにも完成品を見せてスポンサーを説得する必要があったということ。

       第三に、とにかく金がかかった作品であっったことから、失敗はユルされず、どんなものができるのかを確かめなければとてもやってられなかったという事情(とは言え、作品は作ってしまうわけですから金はかかってしまうんですけれどね)などがあったのだそうです。

       番組タイトルについても、当初は『UNBALANCE』というタイトルで企画され、制作も始まったそうなのですが、折からの東京オリンピックの影響で、ウルトラQにタイトル変更されたのだとか。

       つまり、当時、体操競技の最も難度の高い技はC難度だったのだそうですが、日本の体操陣は、C難度を越える技を連発し、それが国民を熱狂させたのだそうです(私、東京オリンピックの記憶がまったく無いんですねぇ)。
       そして、C難度を越える技のことを『ウルトラC』と呼び、この言葉が流行語のようになったことから、その名前を拝借してウルトラQというタイトルに変更したのだとか。
       アンバランスという旧タイトルは、サブタイトルの『アンバランス・ゾーン』などに残りましたが、このタイトル変更は成功したのではないでしょうか?
       ウルトラQというタイトルはインパクトがありますものね。

       番組の路線やターゲットとする層についても紆余曲折があったようです。
       当初は、世界のバランスが崩れてしまった非日常的な世界を描く作品として構想され、SF色や怪奇色が濃い、大人をターゲットとした作品として構想され、また、制作もされたそうなのです。

       ところが、放映局のTBSからは一貫しない様々な要求があり、円谷プロも右往左往させられて、路線を決めかねていた時期が大分あったようです。
       そして、何作か作っていくうちに、TBSの担当幹部から怪獣モノにして欲しい、ターゲットも子供にしてくれという方針が打ち出され、途中からはその方針に従って制作されるようになっていったのだとか。

       ウルトラQの作品の中には怪獣が登場しない回もあるのですが、それは既に制作してしまった回の作品で、それはそれで仕方がないけれど、以後は怪獣モノに徹すると変更されたのだそうです。

       この方針変更は結果的に良かったのだと思います。
       とにかく、毎回違った怪獣がどんどん出てくる番組というのは、子供達に対する訴求力は抜群だったと思うのですね。
       そんな怪獣路線の中から名怪獣もたくさん生まれました。
       私個人としては、ペギラ、ガラモン、ケムール人辺りがベスト3かなと思っています。

       本書は、そんなウルトラQが生まれるまでのテレビ事情も含めた話から語り出すのですが、この部分はやや冗長であり、ウルトラQのことを早く読みたいという読者にとってはちょっとお預け的な感じがしてしまいました。
       また、番組のスチール写真が掲載されていないのもちょっと残念なところでしょうか。
       それでも、各話の初稿から決定稿までの変更の過程やその理由など、興味深い話があり、なかなか面白く読むことができました。

       いずれにせよ、ウルトラQというのは、この後のウルトラマンシリーズを生み出す原動力になった作品ですし、とにかく当時としては非常に斬新な作品だったことは間違いなく、また、円谷プロの財産になったわけで、多くの人の記憶に残っているのもさもありなんと納得するところです。
       いや、懐かしい一冊でした。


      読了時間メーター
      □□□     普通(1~2日あれば読める)
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      2019/02/10 by

      「ウルトラQ」の誕生」のレビュー


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