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谷譲次テキサス無宿/キキ

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 2,520 円

モダニズム文学のパイオニア、ジヨウヂ・タニイの世界へようこそ。かのシリーズ「めりけんじゃっぷ」ほかより厳選した全15篇。

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    「谷譲次テキサス無宿/キキ」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

       1919年からはじまった禁酒法時代の亜米利加。
       反骨の気風を腹に抱えて無宿の日本人が亜米利加の世を流れていく様を語る。

       ガヤガヤとした酒場の円卓で聞いているかのようないい話である。フィクションとノンフィクションの間の話らしいが、もう今の時代では禁酒法は絵の中にしか存在しないために全てが良き時代のアメリカの一部に思える。どこの町に行っても日本人の「めりけんじゃっぷ」が居て、居るのだから集い、何某かの生計を経て、もちろんそうなったならばそこには顔役がいて、まず町に着いたのならば一番に顔役に挨拶に行くこととなるのが通例である、と書くといかにも裏社会的なと思うかもしれないが話はそう明確でもなく、ちょっと悪いことをする奴もいるぐらいの話である。何せ拳銃が出てこない!ちらちらとその影が出てくることはあるものの、そこが一つの驚きであった。ユダヤ人や中国人と違い、日本人の移民は店を構えること、自分で商売をすることはまれで人に使われるのを一義とする、だから顔役に紹介してもらってウェイターポーターバトラーなどの使われる商売を転々としながら町から町へと流離う。そうして「めりけんじゃっぷ」達は方々で生活をしている訳だ。
       歴史的な視線を見れば第一次大戦後の禁酒法時代で、もう何歩か歩けば第二次世界大戦なのだから、この「めりけんじゃっぷ」達は全員収容所にぶち込まれる運命なのだろう。だからこその古き良きアメリカの威風があるこの本は面白い。知らない顔を見れたのだからもちろん損をした気分にはならない。
       アルカポネなどのギャングの話は一つもなかったのだから、禁酒法にも前期中期後期という分かれ方が出切るのかもしれないが、まだ禁酒法時代の系統だった本を読み込んでいないために判断が付かない。それともギャングはアメリカ人向けで移民には手を出さなかったのだろうか、いやそれじゃあギャングじゃないな、などとも思える。そう思えるのがいい本という証拠ではなかろうか。
       余談だが、この中に「キキ」という短編があるが、ガンスミスキャッツを思い出した。

       禁酒法、古き良きアメリカ、めりけんじゃっぷという単語に興味を引かれたら読めば十分面白い。古い亜米利加労働英語なども知れるし、世知辛さも無宿人の良さも詰まっているという興味深い本である。
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      2016/08/22 by

      谷譲次テキサス無宿/キキ」のレビュー


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