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誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか

4.5 4.5 (レビュー2件)
著者: 山寺 香
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    「誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      少年の手記が心に刺さった。レビューは心に言葉を刻むために、記録として残します。

      「みんながみんな「こんな社会になってくれ」と望むだけで、誰もそうしようと行動しなければ意味がありません。自然現象でそんな社会が手に入れば苦労しないと思います。
       だから、出来る範囲で自身の理想の社会と似た行動をしていただければ、と思います。
       平等な社会を望むなら普段から平等に物事や人を扱ってください。
       差別のない社会を望むなら普段から差別をせず人を見つめてください。
       貧困のない社会を望むならふだんからそのような人を見つけたら助けてあげてください。
       そうすれば社会全体が理想に近付くのには時間がかかっても、自身の周囲だけは理想の社会になると思います。」

      「ご飯が食べたい、寝る場所がほしい、学校に行きたい、そう思うなら流れに逆らわないと手遅れになりかねない。出来ることならわざと3、4階の場所からケガをしてほしい。
       そして、助かるためとはいえケガをさせるのはどうなんだと思うなら、自己申告した少年少女のことはある程度強制力を持って保護してほしいと思う。当然親を想って自ら手をあげない子も居ると思う。そういう子はやはり周りの人間が見つけるしかない。」

      「本当は死にたくなんかない。でも、もう楽になりたい。
       本当は痕なんか作りたくない。でもこうしないと生きてる実感がない。
       本当は売りたくなんかない。でも、そうしないと生きていけない。
       本当は罪なんて犯したくない。でも、もうこれしかなかったんだ。
       どうか、本当の思いを大事にしてほしい。」
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      2018/03/19 by

      誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか」のレビュー

    • 評価: 4.0

      同じ埼玉県内の事件だったのでよく覚えている。17歳の少年が金品
      目当てに祖父母を殺害した。事件発生当初は「また身内による殺人
      か」と思って気にも留めなかった。

      だが、事件の背景が報道されるにつれ、少年が送って来た過酷な生活
      を知り、「なんでこんなことになったのか」といたたまれない気持ち
      になった。

      少年はいわゆる居所不明児童だった。両親の離婚、浪費癖があり
      経済観念ゼロ、生活能力のない母と生活が徐々に少年を追い詰めて
      行く。

      学校に通ったのは小学校の5年生まで。その後は一時、生活保護を
      受けてフリースクールに通うようになるのだが、お金が必要である
      にも拘わらず「行政に監視されているようで嫌だ」という母の主張
      で用意された簡易宿泊所から突然姿を消してしまう。

      母、義父、義父との間に生まれた13歳離れた妹と一緒にホームレスの
      日々を送ることもあったし、義父の日雇い仕事を唯一の収入源として
      ラブホテルに泊まり続けたこともあった。

      生活を立て直す機会は何度かあった。ただ、この母親自体に精神的な
      欠陥があったのではないかと思う。生活が困窮しても働こうとする気
      は一向にない。一方で、少年に嘘を吐かせて親戚に金の無心をして
      いくばくかの現金を手にしてもパチンコやゲームセンターですぐに
      使い果たしてしまう。

      こんな生活で家族がうまく行くはずもなく、ある日、義父が行方を
      くらますと一家の生活は少年一人にのしかかって来た。

      少年は完全に母親のコントロール下に置かれていた。そして、少年も
      母親を唯一の拠り所としていた。極度の共依存が、悲しい事件の引き金
      になったではないだろうか。

      事件を起こすまで、少年の周りには救えたはずの人物もいた。どうにか
      見つけた勤め先には、少年を一人前にしようと考えていた人もいた。
      だが、すべては母親がぶち壊して行った。

      本書では少年の生い立ちや事件に至るまでの経過、その後の裁判の様子、
      この少年のような体験をしてきた子供たちを、どのようにすれば救う
      ことが出来るのかを記されている。

      祖父母を殺害した少年の罪は消えない。この点に関しては少年は明らか
      に加害者だ。しかし、加害者になる以前、少年はセーフティネットから
      こぼれ落ちた被害者でもあったのだ。

      「決して(あなたに対する)非難ではないのですが、誰か少年を助け
      られなかったのか。こんなになるまで放っておいて。これだけ大人た
      ちがそっていて」

      一審のさいたま地裁で裁判長が被害者遺族(少年の母の姉)に問うた
      言葉が胸に突き刺さる。親としての責任を放棄した母親から少年を
      引き離すことが出来ていたら、懲役15年という更なる日々の喪失も
      防げたのかもしれない。

      願わくばこの少年のような子供が増えませんように。そうして、出所後
      の少年が今度こそ、自分の居場所を確保できますように。

      尚、少年の供述では祖父母殺害は母親の指示だったそうだが、裁判では
      共謀は認められなかった。埼玉県警は共謀で起訴したかったらしい。
      >> 続きを読む

      2017/11/15 by

      誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか」のレビュー


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