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黄金のプラハ―幻想と現実の錬金術 (平凡社選書)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 石川 達夫
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    「黄金のプラハ―幻想と現実の錬金術 (平凡社選書)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【黄金であり鉛黒であり、白銀であるプラハ】
       行ったことはないのですが、以前からプラハという都市には関心を持っていました。
       とても美しい街だと聞いていたこともありますが、数々の文学作品で取り上げられており、それがまたいずれも魅力的だったことも理由の一つです。
       そんなプラハのことをもっと知りたい!
       ということで選んでみた一冊です。

       本書は、プラハを巡る歴史、宗教、文化、偉人などについて、幅広く紹介しています。
       モノクロですが、主要な建造物などの写真も挿入されています。

       全体を読んだまずもっての感想は、プラハは(チェコは)とんでもなく辛い歴史を持った国なのだなぁということでした。
       地政学的な意味もあるのでしょう(国がどんな位置に存在しているかということは、これはもう、選べる話じゃないですからね。日本だってそうです)。
       様々な思惑が交差する位置に存在していたという理由一つだけのために、どれだけ蹂躙され、虐げられたことか。

       それでも、プラハの人びとは強かった。
       民族意識という、そんな簡単な一言では済まないと思うのすが、一時は国が消滅するかもしれない程の危機に直面した時だって、その後、しっかり蘇ってきた強さを持った国なのだなぁと思いました。
       プラハを象徴すると讃えられている聖人も、いざという時には闘うのだという強い決意の言葉と共に像にされています。
       ええ、多大な犠牲を払ってのことですが、それでも母国を、自分の出自を守りたいという確固たる信念を持ち続けた都市であり、国であり、民族だったのだなぁと。

       ここであんまりキナ臭い話を書くつもりはないのですが、何でも反対していればそれで平和だというのは嘘だろうと、思うのですよ。
       平和を守るためには、それこそとんでもない犠牲と覚悟を強いられる場面があるということは、数々の歴史が語っていることです。
       それを、プラハは実体験したのだということがひしひしと伝わってきます。

       さて、その原因はいくつもあるのですが、一つは宗教。
       カトリックとプロテスタントの対立ですね。
       efは無神教なのですが、中世社会における宗教の重みはとんでもないもので。
       その功罪は色々なのですが、とにかくその辺りにもの凄く翻弄された時期がプラハにはありました。
       そんな所からイマジネーションを膨らませた作品としては、『聖餐城』/皆川博子なんてオススメです。

       そんな動乱の歴史を持ったプラハですが、街がとにかく美しいそうです。
       行ってみたいなぁ。
       カレル橋という名所があるのだそうです。
       プラハにとって意義がある聖人達の像が飾られている橋なのだそうです。
       石橋から白いローズマリーの花を落とした……(『夜毎に石の橋の下で』/レオ・ルベッツ)。

       そのカレル橋の下を流れるのはヴルタヴァ川。
       私たち日本人には『モルダウ』川と言った方が通りが良いかも知れません。
       スメタナが『わが祖国』の第2曲で奏でたあの川です。
       『モルダウ』というのはドイツ名なのです。
       プラハはドイツに侵略され、土地の様々な名前がドイツ名に変えられてしまいました。
       ヴルタヴァ川もその一つ。
       日本は、クラシックにおいてはドイツの影響が強かったこともあり、この曲が日本に紹介された時にはドイツ名での『モルダウ』が採用され、以後、それが定着してしまったのですね。
       プラハには、地名や建物の名前など、何度も名前を変えられてしまった物が沢山あるそうです。
       それは、宗教戦争や他国からの侵略、民族主義のムーヴメントなど様々な要因から。

       そして、プラハにはユダヤ人のことも絡んできます。
       これは、歴代の王の政策が右往左往した悲劇ですね。
       ユダヤの金が欲しい時にはそれなりに厚遇し、でも宗教的あるいはその他の理由から迫害もし。
       その繰り返しがあったようです。
       それでも、当時の社会では、多くのユダヤ人が住んでいたのはプラハだったのだとか。

       ですから、ゲットーも作られ、そこに物語も生まれてきます。
       やはり、ここは『ゴーレム』/グスタフ・マイリンクを出しましょう。
       雨のプラハから始まる物語ですよ。
       ゴーレムは、土くれの人形ですが、とある言葉を書いたお札をおでこに貼ると(この辺りのシステムは様々です)人間が使役できる者として蘇るのです。
       ですが、それが暴走してしまい……というのが、多くのゴーレム物語ですよね。
       それをどう鎮めるのか。
       そこにはまた、カバラ秘教的な文字の秘密が隠されていたりして。

       苦難の歴史を刻んできたプラハではありますが、大変美しい街であることは間違いないようです。
       今回触れた他にも、カフカやムハ(ミュシャ)その他、まだまだ沢山プラハ縁の芸術家、芸術作品があります。

       リードに書いた、『黄金』、『鉛黒』、『白銀』は、いずれもプラハを形容する言葉だそうです。
       『黄金』はプラハの繁栄と美しさを唱い、『鉛黒』はオカルティックな側面を示し、『白銀』は両大戦の間の短い時期に花開いた明るいプラハを象徴するのだそうです。
       是非とも一度訪れてみたい街の一つです。
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      2019/09/11 by

      黄金のプラハ―幻想と現実の錬金術 (平凡社選書)」のレビュー


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