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エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: ジョン クロウリー
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    「エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      「嵐」と呼ばれる大破壊から一千年後、機械文明などとっくに失われたアメリカ西海岸で、人々はアメリカ・インディアンもしくは1960年代のヒッピーのようなコミューンで暮らしている。

      「年によっては、初霜のあと、太陽がまた熱くなり、しばらく夏がもどってくることがある。ささやかなまやかしの夏。リトルビレアでは、この時期を---だれも知らない理由から---機械の夏」と、本来"インディアン・サマー"と呼ぶべき気候を、そう呼んでいる。

      ジョン・クロウリーの「エンジン・サマー」は、一見、SFにありがちな文明滅亡後の物語に思えても、ブラッドベリ的な美しい文章の中に、"寓意や象徴"が込められているので、最初のうちは、世界の設定や造語にとまどいながらも、じっくりと読んで味わわなければ、もったいない。

      物語は、主人公の少年「しゃべる灯心草」が、世界からいなくなったはずの天使に、自分の生い立ちを語る形で進行していく。

      西海岸の小さな集落リトルビレアに生まれ育った主人公は、この世界の成り立ちを知るために、また、かつての世界にいっぱいいたという"聖人"になるため、つまり知識を求めてその社会から外へ、旅立とうとしていた。

      だが、そこに恋した美少女を探す目的も混ざりあって、探求のための彷徨が始まり、巨大な猫族、ラピュタという天上都市、不死の謎を秘めた水晶体などといった奇妙な物事と遭遇するうちに、心にしみる哀切な物語を紡いでいく。

      多面性を持つこの作品は、成長小説であり、フェミニズム小説であり、記憶を語る叙述形式で、物語を語る意味を、驚きに満ちた物語の中で明確にしたメタフィクションであり、知的で完成度の高いSFだと思いますね。

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      2018/11/04 by

      エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)」のレビュー


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