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ピリオド

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 900 円
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    「ピリオド」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      ミステリを読み続けていて、最近、特に感じるのは、ここ数年、ミステリが、限りなく普通の小説に近づいているということだ。

      もともと、一口にミステリと言っても、結構、間口が広く、殺人事件やこれといった事件すら起こらないものや、仮に事件があっても、犯人が誰であるかを求めるのが目的ではない作品も数多く見られるように思う。

      それよりも、むしろ、登場人物たちの心理やキャラクターを念入りに描写していく上で、人間という存在そのものが謎なのだとする場合もあるようだ。

      つまり、犯罪を描くのではなく、犯罪の周囲にいる人間の内面に深く分け入りながら、どこにでもある日常の風景、生活の延長線上の中に、いつしか目に見えない歪みが生じてくる恐怖、苛立ちなどを描いていくんですね。

      例えばそれは、"意識せざる悪意"であったり、"穏やかな口調の裏に隠された傲慢さ"であったりすることもある。

      そうなると、これはもうほとんどミステリというジャンルを超えた、普通の小説と言えるのではないかと思うんですね。

      今回読了した乃南アサの「ピリオド」の場合も、劇的な事件らしい事件は、ほとんど起こらない。
      離婚歴のある四十歳の女性カメラマンのもとに、次々と彼女の生活を乱す人物が現われては、彼女の平穏を奪っていくさまが、淡々と描かれていくのだ。

      長野にいる兄夫婦とその子供たち、離婚してから不倫の関係を続けている編集者、仕事仲間であるライターなど、そうした人々が、それぞれ自分勝手な都合で、彼女の日常に土足で踏み込んでくる。

      しかし、それにしても、これらの人物たちがまあ、それは見事なほどに全員が"嫌な人間"として描かれているんですね。

      おのれの都合、自分の正義を頑なに主張するだけの、他者をおもんぱからない人物なんですね。
      まさに、これは現代人をそのまま具象化しているかのようだ。

      だが、そこからが著者・乃南アサの腕の見せどころでもある。
      こうした、自分勝手な人々を、ヒロインがいかに突き放し、癒していくか----読みながら私は、いつの間にか知らないうちに、ズルズルと、この物語の世界の中へと引き込まれていくんですね。

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      2018/08/04 by

      ピリオド」のレビュー


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